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2128:ゆきのなか

2012/10/21 (Sun) 01:31
季節は冬。
ここは、人間の里から少し山の中に入った森の中。
しんしんと降り積もる雪の中、木の根元あたりに、
木の枝や小石が積み重ねられた奇妙な膨らみが見える。


「・・・っくちちちぇにぇ・・・」「すーり・・・むーしゃ・・・」「・・・ちあわちぇー・・・」


もしもここに人間がいて、周囲の音に注意深く耳を傾けたならば、
その膨らみの奥から、人間のしゃべるような声を、かすかに聞き取ることができたであろう。
そして、さらに注意深く周囲を観察すれば、同じような奇妙な膨らみは、
そこらじゅうの木の根元に見つけることができたはずだ。

そんな奇妙な膨らみの一つ、雪と、木の枝や小石に隠された奥には、木の洞がある。
そこには、つがいである2匹のゆっくり、群れの長まりさとれいむが住んでいた。
冬という、ゆっくりにとって死の季節の中にいながら、2匹の表情はとても明るい。


「まりさとれいむのおちびちゃん・・・もうすぐうまれるね。」
「ゆぅん。とってもゆっくりしてるね。」
「・・・(プルプル)」
「ゆぅ~ん。おちびちゃんがおへんじしてるよ~。」


なぜなら、おうちの入り口を完全に閉ざして越冬を開始してから数日、
このつがいの間には、間もなく新しい命が誕生しようとしていたからだ。




ここはゆっくりの群れの生息地。
木の枝や小石で作られた膨らみは、木の洞や洞穴など、巣穴の入り口を塞ぐためのバリケード、『けっかい』であった。
野生のゆっくり達は、雪の降るような冬の季節には、巣穴にこもってゆっくりと過ごし、
寒気を防ぐために入り口を堅く閉ざして、秋に蓄えた食糧で命をつないで春を待つ。


「どぼぢでごはんさんなくなっちゃうのぉぉぉおおお!!」
「ゆぁーん。おきゃーしゃん、おなかしゅいたー。」
「しょうがないよ・・・おぢびぢゃんは、でいぶにゆっぐりだべられでねぇぇぇええ!!」
「ゆびぃぃぃぃぃ!!どぼぢでしょんなことしゅるのー!?」
「もっちょ・・・ゆっぐぢ・・・」


と、たいていの場合、野生のゆっくりにとって、越冬は過酷であり、命がけのものだ。
十分な量の食料確保に失敗すれば、飢餓が親子にすら共食いを引き起こし、
それでも食料が不足すれば、体温を保てず凍死するか餓死する。
巣穴である『おうち』の作りがあまければ、積雪の重みで崩壊、雪と土の中で圧死。
巣穴が頑丈でも、入り口の塞ぎ方がダメだと隙間風でやはり凍死。


こうした悲劇を起こさないため、特に優秀なリーダーがいる群れならば、いくつもの対策を立てて
必死に被害を減らそうと努力している。
ドスまりさの力で頑丈な崖などに洞窟を掘り、共同住宅として群れ全員で冬を越す、
熟練のゆっくり達が協力して、群れのみんなの『おうち』補強工事を監督する。
食料が足りなかったら、人間さんの独り占めしているお野菜を強奪してくる、など。


そんな中で、何より注意されるのが、『越冬前にすっきりーして子供を作らない』ということだ。


「「すっきりー!!」」
「ゆぅん。れいむのかわいいおちびちゃんが、たくさんできたよ~。
まりさ、おちびちゃんのために、はやくれいむにあまあまをとってきてね!」
「なにいってるのぉぉぉおお!?おそとはゆきさんがふってるんだよぉぉぉおおお!!」
「だからなんだっていうの!?つべこべいわないで、はやくごはんをとってきてね!!」


びゅぅぅぅぅううううう


「しゃぶぃぃぃぃいいいいい!!!ゆっぐぢぃぃいいい!ゆっぐぢぃぃぃいいいいいい!!」
「れいむはむーしゃむーしゃするよ!むーしゃむーしゃむーしゃ・・・はぐっ!ばくばくっ!めっちゃうめっ!ぱねぇ!」


 ・・・3日後


「どうしてごはんさん、なくなっちゃったの・・・・・・おちびちゃんをむーしゃむーしゃするよ・・・」


こんなことも当たり前のように起こる。


秋の半ば以降にすっきりーしようものなら、にんっしん中だけでなく、生まれてからも子育てのために、
つがいの一方は狩りに参加できなくなる。
越冬中にすっきりーしたりしたら、さらに最悪だ。
食い扶持の増加で貯蔵食料の計算は完全に崩れ、食糧不足で結局一家全滅となる。
つまり、厳しい環境下に生活する野生のゆっくりにとって、
冬+赤ゆっくり=死、というのは、ごくごく一般的な考え方なのだ。




だが、実は先ほどの長まりさとれいむのつがいだけでなく、この群れの中では、現在にんっしん中、
あるいは生後数日以内の赤ゆっくりを抱えた家族が大半を占めていた。
いかに若いゆっくり達とは言え、本能にまで刻み込まれた冬の恐怖を知らないはずはない。
では、なぜあえて越冬が始まった今、ゆっくり達は子供を作ることを選んだのか。


その理由を見ていくため、先ほどのつがいの一方、長まりさの生まれた春の中頃まで時間をさかのぼることにする。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




季節は春。
多くの野生ゆっくりにとっては、長い死の季節を乗り越えたあとの、喜びの季節である。
暖かな陽気。
新鮮で大量にある、ゆっくりした野草や虫。
食料の心配がなくなったことで、成体ゆっくり達はさっそくすっきりーに励み、
新たな命を迎えることでさらに喜びが積み重なる。




「まりさとれいむのおちびちゃん・・・もうすぐうまれるね。」
「ゆぅん。とってもゆっくりしてるね。」


 ・・・・・・。


「そうだよね・・。」
「・・・そうだよ。」


ぶるぶる・・・ぷちんっ!


ぽとっ!


「ゆぅ・・・ゆっく、ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!」
「「ゆっくりしていってね!!!」」




まりさも、そんなベビーラッシュの中で誕生し、祝福を受けた赤ゆっくりであった。
だが、生まれて数日経ち、おうちから外を眺めて過ごすようになった赤まりさは、
春の陽気も楽しめず、あまりゆっくり出来ていなかった。
なぜなら・・・ここが岩肌も荒々しい、草木もろくに育たない高山の荒地だからだ。




「ただいま、れいむ・・・。」
「おかえり・・・まりさ。」
「ふぅ・・・ごはんだよ・・・なかよくむーしゃむーしゃしようね・・・。」
「ゆわーい!!むーちゃむーちゃしゅるよ!!」×10


だが、食卓代わりに置かれた平たい石の上には、固い雑草が少々と干からびた虫の死骸だけ。


「むーちゃむーちゃ・・・それなりー。」
「おとーしゃん・・・もっとむーちゃむーちゃしちゃいよ・・・。」
「ごめんね・・・はぁ・・・おうちのまわりに、ごはんがないんだよ・・・」
「どぼぢでしょんなこというにょぉぉぉぉおおお!?」×10


とは言ってみたものの、赤ゆっくり達はそれほど駄々をこねることなく、残念そうに食事を終えた。
父まりさの話が嘘ではないことは、生後3日を迎えてようやく跳ねることが出来るようになったばかりの、
幼いまりさ達にもわかってはいたのだ。
何せ、おうちを一歩踏み出してみたら、眼前に広がるのは砂利や砂ばかりという、
およそ命の喜びとは無縁の世界が広がっていたのだから。




「おちびちゃんたち・・・きょうはもう、ゆっくりすーやすーやしようね。」
「ゆぅぅぅぅ・・・ゆっくちりきゃいしちゃよ。」×6
「じゃあ・・・まりさが、ふぅ・・・おふとんをよういするね・・・」


だが、森に住む野生のゆっくり達のような、落ち葉や草を敷いたお布団や、
ましてや丁寧に編みこまれたベッドなどというものが出てくるはずもない。
そんなものがあったら、今日の夕御飯になっているのだから。


「おちびちゃん・・・はぁ・・・ゆっくりすーやすーやしてね・・・」
「ごりょごりょちて、ゆっくちできにゃいよぉ。」×6
「ふぅ・・・ごめんね・・・ゆっくりがまんしてね・・・はぁ・・・」


お布団として用意されていたのは、比較的粒の細かい砂(といってもサラサラというには程遠い)を、
平たい石の上に厚めに敷いただけのものである。
まりさ達赤ゆっくりは、この砂にあんよを口のすぐ下あたりまで埋め、身を寄せ合って眠る。
石の上に直に眠る両親よりはマシかもしれないが、少なくともしあわせーからは程遠かった。




まりさ達のおうちは、大きめの石が偶然積み重なってできた隙間に穴を掘って作ったものだ。
風雨や外敵から身を守るという意味で言えば、まあ、そうそう悪くもないものではあったが、
とにかくゆっくり出来ない場所に住んでいる、という感覚のまりさから見たら、
なんだか無機質でゆっくり出来ないおうちに思えてならなかった。


『ここはゆっくりできないよ。まりさはおおきくなったら、ゆっくりぷれいすにいくよ。』


それは、まりさが生まれてからずっと抱き続けていた想いである。




そして、食糧不足で次々と姉妹達が餓死していく中、なんとか生き延びてテニスボール程度に成長したある日、
父まりさが大事なお話がある、と言って姉妹をおうちの近くの崖へと連れて行った。


「ゆわーい!もりしゃんがみえりゅよ!」
「とっちぇもゆっくちちちぇりゅにぇ!」
「おしょらとんでるみちゃーい!!」


「ふぅ・・・。おちびちゃんたち。あの、もりのむこうをみてね。」
「ゆぅ?・・・ゆゆっ!!」


崖からは、山のふもとに広がる広大な森が一望できる。
この眺めのいい崖へのピクニックは、まりさ姉妹にとってはほとんど唯一と言っていい娯楽であった。
大きくなったらあんなところに住むんだ、というのは、姉妹共通の夢であったのだ。
そして、その広大な森のさらに向こうに、木々がほとんどない、平らな土地が広がっているのが見えた。


「あそこはね。・・・にんげんさんがすんでるところだよ。」
「ゆわぁぁぁ。しゅごくゆっくちしちぇるにぇぇ・・・」×3


ゆっくりは、ゆっくりしているものに関しては敏感なものだったりする。
人間から見てもかすんで見えるほど遠くの人里に、まりさ達はとてもゆっくりしたものを感じ取っていた。
里の中を流れる小川、緑に輝く田畑。
人間さんが出入りしている所は、人間さんのおうちだろうか。


だが、まりさ姉妹がゆっくりしている中・・・父まりさだけはまったく別の表情を浮かべていた。
人里を眺めているだけにもかかわらず、歯は限界まで食いしばられ、全身汗まみれ、
口の端からは餡子混じりの泡がゴボゴボとたれている。


「ゆ゛・・・ゆぎぃ・・っ!ゆぅぅぅうう・・・!!」
「おとーしゃん?」
「ゆぎぃぃぃひぃ!にんげんさんはゆっぐりでぎなぃぃぃいいいい!!」
「!?」×3


しばらく脂汗をかき、顔色を赤、青、土色にあわただしく変化させていた父まりさが、突然暴れ始めた。


「ゆびぃっ!!おねぇじゃんっ!だべぇっ!!おぎゃあじゃぁぁん!!」
「ゆぅぅぅ!!おとーしゃん、ゆっくちちちぇにぇっ!ゆっくちちちぇー!」


 ・・・・・・。


「ゆぅ・・・ゆぅぅぅ・・・おちびちゃん、ぜったいにんげんさんにちかづいちゃだめだよ。ぜったいだよ。」
「ゆ、ゆっくちりきゃいしちゃよ。」×3


結局、何があったのかは聞けなかった。
まりさ姉妹達だって、餡子による記憶継承の効果で、人間さんがゆっくりできない、
という感覚は両親から受け継いでいるのだが、所詮は両親一代限りのトラウマであり、
れみりゃ等のような、明確な意味でのゆっくり出来なさは記憶を受け継いでいない。


そのため、まりさにとって父まりさからの忠告は、
『人間さんに出会うと確実に死ぬ』と言う様なものではなく、
『ゆっくり出来ない存在で、どんな強いゆっくりでも不用意に近づくと酷い目にあう。』
という程度のものと認識されることになった。




それからさらに月日は流れ、季節が夏の終わりに差し掛かった頃、
他の姉妹全てが命を失う中、最後まで生き延びたまりさが、
独り立ちして親元を離れる日がやってきた。


「おちびちゃん!ゆっくりしていってね!!」
「もうおちびちゃんじゃないよ!ゆっくりがんばるね!ゆっくりしていってね!!」


こうして結局まりさは、親の忠告を無視して森の方へと旅立っていったのであった。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




独り立ちに際して、まりさには一つの計画があった。
その計画は大体以下のようなものである。


1.人間さんの里に行き、そこで一番強い人間さんと勝負して勝つ
2.力を示すことで人間さんからゆっくりプレイスと食料、おうちを手に入れる
3.森や山からゆっくりを呼び集め、人間さんの里をゆっくりのためのゆっくりプレイスにする
4.群れの長になる
5.ゆっくりした美ゆっくりと、ゆっくりした家庭を築く
6.ゆっくりし続けたまりさはいつしかドスになる




意気揚々と山を下り、森に入り、人間でも丸一日ではきかない距離を走破するまりさ。
まりさ自身は気づいていなかったが、山育ちであったため、
足腰の強さとスタミナについては、確かに群れの長にふさわしい逞しさを手に入れていたのである。


そして、ゆっくりの足で言えば、あと一日で人間の里に着こうという森の中で、
まりさの旅は、予想外の形で終わりを迎えることになった。







「ゆぁぁぁぁああああ!!なにこれぇぇぇええええええ!!!」







目の前には、人間の里が霞んでしまうほどの、ゆっくりプレイスが広がっていた。


木々は適度に生えて木漏れ日が優しく降り注ぐ。
地面には若く柔らかな雑草から人間も食用とするような野草まで青々と茂っている。
草ばかりではない。
周囲にはキノコやゆっくりでも届く高さに実った木の実も豊富にある。
その豊かな食料に誘われてか、昆虫からイモ虫まで、取り尽せないほどにいる。


食料ばかりではない。
大きく育った木々の根元を見れば、その多くにはゆっくりが家族で暮らすのにちょうどいい洞がある。
中は小石などもほとんど落ちておらず、すべすべに整えられており、隙間も丁寧に埋められている。
明らかに以前別の群れが使っていたと見られるおうちばかりであった。


今、どうしてゆっくりが住んでいないのか不思議であったが、
一時的な食糧不足で群れごと引っ越すことも珍しくはないので、
ここはかつて別の群れが使い、放棄したゆっくりプレイスだったのであろうと、まりさは理解した。


まりさが放心状態でゆっくりプレイスの中を歩き回っていると、
まりさとは別の場所から独り立ちしてきたのであろう、若いゆっくりの集団が多数、
吸い寄せられるようにこのゆっくりプレイスにやってきた。


「ちぇん、ゆっくりしていってね!!」
「まりさだねー!ゆっくりしていってねー!!ゆわぁぁー、すっごいゆっくりぷれいすだねー!わかるよー!」
「ゆぅん!ちぇんもそうおもう!?ここにはいま、ほかのゆっくりたちはぜんぜんすんでないんだよ!」
「わからないよー!!こんなゆっくりぷれいす、ほっとくにはもったいないねー!」
「ゆっふん!!そうだよ!ここは、まりさたちのおうちにしようね!!」
「わかるよー!!」


こうして、まりさの無謀なゆん生計画は、あっさりと方向転換を向かえ、
人里から近くも遠くも無い、実り豊かなゆっくりプレイスで、一から群れを作る作業が始まったのであった。


そもそも、まりさにしても、ゆっくりしていない人間さんと争うのは、あまり気が進まないことではあったのだ。
まりさほどのゆっくりであれば、相手が人間さんであっても負けることは無いであろう。
しかし、ケンカは痛いしゆっくり出来ない。
それに、万が一相手に遅れをとれば、永遠にゆっくりしてしまうこともあり得る。
また、実のところ人間さんの里を見たこともないので、どの程度ゆっくりしたゆっくりプレイスなのかわかったものでもない。
遠くの、あるかも怪しいゆっくりプレイスより、目の前の極上のゆっくりプレイス。


まりさの、新生活はここから始まった。




ゆっくりしたおうちとご飯は、余りにもあっさりと手に入ってしまった。
さらに、まりさ達のゆっくりとした姿を見つけて、独立したての若いゆっくり達が続々とやって来ては定住を決める。
わずか数週間で、まりさ達のゆっくりプレイスには、大規模、と言って差し支えない規模の群れが形成されていった。


「わからないよー。そろそろおさをきめないと、ゆっくりできなくなっちゃうよー。」
「そうね。せっかく、とかいはなゆっくりぷれいすなんだから、みんななかよくしたいわ。」
「むきゅん!それじゃあ、ぱちぇはまりさがおさになるといいとおもうの!!」


「ゆぅぅー!まりさでいいのぉぉぉおお!?」


「まりさなら、きっととかいはなむれにできるわ!」
「ゆぅ。でもまりさ、もりでのせいかつになれてないよ。わからないこともおおいよぉ。」
「わかるよー。でも、まりさのできないことは、みんなできょうりょくしてあげるからだいじょうぶだよー。」


 ・・・・・・。


「ゆぅ。わかったよ!まりさ、このむれのおさになるよ!!」
「むきゅーん!ぱちぇたちにもおてつだいさせてね!むきゅっ!」


流れは自然と生まれ、拡大していく。
まりさは群れの初期メンバーとしてリーダーシップを発揮していた点を考慮され、立候補するまでもなく長に選出された。
なお、幹部メンバーは、このゆっくりプレイスでまりさに初めてであったちぇんとありすのつがい、知恵者ぱちゅりーの3匹。
群れの体制はこの4匹を中心として、急速に固まっていった。
そして・・・




「このむれのおさはまりさみょん!?みょんたちをむれにいれてほしいみょん!!」
「ゆっくりしていってね!!おうちはたくさんあるよ!・・・ゆゆっ!?」


「どうしたみょん?れいむのおかおになにかついてるみょん?」
「・・・ゆぅ?ゆっくりしていってね。」
「(ゆわぁ。ゆっくりしたれいむだよぉ。)ま、ま、まりさとずっと、ゆっくりしていってね!!」


「・・・・・・?・・・ゆぅぅぅうううう!!?」


ある日群れに加わってきた若ゆっくりの集団に、一匹のれいむがいた。
清楚な物腰、紅く輝く大きなおリボン、そしてゆっくりとした下膨れ。
初めてれいむとあいさつした時に、まりさのぺにぺにに電流が走った。
一目ぼれというものであろう。
結局いきなりすぎて、れいむから正式にOKの返事が来るまでに5分以上かかったが、
まりさは、ゆっくりプレイス、長という立場にくわえて生涯の伴侶まで、あっさりと手に入れてしまったのであった。




季節は夏の終わりという時期。
群れのゆっくり達も、そろそろ新生活に慣れてきた時期である。
早期にこのゆっくりプレイスにやってきたメンバーはつがいを見つけ、にんっしんしている者も多かった。
長まりさとれいむの間にも、何一つ障害はない。
後は、一刻も早くおちびちゃんを手に入れて、ゆっくりとした家庭を築きあげれば、
まりさのゆん生計画は、ほぼ完璧に果されることになるはずであった。


 ・・・だが、ある出来事が、まりさとれいむの子作りに待ったをかける。







「むきゅぅぅぅううううん!!まりさがぁぁぁぁああ、おちびちゃんがぁぁぁぁああああ!!」


その不幸は、長まりさの側近筆頭、ぱちゅりーの元に訪れた。
無論、この叫びの対象になるまりさとは、長まりさではなくぱちゅりーのつがいであった、だぜまりさである。


「むきゅ・・・おちびちゃん・・おそとはあぶないって・・・むきゅぅ。」




ぱちゅりーは胎生出産で、子供はまりさ1匹だった。
赤まりさは好奇心旺盛で、将来有望なゆっくりだったが、その好奇心が強すぎた。


「まりしゃ、おとーしゃんとかりにいっちぇくるよ!しょろーり、しょろーり!」


父であるだぜまりさが狩りに行き、母である側近ぱちゅりーがお昼寝している間に、
おうちを抜け出して、群れの喉を潤す泉へと遊びに行ってしまった。


さらに好奇心があだとなって、水草を採集している父、だぜまりさのマネをしてしまう。
水への恐怖よりも、お帽子で泉の上を自在に漂ってみたいという衝動が勝ってしまったのだ。


「まりしゃ、ゆっくちおぼうちにのりゅよ!ゆ!ぷーきゃ、ぷーきゃ・・・ぼちゃん。」


結果はご想像の通り。転覆、水没。


さらに不幸に輪をかけたのは、赤まりさが自分のおちびちゃんであると気付いただぜまりさが、
赤まりさを引き上げるため現場に急行、


「ゆぁぁぁぁああ!!おちびちゃん、まっててね!いまたすけ・・ゆぅっ!?・・・ぼちゃん。」


あわてすぎて転覆、水没。


結局側近ぱちぇは、一気に家族全員を失ってしまったのであった。




特に大きな危険もなく、ここに至るまで群れのゆっくりは増える一方だったため、
失うということに慣れていなかった幹部メンバーは、過剰に反応することになる。
特に側近ぱちぇは、自分自身を襲った不幸ということもあり、
これ以上同じ思いをするゆっくりを増やさないための対策を必死になって考えた。


そして、一つの結論に至る。




「ゆ!みんな、まりさのいうことをよっくきいてね!!」
「ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!」×300
「このむれでは、これからすっきりをきんしするよ!!」
「・・・ゆっぐりでぎなぃぃぃいいいいい!!!」×300
「でもあんっしんしてね!ずっとしちゃいけないわけじゃないんだよ!」
「?」×300


まりさ達幹部メンバーは、期限付きのすっきり禁止令を決定した。
内容は簡単。
要は、冬ごもりに入るまで一切すっきりーしてはダメ。
子作りは、冬ごもり中に行うべし!とのことである。


先にも書いたとおり、通常の群れであればこれは自殺に等しい案だ。
秋の間に集められるのは、成体のつがいであっても自分達の分だけで精いっぱい。
そこに子供が入れば飢え死に確定となる。


しかし、そこにこの群れの強みが加わると、状況が変わる。


何せ、ここは類を見ないほどのゆっくりプレイスで、食糧はおうちの外にあふれるほどある。
秋の間につがいで必死に集めれば、それこそ成体ゆっくり10匹以上は養える蓄えが出来るほどなのだ。
ならば・・・蓄えてしまえばいい。


後は、冬ごもりの季節になったらおうちの入り口をしっかりと閉じて、存分にすっきりーする。
赤ゆっくりはおうちの中で誕生し、お外にこっそり出て行ったりする心配はない。
しかも、両親ともやはりおうちから出ることはないので、にんっしん、子育て中にしんぐるまざーになる心配もない。
ゆっくりとしたおちびちゃん達とたっぷりゆっくりして冬の数か月を過ごし、その間におうちで出来る教育は済ませておく。
おちびちゃん達が子ゆっくり程度、十分に大きく成長した頃に、冬ごもりは終わりを迎えるはずだ。
後は春の恵みの中で、おちびちゃん達は大きく育ち、世界に羽ばたいていくのだ。


「すごーい!!おさはやっぱりてんっさいだよー!」
「わかるよー!」
「むほぉぉぉおおお!!すっきりー!」


群れのゆっくり達は、説明を聞き終わるとともに、目をキラキラと輝かせて幹部達をほめたたえた。
それもそのはずで、餡子で継承されている記憶では、冬ごもりと言うととても楽しいものではない。
餓死、凍死の危険を感じつつ、つがいがいればまだしも、下手すれば一匹で暗く狭い穴の中に閉じこもって過ごすのだから。
それが、死の危険もなく、最上級のゆっくりである『おちびちゃん』とともに過ごせるとなれば、
ゆっくりでなくとも、その喜びはなんとなく理解できるであろう。




そして群れのゆっくり達は以降数カ月間必死で狩りに奔走し、
(中には不幸な事故ですっきりを味わうことも出来ずに命を落とした者もいるが)
ほとんどのつがいが無事に冬を迎え、すっきりー出来るだけの蓄えを確保しておうちの入り口を塞いだのであった。
みんな、より大きなゆっくりをちらつかせられた分、意外と我慢強かった。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




 ・・・そして現在の状況に至る。


おうちの奥には貯蔵食糧の山、れいむの頭上にはツタが一本とそこに揺れる6匹の赤ゆっくり。
おうちの中央には、まりさがこの日のために、特に柔らかい枯れ草を編み上げて作った、
おちびちゃん達用の鳥の巣型ベッド。


ふかふか、ふわふわになるように、一生懸命頑張ったよ。
きっと、おちびちゃん達も気に入ってくれるね。




ぶるぶる・・・ぷちんっ!


 ・・・・・・ぽとっ!


「ゆぅ・・・ゆっく、ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!」
「「ゆっくりしていってね!!!」」
「ゆぅぅん!おとーしゃん、おきゃーしゃん、ゆっくち!ゆっくち!」
「ゆぅ!まりさそっくりの、げんきなおちびちゃんだね。」
「ゆふぅん!でも、れいむにおめめはそっくりだよぉぉ。」




「ぴゃぴゃー!みゃみゃー!れいみゅおなきゃしゅいちゃよ!」
「むーちゃむーちゃしちゃいよぉ。」
「ゆっ!まっててね。おちびちゃんに、つたさんをたべさせてあげようね!」


「ゆっくちむーちゃむーちゃしゅるよ!」
「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」




「おちびちゃん、さむくない?」
「ゆっくち!べっどしゃんがふーわふーわであっちゃかいよ!」
「ゆぅ。でも、まりしゃちょっとしゃむいから、しゅーりしゅーりしちぇにぇ!」
「おとーさんがすーりすーりするね!すーりすーり、しあわせー!」
「しゅーりしゅーり、ちあわちぇー!」
「ゆぅん、じゅるいよ!れいみゅもみゃみゃとしゅーりしゅーりしゅるよ!」


「すーりすーり、しあわせー!」
「しゅーりしゅーり!ちあわちぇー!」




まりさがおちびちゃんだった頃、しあわせーと言えばせいぜい、
栄養不足でガサガサな両親の頬とのすーりすーりくらいしかなかった。
さもなければ、手の届かないところにある、木々の緑を眺めている間の、白昼夢の中にだけ。


まりさは思うのであった。
この、ゆっくりとしたおちびちゃんには、まりさの全てを注いで、精一杯しあわせーを与えていこうと。
そうすることが、自分の報われなかった過去を取り返すことにもなるかのように。




「おとーしゃん、ゆっくちないちぇるにょ?」
「ぴゃぴゃ、ゆっくちちちぇにぇ!」
「ゆぅ?ゆふふ・・・おとーさんはね、しあわせーすぎてないちゃったんだよ。とってもゆっくりしてるよ。」
「ゆぅん、へんにゃにょー。」
「ゆふふふ、おちびちゃんたちも、おおきくなったらわかるよ。ゆっくりおやすみなさい。」
「ゆっくちしゅーやしゅーやしゅるよ!・・・しゅーや、しゅーや。」
「・・・・・・ゆっくりしていってね。」




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




次の日の朝、異変は突然やってきた。




ざくっ!
まりさ一家が眠っているおうちの中に、何かが突き刺さるような異音が響いた。



「ゆぅ、ゆ?なんなの?」
「まりさ、おうちのいりぐちで、へんなおとがしたよ。」
「ゆぁーん、ゆっくちできにゃいよぉ。」
「ゆゆぅ。まりさがみてくるから、おちびちゃんたちは、べっどさんのうえでゆっくりまっててね。」
「ゆぴゅぅ・・ゆっくちりきゃいしちゃよ。」




「ゆぅぅ、なんなのぉ?・・・ゆぁぁぁぁあああ!なにこれぇぇぇぇぇええ!!?」


まりさが入り口に向かうと、おうちの入り口を塞ぐ『けっかい』を、何か見たことない物が貫いていた。


「ゆぅぅぅううううう!!ゆっくりでていってね!ゆっくりはやくいなくなってねぇぇぇええ!!」


それは人間が見たとしたら、子供の手のひらサイズの、先割れスプーンに似ていると思うであろう、
銀色に輝く金属製の道具であった。
金属製のそれは、まりさの言葉を聞くまでもなく、ゆっくりと左右に動かされ、『けっかい』の石や木の枝を崩しながら引き抜かれた。
まりさが、寒気でおちびちゃん達がつらい思いをしないようにと一生懸命塞いだ入り口は、
いともたやすく寒気の中に口を開けてしまったのであった。


「まりさ、どうしたの・・・どうしてけっかいさんがなくなってるのぉぉぉおおお!!?」
「ゆぅぁあああ!ぎんいろのぴかぴかさんが、けっかいさんをこわしちゃったんだよぉぉ!」


訳が分からない相手に、秋の間ずっと待ち望んでいたゆっくりした時間を奪われた衝撃で、
れいむだけでなく、群れの長になったほどのまりさまでもが逃げるという選択肢を忘れ、お外にいるであろう敵に向かって飛び出していった。
そこでまりさ夫婦が見たものは、




先ほどの特Lサイズの先割れスプーンを、長さ1mほどの棒の先端に取り付けた、
槍のような奇妙な道具を手に持つ、一人の人間さんであった。
ちなみにその道具は、人間さんを避けていた、ゆっくり達は知らない道具。
里の人間さんの間では、『あの棒』と呼ばれている道具である。


「ゆ・・・にん、げんさん・・・。」
「ゆぅ?・・・どぼちて・・・?」


これまで、ゆっくりしていないからと、近づかないようにしていた人間さん。
遠くもない所に住んでいるのに、ゆっくりプレイスに一度もやってこなかった人間さん。
それが、雪の降り積もった、ゆっくりがおうちに閉じこもってしまった今、なぜかここにいた。


茫然とした一瞬、その間に、まりさとれいむは、人間さんのあんよでころりと上下さかさまに転がされた。


「「ゆ?」」


そして次の瞬間、


ざくっ!ざくっ!


「ゆ・・・ゆぎひぃぃぃいいいい!!!」


上を向いた2匹のあんよに、『あの棒』が突き刺された。


「どぼぢでっ!あんよさんが、まりさのゆっくりしたあんよさんがぁぁぁぁ!!」


まりさの叫びともとれる問いは、人間さんには聞こえた雰囲気すらみえず無視しされた。
そして人間さんは、崩されたままだった『けっかい』の材料であった、
木の枝や大きめの石を『あの棒』を使って雪に埋めていく。


「どぼ、ぢで・・・。やべでね!げっがいでおうぢをふさがないど、ざむぐでゆっくりでぎないよ!!!」


だが、やはりまりさの声は届かず、人間さんは手際よく木の枝や石を雪に埋めてしまった。


「なんでぞんなごどずるのぉぉおおお!!まりさだぢ、なんにもじでないでじょぉぉぉぉおおお!!?」


さらに人間さんは、もはや邪魔するもののなくなったおうちの入り口から、『あの棒』をおうちに滑り込ませると、
先端のフォーク状になった部分でおちびちゃん達のベッドの端を引っ掛け、崩れないようにそろりそろりと引きずりだす。
そのベッドの上には、まりさとれいむの、5匹の可愛いおちびちゃん達が恐怖と寒さで震え、涙を流していた。


「ゆぴぃ、ゆぴぃぃ・・・ゆっくちちちぇ・・ゆぅぅぅ、ころがりゅぅぅうう、ゆぴぃっ!!」


そして、ベッドに引っ掛けたままの先端を少し持ち上げ、ベッド全体を傾けて、
ゆんゆん泣くおちびちゃん達をころりと転がし落とす。
おちびちゃん達もまりさも状況についていけず、泣くことも出来ずに目を丸くしている中、
主のいなくなったゆっくりしたベッドは、雪をひとすくいかぶせられ、人間さんのあんよでパンパンと踏み固められてしまった。


「ゆ・・・くち、べっどしゃん・・ゆっくちちちぇ。」
「ゆぅ、・・・ぺーりょ、ぺーりょ、・・・ちゅめちゃぃ・・・。」


何が起きているのか未だに理解できていないおちびちゃん達は、
すっかり踏み固められた雪の下にうっすらと見えるベッドの上にもしょもしょと集まって、
ぺーろぺーろしようとして舌を雪に突っ込んだり、あんよをもぞもぞさせて、
ついさっきまで確かに感じていた、ゆっくりとした柔らかさを得ようとしていた。
しかし、当然埋め固められたベッドは二度と柔らかさを取り戻すことはなかった。


「ちゃむいよぉ・・・ゆっくちちゃちぇちぇ・・・」
「ゆっく・・・しゅーり、しゅーり・・・」


そうでなくても生まれたてのおちびちゃん達は、跳ねることが出来ず、這いまわることしか出来ない。
その上、すっかり冷え切ったおちびちゃん達のあんよは、もはやわずかに震える程度にしか動かせなくなっていた。
雪に埋められた、かつてベッドだったモノの上で、5匹のおちびちゃん達は、おうちに戻ることもできず、
身を寄せ合ってなんとか温まろうとすーりすーりしている。


「ゆぅぅううう!!にんげんざん!もうやべでね!まりざはどうなっでもいいがら、おぢびぢゃんをおうぢにいれであげでぇ!!」


そんなことを言っている間に、人間さんは再度『あの棒』をおうちの中に突っ込み、
まりさとれいむが秋の間、必死になって集めた、ゆっくりとしたご飯さんを、山盛りすくい出し、


ビュッ!!・・・・パラパラパラッ。


勢いよく周囲の雪の上にばら撒いてしまった。


「やべでぇぇぇぇええええ!!!おぢびぢゃんのだめの、だいじなごはんざんがぁぁぁああああ!!!」


それも、2回、3回と繰り返される。
まりさには、おうちの中は見えていなかったが、秋の間集めた食料の、実に9割近くは辺り一面にばら撒かれていた。
無論、逆さまにされている上、あんよに大きな穴があいているまりさには、集めなおすことなど出来ない。


結局まりさの声は人間さんに一向に届くことなく、視線すら一度も合うことがなかった。
人間さんはふぅっと一息吐くと、まりさのおうちの木の、人間さんの目のあたりの高さに描いてあった、
すっかり色が薄くなっていた×印を赤の塗料で塗りなおす。
そして、全ての作業が終わったとでも言うように、人間さんは向きを変えると、
こきっ、こきっと首をならし、深呼吸をして、どこかに移動しようと、歩き始めたのであった。




「ゆ・・・まっちぇ・・・」


人間さんが再びまりさ一家の前に通りがかった時、ベッドの残骸の上でぷるぷると震えていた赤まりさが最後の力を振り絞って呼びかけた。


「どうちちぇ・・・?にんげんしゃ・・・ん。」




人間さんは、赤まりさの前を素通りすると、まりさの横を通って、
群れ幹部のちぇんとありすのおうちの方へと、まっすぐ向かっていった。







ざくっ!


まりさの後方で、聞き覚えのある音が響いた。


「ゆぅぁあああ!ぎんいろのぴかぴかさん、けっかいさんをこわさないで・・にん、げんさん・・・?」
「わ、わからないよ・・・?」


「ちぇぇぇん!ありずぅぅぅうう!にげでぇぇぇええええ!!」


まりさは叫ぶ。だが、全ては遅すぎた。


「「ゆ?」」


ころりっ・・・ざくっ!ざくっ!


「わ・・・わぎゃらにゃぁぁぁあああ!!!」
「どぼぢでっ!あんよさんが、ありずのどがいはなあんよさんがぁぁぁぁ!!」


「なんでぞんなごどずるのよぉぉぉ!!ありずだぢ、なんにもじでないでじょぉぉぉぉおおお!!?」


まりさの背後で、ありすとちぇん達の叫び、そして、
まだ生まれたばかりであろう赤ありすと赤ちぇんの泣き声が聞こえる。


「ゆぴぃ、ゆぴぃぃ・・・わきゃらにゃぁ、ころがりゅぅぅうう、わきゃら!!」


ばさっ!ばさっ!ぱんっ、ぱんっ!


「しょんにゃ・・・くち、べっどしゃん・・しゃむいわ・・・」
「ゆぅ、・・・ぺーりょ、ぺーりょ、・・・わきゃらにゃ・・・。」
「ゆっくちちちぇ・・・しゅーり、しゅーり・・・」


ビュッ!!・・・・パラパラパラッ。


「やべでぇぇぇぇええええ!!!おぢびぢゃんのだめの、とかいはなごはんざんがぁぁぁああああ!!!」




 ・・・・・・。




その後も、まりさの後方では、いくつかの家族の叫び声が聞こえ続けていたが、
それがいくつか続いた頃には、まりさも大声で人間さんに呼びかけたり、ゆっくりに逃げるように叫んだりはしなくなっていた。
ただ、逆さまのまま身動き一つ取らず、涙を流していた。
そしてよく見れば、まりさの遠く前方にも、まりさ同様に上下ひっくりかえされ、
あんよに穴を開けられたまま、声一つ上げずに泣く成体ゆっくりの、つがいの姿がいくつも見える。
そして、バスケットボール大の饅頭達の目の前では決まって、数個の小さな饅頭が身を寄せ合いながら、静かに息を引き取っていた。


まりさの横に、逆さまになっているれいむは、あんよに穴を開けられてから、一度も声を発することなく息絶えていた。
おそらくあんよへの一刺しが中枢餡にまで届いてしまったのであろう、即死であった。
だが、まりさから見れば、それはうらやむべき幸運であっただろう。


「ゆ・・・もっちょ・・・く・・・・・・」
「ゆっぐぢぢでぇ、おぢびぢゃん、ゆっぐぢぢでぇぇぇ。」


ベッドの埋まる雪の上で、身動き一つ取れず凍えていたおちびちゃん達は、結局誰にも助けられることのないまま、
まりさの目の前で苦しみぬいて死んでいった。
これから毎日、あったかいおうちの中で存分にむーしゃむーしゃして、すーりすーりして、
春になったらきれいな草花さんや、あったかい太陽さんの光に包まれて、ゆっくりとしたゆん生を歩むはずだったおちびちゃん達。
だが、今まりさの目の前には、涙まで白く凍りついた、悲しい表情のまま息絶えた5個の饅頭が並んでいる。




「・・・くちちちぇにぇ。・・とーしゃ・・・。」
「・・・・・・ゆ!」


5?・・・おちびちゃんがひとり足りない!!


「・・ゆっくちちちぇにぇ。・・おとーしゃん・・・」
「ゆ・・!ゆっくりしてね!おちびちゃん!おちびちゃぁぁあああん!!」




まりさが、動けないながらも必死で視線をおうちの中に向けると、そこには末っ子まりさの元気な姿があった。


「おにぇーちゃん・・・みんにゃぁ・・ゆっくちちちぇにぇ。」
「おちびちゃん!こっちにきちゃだめぇ!!」
「ゆぴぃっ!」


まりさは、姉達のもとに駆け寄ろうとする末っ子まりさを制止する。


「おちびちゃん!よくきいてね!おうちにごはんさんはある!?」
「ゆ・・・ゆぅ。おとーしゃんのぶんしかにゃいよぉ。」


「・・・ゆぅぅ、おちびちゃん。それはおちびちゃんのぶんだよ。」
「ゆぅ?しょしたらおとーしゃんのごはんしゃんがにゃくなっちゃうよ!ゆっくちできにゃいよぉ!」


まりさは、もう決断していた。


「おちびちゃん。まりさは・・・おとーさんは、もうゆっくりできないよ・・・。」
「どぼぢでしょんなこちょいうにょぉぉぉおおお!?」


「おとーさんは、もうあるけないんだよ。だから、おちびちゃん。はるさんがくるまで・・・ひとりでゆっくりしていってね!!」
「ゆぅぅううう!?しょんなのゆっくちできにゃいよぉぉおおおお!!!」
「だいじょうぶだよ。おちびちゃんは、まりさとれいむのおちびちゃんなんだよ。」


「・・・ゆ・・・ゆぅ。」
「だから、はるさんがくるまで、おうちのごはんをたべて、べっどさんのかわりに、ごはんさんのなかですーやすーやするんだよ。」


それは、まりさの夢。
まりさの最後の希望。


「ゆっくりしていってね!!」
「ゆぁぁぁあああん!!ゆっくちりきゃいしちゃよぉ!!ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!」




まりさの両親は、人間さんの手によって、山のゆっくり出来ない土地に追いやられた。
まりさは、人間さんの手によって、ゆっくり出来ない最期を迎えようとしている。


しかし、それでも希望は、まりさのゆっくりとした夢は、未来へと輝き続けるのだ。


そして、まりさは余りにも理不尽に幸福な未来を奪われながら、群れのゆっくりの中でただ一匹、
満ち足りた表情で3日間生き延び、その後永遠のゆっくりへと旅立っていったのであった。







そしてただ一匹人間さんの手を逃れた赤まりさは、わずかに残されたご飯さんを食べ、
ご飯さんの山をお布団代わりにして、中に身を埋めて必死に寒さと戦った。


だが、寒さで体温を奪われ続けるため、体温維持のためにむーしゃむーしゃを絶えず続けなければならない。
しかしむーしゃむーしゃを続けると、お布団の代わりになるご飯さんがどんどんと減っていき、体温を維持できなくなる。
そこでさらにむーしゃむーしゃを繰り返す。
しかも、どれだけ体温を維持しても、おうちの入り口を塞ぐ材料も技術もないので、
室温は全く上がらず、状況が改善されることは無い。


結局、赤まりさは、まりさが息を引き取る2日ばかり前に、おうちの食料を全て平らげて、あっさりと息を引き取ったのであった。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




森は春を迎えた。


前年の秋には300匹を数え、冬ごもりの中で生まれた赤ゆを合わせれば1500匹を超えた巨大な群れは、
人間さんの手によっておうちから引きずり出され、一匹残らず死に絶えた。


そして、その亡骸は雪解けとともに溶け、大地に栄養を与えて森の恵みを育む。
それは、雪に埋められた赤ゆっくり達のためのベッドも、冬ごもりのために貯められた食糧も同様である。
沢山の栄養で育った草花や木々は、今年も多くのゆっくりに、ゆっくりとした恵みを与えてくれるであろう。


また、ゆっくり達によって長年整備されてきた木の洞は、
いずれも新たなゆっくり達にとって絶好のおうちになることであろう。


おうちの入り口を塞ぐ『けっかい』の材料にも困ることはない。
なにせ、前の年の冬にも使われた、小石や太い木の枝もそのまま残っているのだから。


ゆっくり達が変わることが無い以上、昨年最高のゆっくりプレイスであったココは、
今年も多くのゆっくりにとって、最高のゆっくりプレイスとなることであろう。


 ・・・・・・そう、人間さんの里に、近づこうなどとは考えないほどに。








春を迎え、山にもベビーラッシュがやってくる。
まりさの両親は新しい命を迎え、過酷な生活の中でも少しだけゆっくりしていた。


「まりさとれいむのおちびちゃん・・・もうすぐうまれるね。」
「ゆぅん。とってもゆっくりしてるね。」
「このおちびちゃんたちも、おねえちゃんたちみたいに、げんきにそだってほしいね。」
「そうだね。・・・みんな、げんきにしてるかな?」
「きっとげんきいっぱいだよ。まえのおちびちゃんだって、あんなにゆっくりしたまりさだったもん。」
「そうだよね・・。」
「・・・そうだよ。」




ぶるぶる・・・ぷちんっ!


ぽとっ!


「ゆぅ・・・ゆっく、ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!」


「「ゆっくりしていってね!!!」」


anko739.jpg



ゆっくりいじめSS・イラスト ※残虐描写注意!コメント(11)トラックバック(0)|

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コメント

2112:

ザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァザマァ

2012/10/21 02:44 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2113:

身の程知らずにはお似合いの末路

すっきりー!

2012/10/21 03:08 | あ #- URL [ 編集 ]
2114:

これに付いてたキリライターさんの挿し絵がよかったんだよなー


と、思ったら付いてた^^
管理人さんやっほい♪

学校のゆっくりにもキリライターさんの挿し絵あったんだよねー

赤まりさが松葉でつつかれて
『そこはまむまむなのじぇ!』Σ(´;д;`§*)<o(`∀´)プースプースwww

鉄棒に食いつく成体まりさの歯が折りたかったです!



2012/10/21 04:47 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2115:

ヒャッハアアアア!!
糞饅頭が調子に乗るからこうなるんだよ!

2012/10/21 10:52 | 名無しの鬼意山 #- URL [ 編集 ]
2116:

どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉぉ?

2012/10/21 11:40 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2118:

DO女史の名作ですねぇ

2012/10/21 12:35 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2122:

このシステムを考えついた鬼意山は天才だな!

2012/10/21 14:16 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2129:

>だが、今まりさの目の前には、涙まで白く凍りついた、悲しい表情のまま息絶えた5個の饅頭が並んでいる

ここのくだりの描写最高!
キリライターさんの絵と文章、交互に目を走らせているとニヤニヤが止まらない
凍え死んだ赤ゆどもの顔のアップみてるだけで最高に笑えるWWWW

2012/10/21 20:40 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2134:

人間が一切懇願を聞き入れようともしないのがグッドです。
害獣には耳を貸す必要などない、という信念を感じます。

2012/10/21 23:13 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
7901:

なんだただの良作か・・・

2013/06/16 22:59 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
9212:

無能糞饅頭は死に絶える運命にあるんだよwww
クソちび赤ゆも生まれる前に死んどけやwww

2013/07/22 03:52 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]

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