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2020:かみさま

2012/08/11 (Sat) 19:20
ここはとある”ゆっくり”の住む森。
ここにはゆっくりにとって、たくさんの食糧があり、気候も穏やか。
まさにゆっくりの楽園ともいえる環境で、多くの個体、多くの群れがゆっくりと幸せに日々を過ごしていた。

そんな森の一角に、今まさにふしあわせに息を引き取ろうとしている一匹の”ゆっくりまりさ”がいた。
「ゆっ…ゆっ…だれか…たす…」
声はかすれ、体も髪もお飾りもぼろぼろ。
その額からは植物型にんっしんっの証である茎が何本も生え、一つ一つに様々な個体がついていて
一目でしゅうっだんっれいぷされたものとわかる。
命からがら逃げてきたものの、もうあんよもぼろぼろ、余命いくばくも残されてはいないであろうまりさ。
それでもまりさは、最後の希望を求めて、ずーりずーりと、命を燃やして這いずっていた。
そしてまりさの命の灯が燃え尽きようとするその瞬間。
「なんだ、ずいぶん汚いゆっくりだな」
「ゆ…?」
まりさが疲労であまり見えない目を凝らすと、いつの間にかまりさの前に、大きな影が立っていた。
「にん…げん…さん?」
まりさが力無い声でそう尋ねると、目の前の影が
「そうだ、人間だ」
と、答えた。
まりさはまりさのおとうさんに、まりさがまだほんの小さいときに教えてもらったことを思い出した。
(にんげんさんは、すごくおおきくて、つよいんだよ、まりさたちのできないことがなんでもできるんだよ)
(でもにんげんさんはこわいんだよ、もしであってもぜったいにさからっちゃいけないよ)
どうせこのままでは死ぬのだ、まりさは自分の体に残った、最後の最後の力を振り絞って、叫んだ。
「おねがい…します!にんげんさん!どうか…まりさをゆっくりさせてください!」
しかし影は残酷だった。
「だめだ、それは出来ない、第一人間の俺が小汚いゆっくり一匹助けて何の得があるというんだ」
そんな!まりさは絶望した。
人間はなんて心の狭いゆっくりできない生き物なんだ。
だけどまりさは、叶わないとわかりながらも願わずにはいられなかった。
「おねがいじばず!まりさはどうなってもかまいません!せめてあかちゃんだけでもゆっくりさせてあげてください!」
その言葉に影が反応した。
「…その言葉は本当か?」
「ゆ…?」
「お前はどうなっても構わない、というのは本当か?」
「ほんとうです!」
まりさは心の底からそう思っていた。
どうせこのままでは死ぬのだ、ならばせめて、これから生きる命に精一杯ゆっくり生きてほしかった。
たとえれいぷされて生まれた子だとしても、まりさの大切な赤ちゃんなのだ。
「じゃあ、一匹だけだ、一匹だけ幸せにしてやろう」
「そんなっ」
「だめだ、選べなければ俺はこのまま立ち去る、なんならチビもろともお前をつぶしていってやっても構わないが…」
たしかにそれもゆっくりできるかもしれない。
いっそ苦しみの中で死ぬのならば…そのような考えがよぎりはしたが、
赤ちゃんの前にもたらされた一筋の光に、まりさはすがりたかった。
「わかりました…じゃあ、まりさとおなじ…まりさのあかちゃんを…」
まりさには、確信があった、たくさんの茎の中に一匹だけ実ったまりさ種、この赤ちゃんは特別だ。
ほかのれいぷされてできた個体とは違う何かを感じていた。
「いいだろう」
そういうと影は、ぬっと手をのばして、まりさ種が一匹だけ実っている茎を除き、すべてを引き抜いた。
「いだぁああああ!!!!」
中枢餡が引き裂かれるような痛みにまりさは気を失いそうになる。
引き抜かれ打ち捨てられた茎に実った個体は、すでに黒ずみ、早くも短すぎるゆん生に幕を下ろしていた。
影がひょいとまりさを抱き上げる。
「ではまりさ、赤ん坊の幸せと引き換えに、お前には、まりさをやめてもらう」
「ゆゆ…?」
まりさにはその言葉の意味がわからなかった。
しかしそんなまりさの反応をよそに、影はつづける。
「もし約束が守れないならば、お前は勿論赤ん坊の命も無いものと思え、
 これがお前の赤ん坊、そしてお前の命を救う条件だ」
影はそういうとまりさを抱き上げたままゆっくりと歩き出した。
それでもまりさから見れば、群れ一番あんよが早かったちぇんの走りよりもずっとずっと早く感じた。
「わかり…ました…」
自分が約束を守りさえすれば、きっと人間さんはまりさを…あかちゃんをゆっくりさせてくれるだろう。
確信はできないけれど、きっと信じていれば叶う、そんな気がした。
まりさは、薄れゆく意識の中
”かみさまがいるならきっとにんげんさんみたいなそんざいなんだろう”
ゆっくりと、そうおもった。
まりさは目をとじる、辛かった出来事がゆっくりとまどろんでゆく。

そして一匹の”まりさ”の一生が、終わった。



--------------------------------------



「おはようございます、おじょうさま」
「おはよう、ばあや」
今日も実にゆっくりとした挨拶ができた。
まりさは、いや、今は『ばあや』と呼ばれている『まりさ』だったゆっくりは、実に幸せに日々を過ごしていた。







あの日まりさが目を覚ますと、体にできていた無数の傷はすべて癒えていた。
まりさがいたのは今まで暮らしていた森ではなく、人間の住む家の一室だった。
はっきりと見えるようになった目で辺りを見渡すと、一人の男がまりさの方を見ていた。
この男が、まりさを助けてくれた”影”の正体だったのだ。
まりさが自分の頭に赤ちゃんの実っていた茎が無いことに気づき、男に尋ねると
男はすでに赤ん坊は生まれ、最高の環境で暮らしている、と説明を受けた。
一緒に暮らせないことは少々不満ではあったが、それでも赤ちゃんが幸せならば、それでいいとまりさは思った。

それからまりさは、男からいくつか質問を受け、それにゆっくりと答えて言った。

まりさはある群のゆっくりの中では、賢い個体だった。
というのも、おとうさんまりさ曰く、まりさのおとうさんのおとうさんのずーっとまえのおとうさんに
その昔人間に買われていた飼いゆっくりで”きんばっちさん”という最高にゆっくりしているゆっくりがいたというのだ。
そのおかげでまりさの家族は、とても賢いゆっくりが多く、群の中でも頼りにされる存在だった。
しかしあの日、まりさが長をしていたぱちゅりーに反対的な意見をしたことがきっかけで反感を買い、
罰として家族全員、あるものは殺され、あるものはれいぷされたという。
そしてまりさは隙を見て逃げ出したはいいものの、頼るものも無く、森をさまよっていたところ、
男に発見された、ということだった。

最後に男は一つ確認の意味をこめてもう一度まりさに聞いた。
---赤ちゃんの幸せのためなら全てを無くす覚悟があるか?
まりさはそれに力強く頷いた。
元々死ぬところを助けてもらったのだ、今更何が起こっても怖くはない。
それどころか、まりさは赤ちゃんをゆっくりさせてくれる約束を守ってくれるなら、殺されても構わないとさえ思った。

そして男に飾りのおぼうしを奪われ、大好きだったおさげさんを切られ、
まりさは、『まりさ』であることを辞めさせられ、ただの『ゆっくり』になった。

それから長い長い時間、人間の時間にすると一か月ほど、
まりさは普通のゆっくりでは考えられないような訓練を受けた。
男の指導のもと、本を読み、文字を覚え、
”ゆっくり”の本能を捨て、人間の常識を叩き込まれた。
元々賢い個体であったまりさは、見る見るうちに人間のパートナーとして恥ずかしくないような、
そんな人間の都合のいい『ゆっくり』になることができた。

訓練の内に、まりさは男のことを『ご主人さま』と呼ぶようになった。
そして訓練が終わった日、男はまりさにある命令をした。

「これからお前はある一人の”人間”の世話をしてもらう、お前にはそれだけの知識と知恵を与えたつもりだ」

そして通された部屋、男の住む家の中で、まりさがまだ入ったことがなかった部屋。
部屋の中には一人の少女が、ベッドの上に座っていた。
それがまりさと少女の出会いだった。
流れるような金色の髪、線の細い体、絵にかいたような美少女であった。
「まあ、かわいらしいお客さん、お父様、その子はだあれ?」
『お父様』と呼ばれた『ご主人さま』は、まりさを抱えあげて答えた。
「いつもいい子にしている『マリサ』に、お友達を連れてきてあげたよ」
”マリサ”という単語にまりさはビクッと身を震わせた。
既に捨てたはずの自分の名前を呼ばれたのだ、しかしご主人さまの言葉に少女がゆっくりとほほ笑むのを見て、
あぁ、この子の名前が『マリサ』なのだ、とまりさは理解した。
「ねぇお父様、この子の名前は?」
「名前はまだ無いんだ、マリサがつけてやってくれ」
マリサは少しの間考えると、華が咲いたような笑顔をまりさに向けた。
「『ばあや』って呼んでもいいかしら、
 この前読んだ絵本に出てきたお姫様のメイドさんがそう呼ばれていたのよ
 私、あんなかわいいお姫様にあこがれているの」
「そうか、じゃあお前は『ばあや』だ、マリサと仲良くしてやってくれ」
男がそう言ってまりさをマリサに渡す。
この瞬間、まりさは『ただのゆっくり』から『ばあや』になった。
「よろしくね、ばあや」
「おじょうさま、ゆっくりよろしくおねがいします!」
マリサの胸に抱かれながらまりさは今までのゆん生の中で今が最高の瞬間だと感じることができた。


こうしてまりさの『ばあや』としてのゆん生が始まった。









まりさの仕事は単純なものだった。
朝起きると、マリサのいる部屋の人間用のドアの横にあるゆっくり用の扉から部屋に入り、マリサを起こす。
口で櫛を咥えてマリサの綺麗な髪の毛をとかすのが、まりさの日課だった。

そして一人と一匹は、男の作った手料理を食べ、ゆっくりとした時間を、
おしゃべりをしたり、一緒に本を読んだりして過ごした。
まりさはマリサに抱きかかえられて、髪をなでられながらゆっくりお話をするのが大好きだった。
まりさとマリサはすぐに打ち解け、まるで昔から連れ添った家族のような関係になることができた。


「ねえ、ばあや」
「なんでしょう」
「ばあやは、なんていう『ゆっくり』なの?」
「それは…」
まりさは困ってしまった、自分はすでに『まりさ』を捨てたのだ。
「ごめんなさい、聞いちゃいけなかったかしら」
「いえ、そんなことはないんです」

まりさは、昔自分が『まりさ』だったころの話をした。
温かい家族に生まれたこと、友達と一緒に野山を駆け回ったこと。
とてもゆっくりした日々を過ごしていたけれど
『ある理由』があって、ご主人さまに拾われ、今の生活がある、ということ。
まりさがゆっくりと話終えると、マリサは『まりさ』に興味をひかれたようだった。
「ばあやは『まりさ』っていうゆっくりだったのね、でもご本でしか見たことがないけれど
 『ゆっくりまりさ』はばあやと見た目が違ったはずだわ」
「ばあやはごしゅじんさまにひろわれたときに、『まりさ』をやめました、いまは『ゆっくりばあや』でございます」
「ふぅん、よくわからないわ、ばあやはオトナなのね」
そういってマリサはまりさの頭をゆっくりとなでる。
「でもマリサのお友達が『まりさ』だなんて、運命を感じちゃうわ、素敵」
マリサは窓の外を見ながら少しさみしそうに言った。
「でもいいなぁ、ばあやは、お外を走り回れるのね」
「おじょうさま?」
「私ね、足が不自由なの、だからベッドで生活してるのよ」
「そうなんですか…」
まりさはなんだか申し訳ない気持ちになって、うつむいてしまった。
「でもお父様は立派なお医者様なの、いつか私の足を治してくれるって言ってくれたわ。
 だから、私が歩けるようになったら一緒にお外であそんでくれる?」
「もちろんです!」

まりさはマリサのことが大好きだった。
なんだかついこの間初めて会ったような気がしないのだ。
自分はこんなにゆっくりしているけれど、あの時別れたおちびちゃんはゆっくりしているだろうか。
もう二度と会えないかもしれないけれども、まりさはそれでもいいとおもった。
きっとご主人さまは、まりさが言いつけを守ってここで生活している限り約束は守ってくれるだろう。
そしてその生活が決して苦などではなく、むしろ幸せそのものだったのだ。
この幸せに比べれば、『ゆっくりまりさ』としてのつまらない意地…
お飾りがないことや、本能を抑えることなど雑作もないことだった。
おちびちゃんに注いであげれなかった愛情を、おじょうさまに注ごう。
心の底からそう思うことができた。


そう、あの時までは。


--------------------------------------




ある日、それはほんの些細な出来事。

いつものようにまりさがマリサを起こし、
ゆっくりが扱えるように改造されたクローゼットを開けて着替えを出している時。
まりさはクローゼットの奥の方に、あるものを見つけた。
それは立派な、とてもゆっくりできるおぼうし。
ゆっくりまりさが被っている山高帽にそっくりな、とても大きなおぼうしだった。

その日一日まりさは落ち着くことができず、ずっとそわそわしていた。
あのおぼうしが気になるのだ。

大好きな絵本をマリサと一緒に見ている時も、おいしいごはんさんを食べてゆっくりしているはずの時も。
片時もおぼうしの事が頭から離れなかった。
マリサがまりさの様子を不審に思い、どうしたのかと聞いたときは
「なんでもありません、おじょうさま」
と、答えたものの、内心は全くゆっくりしていなかった。

夜も更け、まりさはマリサの部屋を出、自分の寝床に戻っても、ずっと考えていた。
おかしい、自分は『ゆっくりまりさ』であることを否定したはずなのに。
だけどあのおぼうしを被ってみたい、自分のおぼうしではないにせよ、
『ゆっくりまりさ』にとってお飾りの山高帽は時に命よりも大事な”自己の象徴”だった。
あのおぼうしのことを考えれば考えるほど、作り上げられた『ばあや』の壁がぼろぼろと崩れ
自分にはもう必要ないはずの『ゆっくり』としての『まりさ』が声をあげているような錯覚さえ覚えた。
まりさは自分の中に、酷く濁った醜いものがぐるぐると渦巻いていくように感じた。


まりさが悶々としていると、マリサの部屋から物音が聞こえてきた。
眠れないまりさは音の正体を確かめるために、なるべく音をたてないようにゆっくりとマリサの部屋の前まできた。
まりさは部屋の前で立ち止まると、扉に身を寄せて中から聞こえてくる音に集中した。
中から聞こえてきたのは、男と女の声だった、どうやら『ご主人さま』が『お嬢様』に夜の挨拶に来たらしい。
実のところまりさとマリサ、それに男の三人、この家の住人全てが同じ空間にいるのはあまり多くない。
まりさはこの機会に自分の悩みを解決してもらおうと思った。



まりさがゆっくり用の扉から静かに部屋の中に入ると、先に部屋にいた二人の視線が集中した。
「しつれいします」
「なんだ、お前か」
「あら、ばあや、どうかしたの?」
「じつは…」
まりさは昼間クローゼットの中に入っていたおぼうしを見たこと。
そしてそれが気になってしまって眠れないことを話した。
「なんだ、そんなことか」
まりさは男のその言葉が意外だった。
てっきり『ゆっくりまりさ』を捨てることを誓ったのに、おぼうしに執着してしまうことを罵られるかと思っていた。
そして、もしかしたら幻滅され、自分は捨てられてしまうかもしれない、そんな考えさえあった。
なのであっけなく、そんなこと、と言われ、まりさはつい自分の些細な願望を口にだしてしまった。
「もしよろしければ、おぼうしをすこしだけでいいので、かぶらせてもらえませんか」
その言葉を口にした瞬間、男は少し眉をひそめた、が、何も言わなかった。
やはり言うべきではなかったかもしれない。
まりさはそう思ったが、今度は今まで黙っていたマリサが口を開いた。
「いいわ、あのおぼうしはお父様が私にプレゼントしてくれたものだけど
 私はかぶってお外には出られないし、ばあやが気に入ったのなら、プレゼントしてもいいのよ」
マリサはそういうと男の方を向いて
「お父様は、それでもいいかしら」
といった。
男は「マリサがそういうなら、俺は構わないよ」と言って、クローゼットから”あのおぼうし”を取り出した。
まりさは内心喜々としていた、おぼうしを貰おうなどとは思っていなかったものの、
こうも簡単に自分の願いがかなったのだ。
「ありがとうございます!」
まりさは大きく喜びの声をあげると、自分の方に歩いてくる男の方を向き、顔をあげた。
しかしその瞬間、まりさはその喜びを、いや、なんて愚かな提案をしてしまったのかと後悔することとなる。
怖い!まりさの本能が即座に警鐘を鳴らした。
まりさの目に映った男の目は、ひどく冷めた、まるで虫けらでも見るような目だった。
先ほどまでのやさしくマリサに接する男とはまるで別人のようだった。
しかし逃げ出すことは許されない。
自らが望んだおぼうしを被せてもらうという行為は、
まるで死神の振り下ろす鎌に襲われるような錯覚に変わってしまった。
まりさはギュッと目を瞑ってその時を待った。
マリサはまりさのそんな気持ちには気づくはずもなく、にこにことその様子をほほえましそうに見守っている。
そしてゆっくりとまりさの頭に、おぼうしが乗った。


「!!!!!!!!!!」
その瞬間、とても言葉にはできない感覚がまりさを襲った。
「うわあぁあああああああ!!!うぶっ!ゆげぇぇ!!!!」
あまりの混乱にまりさは口から猛烈な勢いで餡子を吐き出す。
「えっ!どうしたの!?ばあや、大丈夫!?」
マリサはあまりの突然の出来事に驚きを隠せないでいる。
しかし男は冷静に、まりさからおぼうしを取ると、おぼうしをマリサに預け、
餡子を吐き出すまりさを抱きかかえた。
「原因はわからないけれど、俺はばあやの治療をするよ」
男がそういうとマリサは不安そうな顔をした。
「ねぇお父様、ばあやは本当に大丈夫?しんじゃったりしないわよね!?」
「あぁ、きっと大丈夫さ、明日には元気になるよ、お父さんもがんばるから、マリサはゆっくりおやすみ」
男がまりさの髪をそっとなでると、マリサは「はい…」と一言だけいって、枕に頭を埋めた。
「本当に大丈夫かしら…」
マリサはまりさが豹変した原因であろう自分のおぼうしを抱きしめたまま、
男とまりさが部屋を出るまでずっと視線をはずせずにいた。


そしてゆっくりと扉が閉まる。
部屋に取り残されたのは、一人の少女と、何事もなかった静寂だけだった。
あんな出来事があった後にすぐには寝付けず、マリサは男の言いつけをやぶり、ゆっくりと体を起こした。
「お父様からもらったおぼうし…」
先ほどは”ばあやにプレゼントする”とまでいったおぼうしだったが、このおぼうしはマリサの宝物でもあった。
父から初めて貰ったプレゼントなのだ。
マリサはこのおぼうしを被って、父と外を散歩するのが楽しみだった。
ゆっくりとマリサはおぼうしを頭にのせる。
それだけでなぜか心があったかくなるような、満たされるような、不思議な心地になった。
マリサはこのおぼうしが本当に大好きだった。
それだけにまりさのあの反応には、疑問が残った。
本で読んだ知識では、『ゆっくりまりさ種』は、このおぼうしと非常によく似たお飾りをつけているはずだった。
なので、自分は『ゆっくりまりさ』だった、と教えてくれたばあやはきっと気に入ってくれるはず、そう思ったのに。
「無事でいて…」
マリサには、ただただまりさの無事を祈ることしかできなかった。




--------------------------------------



「どうして…どうじで…」
部屋から出たあとまりさはずっとその言葉を繰り返していた。
あのおぼうしを被った瞬間まりさを襲ったもの、
それはある強烈なひとつの情報だった。

あのおぼうしは赤ちゃんのもの…

言葉で教えられたわけではない、しかしまりさははっきりとそれを確信していた。
おぼうしが教えてくれたのだ。
おぼうしを被って、おぼうしから伝わってきた、言葉で説明されるよりも確かで鮮明な情報だった。
しかしひとつ奇妙な点があった。
それは赤ちゃんのおぼうしがあそこにあったことで当然わかるはずだったこと。
赤ちゃんの死が伝わってこなかった。
おぼうしからは決して死の匂いはしなかったのだ。
しかしそれだけでは赤ちゃんの無事を確信できるわけではない、死ぬ前に切り離されたのかもしれない。
それに今はまだ、成長していたとしても子供のはずのまりさの赤ちゃんのおぼうしが
あんなに立派で大きいはずがない。
まりさはひどく混乱していた。

そんなまりさの様子を無視して、男はまりさを抱えたままある部屋に入った。
まりさが最初に目覚め、教育を受けたあの部屋である。
部屋の中はこれと言って目立った家具などはなく、
薄暗い室内には一台のパソコンモニタが煌々と明かりを放っていた。
男はまりさを無造作に床にほおる。
「ゆべぇっ」
餡子を吐き出し、弾力を失ってしまったまりさはそのままべちゃりと床に叩きつけられた。
男はパソコンの前のイスに座り、まりさを見下ろす。
「ゆっ…!」
そのときまりさは気づいてしまった。
男の目は再び、おぼうしをまりさにかぶせる瞬間のあの目をしていた。
まりさは体の奥からくる、ガクガクとした震えを止めることができなかった。



「…さて、どうしたもんか」
長い沈黙のあと、男がぽつりと言う。
「…めん…さい…ごべ…」
「ん?」
何かをぶつぶつと呟いていたまりさが、突然大声をあげる。
「ごべんなざいぃいいい!!」
まりさは先ほどまでの疑問よりも、ついに男の視線への恐怖に耐えられなくなってしまった。
「おぼうしかぶりたいなんていって、もうじわげありばぜんでじだぁああ、
 ゆるじでぐだざいごじゅじんざばぁああああ!」
まりさは涙と涎をまき散らしながら顔面を床にこすりつけ必死に謝った。
このままでは殺されてしまうかもしれない、なんとか許してもらわなければ。
しかし、男の反応はまりさの予想していたものとはだいぶちがった。
「何を言っているんだお前は」
「ゆ?」
「べつにそんなことは、謝ることじゃないさ」
男の表情が一瞬和らぐ。
「別に俺はお前を責めようとしてるわけじゃない、
 ただ、実験を次のステップに移行するかどうか、考えていただけさ」
「ゆゆゆ?」
まりさは『ご主人さま』が突然なにをいいはじめたのか理解できなかった。
「でもまぁいい、実際お前はよくやってくれた、ご褒美に全部教えてやろう」
まりさは男の”教える”という言葉で、先ほどのもやもやを思い出してしまった。
いてもたってもいられずに、男の言葉を遮ってまりさは声をあげる。
「まってください!やくそくは…おちびちゃんは
 ほんとうにゆっくりさせてもらっているんですか!?」
「ほう…」
男はそのまりさの言葉に”喜んでいた”。
「お前、それがわかったのは、あの帽子をかぶったときか?」
「ゆっ!そうです、まりさにはわかったんです!あれはおちびちゃんのものだよね!?」
興奮のあまりまりさは『まりさ』に戻ってしまっていた。
男がジロリとを睨みつける。
「おい、俺に約束を守っているのか確認する矢先に自分が約束を破るのか?」
「ゆぐっ!も、もうしわけありませんでした…」
「今回は見逃してやろう、大丈夫だ、お前が約束を守っている限り、
 もちろん今でもお前のこどもは元気にゆっくりしているさ」
「ほ、ほんとうですか!?」
「あぁ、嘘は言っていない、近頃は友人もできたとか、実に幸せそうにしているよ」
「よ、よかった…でもそれならなんであのおぼうしが…」
「それを今から話そう」
その時まりさは思った、いまご主人さまはまるで子供のような目をしている。
事実男は喜々としていた、もうこの続きを話したくてしょうがなかったのだ。




--------------------------------------



男は『ゆっくり』の未知に包まれた生態を研究する研究者だった。
研究のためにこの森のそばに居を構え、生態観察をしている途中にまりさと出会ったのだ。
そこで男はかねてから研究するつもりだったテーマの実験をすることにした。
それは『ゆっくりの能力と可能性』についてである。
もちろんできるだけ多くのゆっくりで実験するつもりではあったが、
実験体1号のまりさが思っていたよりもはるかに優秀であったために、長期的な実験に移行したのだ。
『ゆっくり』にはある程度の知能がある、しかし普段はほぼ本能のままに生きている。
その『ゆっくり』が種の本能を捨てて理性に傾くことができるのか、
という実験に対して、まりさはじつに優秀な成績を残した。
ただ一つ、お飾りを前にしたときに理性が揺らぎ本能が露呈してしまいはしたが、その程度は十分許容範囲であった。
『ゆっくりの能力』についての実験は成果は上々であったといえる。
そしてもう一つ『ゆっくりの可能性』についてである。
男はこれに始めに残した『まりさの子供』を使用していた。
現在様々な研究者により、ゆっくりの生物としての研究はかなり深いところまでされている。
クローン、移植、薬物反応など、多くの実験が行われ、様々な資料が出来上がっていた。
しかし中でも多くの研究者が手を焼いているのが『思い込みの力』である。
人間にも『思い込みの力』は存在している。
アスリートのトレーニングなどで利用されていたりするが、
『ゆっくり』のそれは、人間のものなどはるかに及ばない領域であった。
男が過去にみた実験報告では
『明らかに致死量の身体的欠損を受けていても、痛みを感じないようにしてやれば生きている』
『環境の変化などによって、本来ではありえない速度での進化と呼べる身体的特徴の変化が現れる』
など、さまざまなものがあった。
そこで男はある一つの実験を考え付いた。
それは、『ゆっくりがどこまで人間に近付くことができるか』である。
この実験は、わずかではあるがまりさにも適用されていた。
まりさは『ゆっくり』としての生活を経て教育され『ばあや』としての務めを果たすまでになることができた。
それを男は『まっさらな状態の実ゆ』に施したのだ。
生まれる前から『ゆっくり』ではなく『人間』としての環境を整え。
生まれてからも常に『人間』であることを意識させ、教育し、覚えこませた。
もちろんそれは強制的にではなく、あくまで自然に。
そう、『ゆっくり』としてではなく元々『人間』として。
胴体を移植し、衣食住を与え、人間としての教養、言葉づかい、生活を送らせる。



それが『マリサ』だった。



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まりさはひどく消耗していた。
男からの真実の告白を受けた後、吐き出した餡の補給などの治療をしてもらい、部屋まで運んでもらった。
だがまりさの精神はもはやギリギリであった。
今まで『ばあや』と呼ばれ、『お嬢様』と慕っていたマリサが、まさか自分の子供だったなんて。
まりさのゆん生の中で、『胴つき』という『ゆっくり』がいることは、風の噂で知っていた。
しかしまりさの目に映るマリサは”人間そのもの”であった。

あの時すべての説明が終わった後、男は言った。
「お前たちは非常に優秀だったよ、元々は実験が終わったら実験材料は破棄する予定だったんだが
 褒美にこれからも今の生活を続けさせてやろう、もちろん自分の意思で辞めるのであれば、止めはしない」
普通に考えれば願ってもいないことであろう。
実験体としての真実を伝えられても、今まで偽りだと気付かなかったとはいえ、
幸せなゆっくりとした毎日をこれからも続けていけるのだ。
しかしまりさは迷っていた。
それはつまり、まりさはマリサに自分を親であると伝えられないということだ。
いや、もしかしたら言ってしまえば楽になるかもしれない。
でも男は『約束』を無しにするとは言っていない、それにそれはマリサの『人間』としての幸せを奪うことになる。
まりさがマリサの親であるという真実を突き付けることは、
マリサの『マリサ』を全て否定してしまうと言っても過言ではないはずだ。
まりさはゆんゆん唸りながら眠れない夜を過ごした。


--------------------------------------



まりさがたっぷり詰まった餡子脳を捻りながら、ああでもないこうでもないとこうでもないと考えていると、
いつの間にか朝になってしまっていた。
(もうこんなじかん、おじょうさまをおこしにいかないと…)
そう思ってまりさはハッとした、『ばあや』としての生活は実のところそれほど長くないはずなのに、
いつの間にかすっかり馴染んでしまっていたのだ。
ついさっきまで、親だ、子だ、ゆっくりだ、人間だと考えていた自分が少しだけおかしいと思ってしまった。

そしてまりさはゆっくりと静かに扉をくぐる。
「おはようございます、”おじょうさま”」
「ばあや!」
マリサはすでに起きていた、いや、眠っていなかったのだ。
マリサは真赤になった目をこすりながら、まりさを迎える。
「心配したんだから!」
「ごしんぱいかけてもうしわけありません、”ばあや”はだいじょうぶです」
「本当によかった…わたし、ばあやが死んじゃうんじゃないかって…」
マリサは寄ってきたまりさを抱きかかえ、強く抱擁した。
まりさは、マリサの温かい体に包まれながら、全てがほどけていく感じがした。
「やぁおはよう」
男が扉を開けて挨拶し、朝食を部屋に運ぶ。
一瞬体が強張る思いをしたまりさだったが、男は昨日した新しい『約束』を守ってくれるようだった。
(そうだ、きっとこのままでいい、”このまま”で…)


まりさは思った。
自分はあの日、『まりさ』を捨てた日から、『ゆっくり』ではなくなってしまったのかもしれない。
『ゆっくり』としての”ゆっくり”はもう感じることはできないのかもしれない。
『ゆっくり』であることを否定し、親子の”業”を切られ。
そしてさらに偽りという深い霧に包まれて、”わたしたち”は『ばあや』と『お嬢様』と『ご主人さま』になった。
もう友達のちぇんもいない、好きだったれいむもいない、可愛がってもらったありすもいない。
野原を駆け回ることもできない、仲間と身を寄せ合う喜びも、ゆっくりを分かち合うこともできない。
でも『お嬢様』と『ご主人さま』と一緒にゆっくりとした毎日を送れることが、
いまの『自分』にとって、最高に『幸せ』なのだ。


食事の片づけをし、部屋を出て行こうとする男の背中にまりさが声をかけた。
「あの、ごしゅじんさま」
「どうした?」
男がゆっくりと振り返る、もう男の目から冷たい雰囲気は感じられなかった。
今までは『ゆっくり』など所詮実験動物としか見ていなかった。
しかしあまりに”2匹”は優秀すぎた。
孤独だった男にとっても、『ばあや』と『マリサ』は、かけがえのない『家族』に変わろうとしていた。
「やっぱりごしゅじんさまは、”かみさま”でした、どうかこれからも”わたしたち”をよろしくおねがいします」
まりさが自分のことを”かみさま”と例えた理由は男には分からなかったが、男はゆっくりと微笑んでいった。
「そうか、じゃあこれからも『マリサ』をよろしくな、『ばあや』」
「はい!」



男はマリサにも微笑みをかけて部屋を後にする。
どうしたの?と首を傾げるマリサに、ばあやは、なんでもありません、とかえす。
幸せな時間が、再びゆっくりと流れだした。




--------------------------------------




ある日、一匹の『ゆっくり』が寿命を迎え静かに息を引き取った。
ついに自分が親であると子に伝えることをしなかった『ゆっくり』は、しかし大変幸せそうに眠っていた。

ここはあるゆっくりとした森の一角のよく日のあたる綺麗な花が咲いた場所。
そこには『ばあやの墓』と刻まれた小さな墓標がひっそりとたたずんでいた。

森のゆっくり達の間ではそこは有名な場所になった。
なぜならそこには時々、体の大きな男の人と、きれいなかわいい女の人、”二人の人間さん”が訪れるからだった。



終わり

この作品をマンガ化したものです。


kami01.jpg
kami02.jpg


ゆっくりいじめSS・イラスト ※残虐描写注意!コメント(10)トラックバック(0)|

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コメント

1103:

なぜしぃ系なのか…
イイハナシダナー

2012/08/11 19:58 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
1104:

面白かった!
虐待もいいがこういうのもたまにはいいな

2012/08/12 00:12 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
1152:

感動した

2012/08/19 15:10 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
1161:

これはマンガしか見たこと無かった

小説が先だったのか
この作品はいいなぁ
漫画とはまた違う取り残されたような、空白にぽつんといるような空気
虐待ではないけど、ゆっくりを題材にした理不尽な世界は
ゆ虐の新しいカテゴリを構築できそうですね

2012/08/20 16:25 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
1424:

やばい
涙が止まらん

2012/09/10 01:56 | きつね #- URL [ 編集 ]
1915:

こんな素晴らしい作品に出会えて嬉しい
HAPPY ENDもいいもんだなぁ…

2012/10/07 22:42 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
1965:

涙は出ないが・・・
かなりいい出来だったと思う
今までで最高の作品だった

2012/10/12 01:13 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5910:

あれ?目から汗が…

2013/04/10 16:29 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
6403:

あぁ…うん
つまんねぇ

2013/04/29 00:22 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
9292:

普通にいい話でビビった

2013/07/24 07:58 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]

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