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2175:ゆっくりいじめはゆっくりできるね!

2012/11/12 (Mon) 07:05
「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」

またあの鳴き声がする。

このごろ、役所での勤めを終えて帰ってくると、家の中にあの生き物が侵入していることが多くなった。
疲れた体に、さらに重い徒労感がのしかかってくる。

「そろーり!そろーり!」
「いじわるなにんげんさんがいなくてよかったね!いまのうちごはんさんをさがそうね!」
「おちびちゃんたち、おとうさんからはなれないようにしっかりついてくるんだぜ!」
「ゆっくちりきゃいしちゃよっ!ゆっ!ゆっ!」
「ゆっくちきゃりをしゅるよっ!しょろーり!しょろーり!」

何回追い払っても、何回頼んでも、あいつらはこっちの都合などお構いなしにやってきては、
食べ物を探して家中を引っかき回し、床や畳に泥をなすりつけていく。

「ごはんさん、ゆっくりでてきてね!ゆっくりまりさたちにむーしゃむーしゃされてね~♪」
「おきゃーしゃん!れいみゅ、あみゃあみゃしゃんほちいよっ!あみゃあみゃしゃんたべちゃい!!」
「ゆふふ、おちびちゃんはいいこにしてたから、きょうこそきっとあまあまさんがでてきてくれるよ!!
こんなにゆっくりしたおちびちゃんたちだもんね!!」
「ゆーっ!まりしゃたち、いいきょいいきょだよっ!!」
「ゆんゆん、あのあまあまさんのあじはわすれられないよ!
あまあまさん、いじわるしないでね!!おちびちゃんたちがおなかをすかせてるよっ!!」
「あまあましあわせーっ!!だね!!」「おなきゃ、ぺーきょぺーきょだよっ!!ゆゆーっ!!」
「かべさん、いじわるしないであいてね!ゆっ!ゆっ!」

ずりずり、と襖を開ける音が奥から聞こえる。
あの気持ちの悪い、長い舌を伸ばして、ほんのわずかの隙間があればゆっくりは襖を開けてしまう。

「ゆーん、まりしゃうんうんしちゃくにゃってきちゃよっ!」
「ゆっ!じゃあうんうんはここでしようね!ずーり、ずーり……さ、おちびちゃん、じょうずにうんうんできるかな?」
「ゆ~っ!ゆっ、ゆんっ、ゆっ……うんうんちゅっきりー!!」
「ゆっ!げんきいっぱい、ゆっくりうんうんさんがでたねっ!!えらいえらいだよ!!」
「ちょっと!」

襖を勢いよく開くと、居間の惨状が目に飛び込んでくる。
卓袱台の上のものがあらかた下に落とされ、箪笥の低い引き出しが引っ張り出されて中のものをぶちまけられ、
新聞や雑誌類が引きちぎられ、座布団の上に排泄物が散らばっている。
ここまでやっても、こいつらには悪いことをしているという意識がまったくないのだ。

「あんたたち、もう来ないでって言ったでしょ!!」
「ゆわあぁぁ!!いじわりゅしゅるにんげんしゃんだあああぁ!!」
「おきゃーしゃん、きょわいよおぉ!!」

ことに小さい二匹の子ゆっくりが、両親の元に跳ねていき、その後ろに隠れる。
両親は空気を吸い込んで全身を風船のように膨らませ、こちらを威嚇してきた。

「ゆうーっ!!にんげんさん、またきたのおぉぉ!?
おちびちゃんたちにはてだしさせないよっ!!いいかげんにゆっくりあきらめてね!!」
「ゆーっ、おちびちゃん、だいじょうぶだよ!!
おかあさんたちがいじわるなにんげんさんからぜったいにまもってあげるからね!!」
「子供なんかどうでもいいわよ!
あたしの家に勝手に入ってこないでって言ってるの!」
「なんでそんないじわるいうのおおぉ!?」
「れいむたち、ゆっくりしたいだけだよっ!!
あまあまさんのひとりじめはよくないよっ!!あまあまさんわけてね!!」
「あれはあたしたちが働いて買ったものなの!欲しかったら自分で働いて買いなさいよ」
「ゆーっ!!まりさがんばってるよおおぉ!!」
「まりさがまいにちどんなにがんばってかりをしてるかもしらないのに、しつれいなこといわないでねっ!!」
「まいにちもりをいっぱいさがしてるけど、あまあまさんはぜんぜんみつからないよっ!!
にんげんさんがぜんぶひとりじめしてるからだよ!!ぷくーっ!!」
「ひとりじめしないで、みんなでなかよくわけようね!!いっしょにゆっくりしようね!!」

言葉は同じものを使っているのに、これほど通じ合えないのに苛立つ。
どれだけ人間の仕事について説明しても、ゆっくりにとっては森の中での生活の外はまったく想像の埒外にあるようで、
自分たちが頑張っても手に入らないものは、
自分たちの能力が足りないのではなく、誰かがズルをしているという認識になるらしい。
これだけ弱いくせに、世界中のすべてのものに手が届くと思っているようだ。

両親の後ろでぷるぷる震えている子ゆっくりが顔を上げ、なにか鳴いている。

「ゆぅぅ……おきゃーしゃん、にんげんしゃん、はんちぇいしてくれちゃ?」
「ゆっ!まだだよ、おちびちゃん!でも、もうちょっとでにんげんさんもわかってくれるからね!
ゆっくりまっててね!!」
「ゆんっ!ゆっくちわかっちゃよ!!」
「ゆっくちおちえてあげちぇにぇっ!!」

また後ろを向いて頭を床に伏せ、尻をこちらに上げてぷるぷる震えだす子ゆっくり共。苛立ちがさらに募る。

「にんげんさん、ゆっくりしてね!なかよくゆっくりしようね!!」
「あまあまさんわけてねっ!!かわいいおちびちゃんたちをゆっくりさせてあげようね!!」
「嫌よ。いいから出てって!あんたたちの子供なんか可愛くないわよ」
「どぼぢでぞんなごどいうのおおおぉぉ!?」

またこれだ。「どぼぢでぞんなごどいうの」。
ちょっとでも都合の悪いことやわからないことを言われると、これでごまかす。
相手の主張をごまかしてやり過ごし、また自分の主張を繰り返して、聞く耳持たずにひたすら持久戦。
人間にもこういうやつがいるが、絞め殺したくなる。

向かい側の襖の奥から、娘がお菓子の入った皿を持って姿を現した。

「あっ、お母さん……」
「美菜、あんたねぇ!」
「ごめんなさい………」
「ゆっ、みなちゃん!!あみゃあみゃしゃんちょうだいにぇっ!!」
「あみゃあみゃしゃんあみゃあみゃしゃん!!いっちょにゆっくちちようにぇ!!ゆっくちだよ!!ゆっくち!!」
「みなちゃん、まってたんだよぉぉ!!あまあまさんちょうだいね!!なかよくしようねっ!!」

小学校に上がる前の小さな娘に、ゆっくり共が跳ね寄って群がる。
お前らが娘の名前を気安く呼ぶな、とつい叫びそうになるが、娘の手前、外面を気にしてしまう。

やっぱりか。
何度も言ったのに、娘はゆっくりの事になると聞き分けがない。

「美菜、あんたまたゆっくりに餌あげてるわね!」
「う、ううん」
「その手に持ってるじゃない!もうホントやめてよ、掃除するのはお母さんなのよ?」
「ゆーっ、ゆっくりできるにんげんさんをいじめないでねっ!!ぷんぷん!!」
「どうしてそんなにわからずやなのっ!?れいむおこるよ!ぷくーっ!!」

ゆっくり共が私と娘の間に立ち、またこちらを威嚇してくる。

この小さな町にゆっくりが現れたのが数週間前。
全国的に姿を現し、話題になっている謎の生物がここにも姿を見せたということで、
最初の頃こそ町は盛り上がった。

まるまるとした輪郭に、子供のような甲高いころころした声。
一見かわいらしいその姿に、女子供は歓声をあげた。

我が家でも、最初は私も娘も、喜んでその闖入者を迎え入れた。
庭に迷い込んできた野良の一家を歓待し、一緒に遊んでやり、菓子まで与えてしまった。

初めの頃は歓迎されていたゆっくり達も、
時間がたつにつれてその厄介極まる性分が明らかになってゆき、みなが疎んじはじめた。

与えられた菓子の味をしめた野良の一家は、毎日家にやってきた。
母子家庭であまり娘にかまってやれず、さびしい思いをさせてしまっている後ろめたさもあり、
娘の遊び相手になるならと、つい甘い顔をしてしまった。
結果、野良の一家は気軽に家に上がりこんでくるようになった。
私がいるときはまだいいが、いないと見れば縁側から裏口から上がりこみ、
お菓子を探して家中を荒らし回る。
帰ってきた私に見つかっても全く悪びれもせずにあまあまちょうだいの大合唱。
人の家に勝手に上がりこんで荒らしても、まるで悪いことだと思っていないのだ。
そもそも、ゆっくりにとっては広大だろうこの家が、家だと認識されているのかどうか。
狩り場のひとつぐらいにしか思っていないのかもしれない。
娘もすっかりゆっくりの味方で、要求されるがままにお菓子を与えてしまっている。
戸締りをしても、娘が友達の来訪を期待してわざと開けてしまうのでは意味がなかった。

とにかく厄介なのが、「悪気がない」ということだ。
娘の人恋しさにつけこんで、実質お菓子の引き出し口程度の扱いをしているのだが、
ゆっくり自身は、自分たちがあまあまをむーしゃむーしゃしてゆっくりできれば、それでみんながゆっくりできると思っている。
ただ菓子をたかり、「まじうめっ!ぱねぇ!むーしゃむーしゃしあわせー!!」とわめいているだけなのに、
みんなで仲良く楽しいひとときを過ごしている気でいる。
だから私や娘に対して、全く悪びれずに、堂々とあまあまよこせと言ってくる。持ちつ持たれつのつもりらしい。

人間の言葉を使っているから、ついつい人間と同レベルのメンタルを期待してしまう。
その実、ゆっくりという生き物は、恐ろしいほどに想像力も感受性もなく、
すべて自己中心的な思考で、自分さえゆっくりできているならみんなが幸せなはずだと確信している。
悪意があるわけではない。ただひたすら徹底的に低能なのだ。

しかしその悪意のなさが災いして、誰もが大っぴらにゆっくりを潰したがらなかった。
言葉の上だけとはいえ、「みんなでいっしょにゆっくりしようね」と平和主義的なことを言ってくる生き物に対して、
非情になれる人間は今の時代そう多くない。
あるいは周囲からの視線を気にして、やはり残酷な手段に訴えかけることができない。

「とにかく出てって!ここはあたしの家なの、勝手に入らないで!」
「ぷくーっ!!いじわるなにんげんさんこそあっちいってねっ!!」
「れいむたちゆっくりしたいだけだよ!!あまあまさんひとりじめはゆっくりできないよっ!!」
「ああ、もう!!」

わかってはいたが、全く会話が成立しない。
どんな些細な会話にも、相手の思考を計る想像力は必要なのだと思い知らされる。

私もまた、娘の前では強硬策を取れずにいた。
まるでテレビアニメの中から飛び出してきたかのような牧歌的な形状で笑顔を振りまくゆっくり。
そんなものを叩き潰す母親の姿を、まだたった五歳の娘の前では見せたくない。情操教育に悪そうだ。
この、ゆっくりという生き物自体、情操教育の面で害が大きそうな気がする。

結局、娘を奥に下がらせた後、
軍手をはめた手で強引に掴み出し、外の道に抛り出した。
その後家中をしっかり締め切ったのだが、ゆっくり共の声が夕方になるまで聞こえ続けていた。

「どぼじでごんないじわるずるのおおぉぉ!!?ゆっくりさせてね!!ゆっくりしようね!!」
「ゆっくりしてね!!ゆっくりしてね!!むかしのやさしいおねえさんにもどってよおおぉぉ!!」
「ゆわああぁん!!おにゃかちゅいちゃああぁぁ!!」
「むーちゃむーちゃしちゃいよおぉぉ!!ゆっくちしちゃいよおおおおぉぉぉ!!
にゃんでまりしゃちゃちをゆっくちさせちぇくれにゃいのおおおぉ!!?」

ゆっくりしたかったら自分でしろ。
寝る前のわずかな休憩時間のために、こっちは一日何時間も働いているのだ。
ゆっくりは他人に要求するものだと思っている、こういう生物を見ていると心底頭にくる。

娘はゆっくり共の声を気にして、おどおどとこちらの機嫌を窺う。
こんな生活がもう一カ月近くも続き、私はいいかげん限界だった。
もういっそ全部潰してしまおうか。
そんな事を考えはじめた頃、助けはやってきたのだった。


「おお、ゆっくりゆっくり」

いつものように家に侵入してきたゆっくり共を追い払おうとしていたその日の夕刻、
突然別のゆっくりが庭に飛び込んできた。

「おお、たかりたかり」
「おお、おろかおろか」

しかも三匹。見たことのない種類だが、三匹とも同種のようだ。
頭に赤く小さな帽子を載せ、帽子からは白いボンボンのようなものが連なってぶら下がっている。
おそろしく素早く、まりさやれいむ種とは比較にならない。
なぜか頻繁に首を(つまり全身を)左右に激しくヒュンヒュンと振っていて気ぜわしい。

なにより驚いたのは、たかりに来ていたゆっくり共の反応だった。

「「「「き、き、き、きめぇまるだああああああぁぁぁ!!!!」」」」

まるでこの世の終わりが来たかのような激しい狼狽を見せ、大口をあけて悲鳴をあげていた。

「どうも。きもくてうぜぇきめぇまるです(ヒュンヒュン)」

きめぇ丸と言うらしい、そのゆっくりの一匹が前に出て、激しく首を振りながらゆっくり一家に接近する。
距離が狭まるにつれてゆっくり共はさらに甲高い悲鳴をあげ、必死になって逃げようとしはじめた。

「ゆああああああきめぇまるはゆっくりできないいいいい!!!」
「こないでねっ!!こないでねっ!!きめぇまるはこっちこないでねっ!!あっちいってね!!」
「きょわいよー!!ゆええぇん!!」
「ゆびいいぃぃ!!ゆっびいいいぃぃ!!」

子供二匹のほうは小便を漏らしはじめた。

「おお、ぶざまぶざま」
「おお、おろかおろか」
「おお、のろまのろま」

いよいよ激しく首を振りながら、四方のうち三方からじわじわと取り囲むように接近しはじめるきめぇ丸三匹。

「ゆあああああぁぁぁ!!やだ!もうやだ!!おうぢがえるううううう!!!」
「おちびちゃんたちおかあさんのおくちにひなんしてねえええ!!」
「ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!」

ゆっくり一家は恐慌をきたし、唯一開いている方角から一目散に逃げ出していってしまった。

「どうも。きもくてうぜぇきめぇまるです(ヒュンヒュン)」

呆然としている私に、きめぇ丸が向きなおってまた挨拶してきた。

「あ……さっきも聞いた」
「おお、そこつそこつ。さいなんでしたね」
「のらゆっくりにあまあまをあたえると、あんなふうにつけあがります。おお、ちゅういちゅうい」
「あ、うん……」

敬語を使い、(比較的に、だが)知性を感じるそのゆっくりをまじまじと見る。
顔のパーツがやけに上部に偏っており、目は細められて斜に構え、口はにやにやと薄ら笑いを浮かべている。
自分たちで言っているとおり、うざい。

「あらためて、はじめまして。きもくてうぜぇきめぇまるです(ヒュンヒュン)」
「三回目」
「おお、かんべんかんべん。ほんじつは、えいぎょうにやってまいりました」
「営業?」
「はい。わたしたちは、きもくてうぜぇきめぇまるのしまいです(ヒュンヒュン)。
さんびきあわせて、『きめぇさんれんせい』とおよびください」
「はぁ」
「ごぞんじのとおり、このごろのらゆっくりのひがいがおおくなっています。
やつらはあまあまをもとめて、にんげんのみなさんのいえにしんにゅうし、いえをあらしまわります。
しつれいながら、せんじつからようすをうかがっておりましたが、たいへんおこまりのごようすとおみうけしました」
「ああ、うん、そうなのよ。でもあなたたちが追い払ってくれたから……」
「いいえ、やつらはまたやってきます。あのていどでは、すぐにわすれてしまうでしょう」
「そうなの?」
「おお、とりあたまとりあたま。ですので、わたしたちは、そんなのらゆっくりどものくじょをおひきうけしています」
「駆除って」
「まあ、やりかたはいろいろですが、あのいっかをこのいえににどとちかづかないようにいたします。
そのおれいに、おやさいをすこしわけていただいています」
「お野菜?どれくらい?」
「それはそちらのおきもちにおまかせします。こんごたかることもなく、いちどいただけばきれいにせいさんいたします」
「おお、とりひきとりひき(ヒュンヒュン)」「おお、もちつもたれつ(ヒュンヒュン)」

首を振りながら、実に簡潔極まる取引を持ちかけてくるきめぇ丸たち。
あのまりさやれいむに比べれば、感動的なほど筋の通った「もちつもたれつ」だった。

「もちろん、そうしてくれたらとても助かるし、お野菜ぐらいお礼にあげるけれど。
でもあなたたち、ゆっくりなのよね?あの連中とはだいぶ違うのねえ」
「おお、きしょうしゅきしょうしゅ(ヒュンヒュン)」
「希少種?」
「ゆっくりといってもいろいろです。ほとんどはあいつらのようにむのうばかりですが、
わたしたちきめぇまるのように、すこしはまともなのもなかにはいます。すくないですが」
「ゆかり、てんこ、えーき、かなこ、かずはすくなくてもしゅるいはおおいのです。
しゅるいでかぞえれば、まりさやれいむのようなむのうはゆっくりのなかでもめずらしいといっていいです」
「とにかくあたまかずはおおいですけれどね。おお、おさかんおさかん(ヒュンヒュン)」

そういうものなのか。
パッと見では、このきめぇ丸たちは意志の疎通は問題なくできるようだ。
こういうゆっくりが大多数を占めていれば、人間にとってゆっくりは歓迎すべき仲間たりえたのかもしれない。
好奇心も手伝い、あまり深く考えないまま、私はそのきめぇ丸の取り引きに応じてみることにした。

「それじゃあ、お願いしてみるわ。その……駆除?」
「おお、せいりつせいりつ。ありがとうございます」
「報酬のお野菜は後払いでいいのかしら」
「もちろんです。これからいっしゅうかんのうちにくじょをすませます。
いっしゅうかんがたったらまたきます。そのいっしゅうかんのあいだ、
いちにちでもあのいっかがここにきたら、くじょはしっぱいです。おれいはいりません」
「そう、一週間あの一家が来なかったら成功ってわけね」
「おお、そうですそうです。それではわたしたちはこれでしつれいいたします。
いっしゅうかんごにまたまいりますので、よろしくおねがいします」
「はい。期待してるわね」
「おお、おまかせおまかせ。それではごきげんよう、おじゃまいたしました(ヒュンヒュン)」
「おお、かんしゃかんしゃ(ヒュンヒュン)」
「おお、ごきたいごきたい(ヒュンヒュン)」

首をヒュンヒュン振りながら、やたら素早い身のこなしできめぇ丸達は去っていってしまった。うざいなあ。

ゆっくりにはあんなのもいるのか。
随分と変な生き物だけれど、れいむやまりさ種を見たあとだとなんとも賢く見える。
人間に餌をたかるゆっくりがいる一方で、
そのゆっくりを駆除することで人間から報酬をもらい生計を立てているゆっくりもいるということらしい。
どちらも人間を利用していることに変わりはないが、後者のほうがうまくやっていると言えそうだ。

信用していいものかどうか判断しかねたが、どうせ騙し取られるとしてもたかが野菜だ。
とりあえず好奇心も手伝い、私は成り行きを見守ってみることにした。


―――――――


「ゆぅ~~……さいっなんっだったよ……」
「きめぇまるはゆっくりできないよ………」
「「ゆえ~ん!ゆえ~ん!!」」

まりさとれいむは、ずりずりと這いながらようやく巣に帰りついていた。
全速力できめぇ丸から逃げ出した後、森の中の木の根元にくり抜かれた穴倉に滑り込み、
ほとんど体力を使い果たした状態でぐったりと息をつく。
泣きわめく子供たちを、れいむは疲れた体に鞭打ってぺーろぺーろで慰めはじめた。

まりさやれいむのような通常種のゆっくりにとって、天敵は多い。
他種の生物はもちろんだが、同じゆっくりにも恐ろしい相手がいる。
今日遭遇したきめぇ丸もそうだった。

きめぇ丸は、ゆっくり種としては異常に身のこなしが素早く、頻繁にヒュンヒュンと左右に動いている。
通常種のゆっくりの動作は文字通りゆっくりしたものであり、
また、本能的にゆっくりしていない動きを嫌う性質がある。
きめぇ丸ほど素早い対象となると、その動きを見ているだけで非常なストレスとなり、
気分が悪くなって、ときには致死量の餡子を吐くことさえある。

さらに悪いことには、きめぇ丸はれみりゃやふらんと同じく、捕食対象(食べはしないが)をいたぶることを好む習性がある。
わざわざ獲物のゆっくりを見つけてやってきては、素早い動きで周囲を動き回り、苦しむ相手を見て喜ぶのだ。

「どうしてあんないじわるするの?いじわるはゆっくりできないのに……」
「れいむたち、なんにもわるいことしてないのにね………」

泣き疲れて眠ってしまった子供たちをもみあげで撫でてやりながら、れいむが嘆息する。
他者が苦しむのを見て喜ぶなんて理解できなかった。
まりさもれいむも、ただみんなで仲良くゆっくりするのが好きなだけなのに。
なにも悪いことをしてないまりさ達をいじめるきめぇ丸が、もちろん憎かったし、哀れでさえあった。

「あんないじわるするより、みんなでいっしょにゆっくりしたほうがゆっくりできるのにね……」
「ゆぅ~~……そうだよ、それがほんとうのゆっくりなんだよ。
それぐらい、こんなにちいさなおちびちゃんたちだってわかってるよ」
「あのいじわるなにんげんさんだって、あまあまさんをひとりじめしちゃいけないんだよ。
みんなでなかよくわけあって、なかよくむーしゃむーしゃするのがいちばんなのに……」
「みんな、どうしてそんなこともわからないんだろうね………」

視線を交わしてから悲しげに目を伏せ、、まりさとれいむの夫婦はため息をついた。


しばらくの間、巣の中の空気は沈み込んでいたが、
やがてれいむが顔を上げ、笑顔を作って言った。

「ゆっ!なやんでいてもしかたがないよ!ゆっくりごはんさんにしようねっ!!」
「ゆっ!そうだね!あまあまさんはまたあしたもらいにいけばいいよ!!
きょうはおとっときのかきさんをむーしゃむーしゃしようね!!」
「ゆわぁ~い!!おちびちゃんたち、ゆっくりおきてね!むーしゃむーしゃたいむだよっ!!」
「ゆ、ゆぅ……?ゆ!ごひゃんしゃん!!」
「むーちゃむーちゃしゅる~!!」

食事と聞き、子供たちが目を輝かせる。
可愛いもみあげをぷるぷる震わせ、よだれを垂らして熱のこもった視線を向けてくる子供たちに頬をゆるめ、
まりさは巣の奥にとってある果物を取りに這いはじめた。

ぼとり

その時、巣の中に飛び込んできたものがあった。

「ゆゆっ?」

家族が視線を向ける。
投げ込まれたそれは、葉っぱに包まれた小包だった。

「ゆゆーん?なんなの?」

まりさがそれを見定めようと近づいたが、触れるまでもなく内容物は知れた。

「ゆ゛っ!!ゆぶうぅっ!!?」

悪臭。
日常で親しんでいる、誰もがよく知るなじみ深い臭い、しかし耐え難い悪臭。
紛うかたなき排泄物、うんうんの色濃い臭いがその小包からは発せられていた。
予想せぬ悪臭の刺激に、まりさは一時えずいてしまう。

「ゆげっ!!ゆぶ!!ぐじゃいいいいぃぃ!!」

涙を流してその小包から距離を取ろうとしたまりさは、家族の惨状に気づいた。

「ぐじゃいいいぃぃ!!ぐじゃあああああいいいぃ!!」
「ゆびぇええええええん!!ゆっぐぢでぎにゃいいいいいぃぃ!!」
「ぐじゃいよおぉぉ!!がだぢゅげぢぇええええぇぇゆぶっ!!ぶぶぅ!!」
「ああああああ!!おぢびぢゃん!!あんごはいぢゃだべえぇぇ!!」

大人でさえ吐いてしまいそうなうんうんの悪臭に、小さな子供たちが激しく嘔吐しはじめていた。
これでは、吐く餡子がすぐに致死量に達してしまうだろう。
普段なら絶対にできないようなことだったが、子供のためにまりさは勇気を振るい、
その小包に駆け寄って、結ばれた葉っぱの茎の部分を咥え上げた。

可愛い赤ちゃんたちのうんうんの処理なら、数えきれないくらいこなしてきた。
だが、誰のものとも知れないうんうんは、赤ちゃんたちのそれとは比べ物にならない不快感と悪臭でまりさを苛んだ。

「ゆ゛ぐっ……ゆぐぶふうぅ……!!」

涙目になりながら、息を止めて大急ぎで外へ向かう。
外に出て、なるべく遠くの茂みに小包を投げ捨ててしまうと、まりさは深い深い息をついた。

次に、こんなひどい悪戯をしたのは誰だ、という疑問に思い当たる。
反射的に周囲を見渡すと、家の正面方向、やや高台の土手に並ぶ木々の間から、そのゆっくりの姿が見えた。

「!!………ゆ、き、き、きめぇまるだあああぁぁ!!!」

怖気をふるい、まりさは大急ぎで巣に駆け戻った。

「きめぇまる!?ほんとなの!?」
「ゆぅ………とおかったけど、あれはたしかにきめぇまるだったよ………」
「おちょーしゃん、ぺーろぺーろしちぇー!」
「ゆえぇぇん!!ゆえぇえん!!」

悪臭の余韻に泣きながらしがみついてくる子供たちにすりすりしながら、まりさはれいむに報告した。

「それじゃあ、あのうんうんさんもきめぇまるが………?」
「ゆ………そうだとしかおもえないよ………なんでこんなことするの……」

きめぇ丸がやることとしては、多少違和感もあった。
身体能力で大きく通常種に勝るきめぇ丸が、わざわざ隠れてこんな嫌がらせをする意義が思い当たらない。
正面からやってきて危害を加えればいいだけじゃないのか?

そこまで具体的に思考を回したわけではないが、そういう漠然とした違和感をまりさは感じていた。
しかし、考えてもわからないものは仕方がないので、可愛いおちびちゃんをなだめるのに集中することにする。

「おちびちゃんたち、もうあんしんだよ!おとうさんがついてるからね!
ゆっくりなきやんでね、すーりすーり……」
「ゆぇぇ~ん!!ゆぇぇ~~ん!!」

しかし、その嫌がらせはそれだけでは終わらなかった。


その時から、一~二時間おきに、巣の中にゆっくりできないものが投げ込まれた。
うんうんはもとより、腐りきった果物や小動物の死骸など、どれもこれもゆっくりできない物ばかりであり、
ことに一番ゆっくりできなかったのは、真新しい死臭のしみ込んだ同族の飾りだった。

「ゆげえええぇぇ!!ゆっぶげええぇぇ!!」

読者諸兄には、蛆がわきねばついた脳漿をしたたらせる人間の生首を想像していただければ、
現在のまりさ達が感じている不快感にかなり近い。
これには両親も大泣きし、激しく嘔吐したが、死の危機に瀕する子供たちのために、やはり口に咥えて捨てなければならなかった。

小包を外に投げ捨て、周囲を見渡せば、
決まってきめぇ丸が遠くの土手に隠れてにやにやとまりさを見下ろしていた。

嫌がらせは深夜にまで及び、投げ込まれるたびに家族は安眠を妨げられ、激しくえずいた。
ゆっくりできるすーやすーやをこのうえなく好むゆっくりにとって、夜通しの安眠妨害は非常なストレスとなった。
ついには、相手が恐ろしいきめぇ丸だということも忘れ、まりさが叫んだりもした。

「どぼじでごんなごどずるのおおおおぉぉぉ!!!ずーやずーやでぎないでじょおおおおおぉぉっ!!?
ぢいざなおぢびぢゃんだぢだっでいるんだよおおおおぉぉぉ!!!」

きめぇ丸は答えず、ただ遠巻きににやにや眺めているばかりだった。


「ゆ゛ぐっ………ゆ゛ぐっ………ねぶいよおおぉぉ………」
「ゆっぐぢでぎにゃがっだよおおぉ……」
「ゆ゛えええぇぇん!!ゆ゛えええぇぇぇえ~~!!!」

目の下にクマを作り、色濃い疲労を体に残しながら一家は朝を迎えた。
結局、朝まできめぇ丸の嫌がらせは続けられた。
身体能力に優れるきめぇ丸は、れみりゃなどの夜行性の捕食種を恐れる必要がなく、夜通しの活動が可能である。
そしてどうやら、心当たりのある三匹が全員同時に現れる場面がなかったことから、
交代制で一家の嫌がらせに当たっているようだった。

必死に子供たちをなだめるれいむの顔にも、疲労の色がありありと見てとれる。
それより大きな問題は、食糧の備蓄が予定よりずっと早くなくなってしまったことだ。

本来、眠っている間なら空腹を忘れていられる。
しかし、頻繁に目を覚まさせられて意識を覚醒させた結果、
真夜中の強い空腹感に耐えられず、主に子供の泣きながらの要請に従い、備蓄を切り崩してむーしゃむーしゃしてしまった。
あと一日二日は余裕で持たせられたはずの食糧は、
今朝食を済ませたところで全て消費しつくした。

「ゆぅ………まりさ、かりにいってくるよ………」
「ゆ……ゆっくりいってらっしゃい………」

いつもならいってらっしゃいのちゅっちゅをしてくるれいむも、沈んだ声で送り出すばかりだった。
子供たちは父親に声をかける余裕もなく、目を閉じてすーやすーやしようとしている。
愛しい家族を見回した後、まりさは食糧調達のために、疲れた体に鞭打ってずーりずーりと這いはじめた。


「「「ゆ゛ぎゃあああああぁぁぁ!!!」」」
「ゆうぅっ!?」

家からさほど離れないうちに、家族の悲鳴が背後から聞こえてきた。

「き、き、きめぇまるだあああぁぁぁ!!!」
「だじゅげぢぇえええおどーじゃああああん!!!」

見ると、我が家の入り口にきめぇ丸が顔を突っ込み、口に咥えた枝で中を探っている。
家の中の家族は甲高い悲鳴を上げ、父親たる自分に助けを求めていた。

足がすくむ。
相手はあのきめぇ丸だった。
自分が立ち向かったところで何ができるのか。
なぶり殺され、家族は守れず、結局死ぬゆっくりが一人増えるだけではないのか。
それならここで自分だけでも逃げ出したほうが。

まりさの理性はそう訴えかけてきたが、ゆっくりは理性よりも感情に従う。
そしてまりさの感情は、納得ずくで自らの死を選んだ。

「ば、ば、ばりざのがぞくはぜっだいにまぼるよおおおぉぉ!!」

がくがくとすくむあんよに鞭打ち、まりさは意を決してきめぇ丸目がけて突進した。

当のきめぇ丸は、まりさが叫ぶのと同時にまりさの方に向き直り、枝を構えた。
ああ、自分はあの枝に突き殺されるのだ。
それを自覚しながら、それでもまりさは、万にひとつの可能性に賭けて飛び跳ねていった。

体当たりを仕掛けるその刹那、きめぇ丸が飛びすさっていた。
まりさの体当たりは空を切り、きめぇ丸はゆっくりのあんよで三歩ほどの距離を開けてにやにやとまりさを見ている。
それだけで、自分からまりさに仕掛けてこようとはしなかった。

「ゆ゛、ば、ばりざのがぞくにちかづかないでねっ!!!ぷくーっ!!!」

自慢のぷくーで膨れあがり、涙目ながらもきめぇ丸に威嚇を行う。
きめぇ丸はにやにやと薄ら笑いを浮かべるだけで何もしてこない。

しばらくの間、必死の思いでまりさは体をより大きく膨らまそうと躍起になっていたが、
きめぇ丸は依然として動こうとはせず、状況は進展しなかった。

「ぷひゅるるるる……こないでねっ!!こないでね!?
こないの?こないよね!?まりさのぷくーにおそれをなしたんだねっ!!」

全く動かないきめぇ丸に、希望的観測の多分に入った確認をするまりさ。
きめぇ丸はやはり答えない。もしかして本当に、本当にまりさのぷくーが功を奏したのか?
まりさの脳裏に希望がひらめきはじめた。

「ゆっ!!わかったらもうこないでねっ!!あっちいってね!!
にどとまりさのかぞくにてをだしたらまたぷくーするからねっ!!?」

きめぇ丸に通達し、家の中の家族に笑いかける。

「ゆっ!!もうあんしんだよ!!こわいきめぇまるはおとうさんがおどしておいたからね!!」
「ゆゆぅぅ!!すごいよぉ!!さすがれいむのまりさだよお~~♪」
「「おちょーしゃんしゅごーい!!」」

安心して笑顔を浮かべる家族に笑いかけ、まりさは離れているきめぇ丸に鋭い視線をぎらりと投げかけてから、
再び狩りに出かけるべく跳ねはじめた。


「ゆ゛ぎゃああああああぁぁぁぁ!!まだぎだあああぁぁぁ!!!」
「やべぢぇ!!やべぢぇ!!ごにゃいでえぇぇ!!おぢょーじゃあああああんん!!」
「ゆぅうううう!?まだこりてないのおおおぉぉ!!!?」

すぐまた、家族の悲鳴が響き渡る。
まりさが少し離れた時点で、全く動かなかったきめぇ丸が再び家の中を枝でつつき出したのだった。

すぐに踵を返し、怒声とともにきめぇ丸に体当たりを仕掛ける。
きめぇ丸はやはり跳びすさり、まりさと距離を置いてにやにやと薄ら笑いを浮かべた。

「どうしてやくっそくっ!!をやぶるのっ!!?
またぷくーするからねっ!!わるいのはそっちだよっ!!ぷくーーーっ!!!」

先ほどよりもずっと大きな(はずの)ぷくーをきめぇ丸に見せつける。
きめぇ丸はやはり動かず、にやにやと薄ら笑い。依然として一言も喋らなかった。


まりさが狩りに出かけようとすれば、きめぇ丸が家にちょっかいを出す。
まりさが戻って威嚇すれば、距離をとってにやにや笑い。
その応酬が五回ほど繰り返されたところで、まりさは業を煮やし、にやにや笑っているきめぇ丸に体当たりを敢行した。

「ゆっくりできないきめぇまるはせいっさいっするよっ!!!」

ぴょんぴょん飛び跳ねてゆき、自分に出せる最高速度できめぇ丸に突進する。
このきめぇ丸は弱いのだ、だから自分に立ち向かってこれないのだ。
まりさの中ではそう結論付けられており、もはや相手がきめぇ丸だからという怖気はなかった。

それでもきめぇ丸には当たらなかった。
まりさが体当たりを仕掛けるたびに紙一重でかわし、きめぇ丸は距離をとってにやにや笑うばかりだった。

「ゆーっ!!にげあしだけははやいけど、それじゃまりさにはかてないよっ!!」

へこたれずに何度も何度も体当たりを繰り返す。
逃げ続けるきめぇ丸に追いすがっているうちに、再び悲鳴が背後から聞こえてきた。

「ゆぎゃあああああぁぁぁぁ!!ぎょわいいいいぃぃぃぃ!!!」
「ばりざああああああぁぁぁぁ!!!」

見ると、すっかり離れてしまいはるか後方の我が家の前に、別のきめぇ丸がやはり枝を突っ込んでいるのが見えた。

「ゆ゛ぅっ………!?………ば、ばりじゃのがぞぐにでをだずなあああああああぁぁぁ!!!」

餡子で沸騰した頭を振り、まりさは吼えながらそちらのきめぇ丸に突進していった。

そのきめぇ丸も同じだった。
その時まりさが見せていた隙の間に、口にした枝でいくらでも家族を突き殺すこともできたはずなのに、
家族には泣かせる程度のちょっかいを出すだけでわざわざまりさがやってくるまで待ち、
やっとまりさが追いついて体当たりをすれば、跳びすさってにやにや笑い。

完全に頭に餡子の上ったまりさがそちらのきめぇ丸を追い回せば、
もう一方のきめぇ丸が家にちょっかいを仕掛ける。
あちらに走り、こちらに突っ込み、ついにまりさは家の前に陣取ってぜいぜいと息をつくしかなかった。
二匹のきめぇ丸はやはり一言も発さず、にやにやと遠巻きにまりさを観察している。

まりさの中では、きめぇ丸たちは完全に、喧嘩の弱い臆病者になっている。
しかし、どれだけ吼えてもわめいても、きめぇ丸は逃げ続けるばかりでその喧嘩に付き合ってくれず、
二匹のローテーションでちょっかいを出し続けられては家から離れることもできなかった。

「ごの………よわむじっ!!びぎょうものっ!!おぐびょうものっ!!
じーじーもらじっ!!あがゆっぐりっ!!びぎごもりっ!!にーどっ!!
ぐやじがっだらががっでごいっ!!ごい!!ごい!!ごいいいいいぃぃ!!!」

悔し涙を浮かべ、地団太を踏みながらまりさは必死にきめぇ丸たちを挑発したが、きめぇ丸は乗ってこず、
それどころかくっくっと含み笑いを漏らすばかりだった。

「ゆ゛んがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」








結局、狩りには家族全員で行くことになった。
せっかく夜の間にできなかったすーやすーやをしようとしていたおちびちゃんたちは大いにぐずったが、
きめぇ丸が唯一恐れているお父さんまりさの側から肌身離さずにいるしかないという結論になり、
泣き叫ぶおちびちゃんたちをれいむの頭の上に乗せ、まりさがれいむの護衛をして連れていくことになった。
一番安全なのは口の中に入れておくことだが、長時間となると親の涎で子供の体がふやけてしまうのでそれもできない。

ずりずりと這い狩り場に向かう一家のはるか後方から、二匹のきめぇ丸が距離を置いてついてくる。
いくらまりさがぷくーをしたり叫んだりして威嚇しても、きめぇ丸は尾行をやめようとはしなかった。
狩り場の位置を他ゆんに知られるのは普段なら避けたいところだが、
食べざかりのおちびちゃんを抱えた一家にとって、食糧補充はもはや一刻の猶予もならなかった。

森のはずれに流れる川のほとり、ささやかなお花畑に着く。

「ゆっ!みんな、おひるごはんにしようねっ!!」
「ゆわーい!!ごひゃんしゃん!!」
「まりしゃ、おにゃかぺーきょぺーきょだよっ!!」
「ゆぅ……きめぇまるによこどりされないかしんぱいだよ……」
「だいじょうぶだよ!!おとうさんがちゃんとみはってるから、きめぇまるなんかにてだしはさせないよっ!!」

結果から言うと、横取りされた。
「すーぱーむーしゃむーしゃたいむ、はじまるよっ!!」の宣言が言い終わらぬうちに、
きめぇ丸たちがそれまでとはうって変わった速度で接近して、両親を突き飛ばしたのだ。

「ゆぶぅぅっ!?」

しばらくの間地面に突っ伏して痛みに呻いた後、まりさが顔を上げると、
とっておきの狩り場のお花畑を荒らし回っているきめぇ丸たちが目に入ってきた。

「やめちぇええぇ!!れいみゅのおはなしゃんつぶちゃにゃいでえぇぇ!!」
「むーちゃむーちゃしちゃいよおおぉぉ!!いぢわるちにゃいでよおおぉぉ!!」

子供たちが泣きながらきめぇ丸に体当たりをするが、きめぇ丸は一向意に介さず、
ものすごい速度で花畑の上を走りまわり、滑り、回転し、
最後にはしーしーを撒き散らして台無しにしてしまった。

「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛………」

誰にも教えていなかった、まりさのとっておきの狩り場が駄目になり、絶望の呻きが上がる。
しかしまりさは歯軋りし、立ちあがってきめぇ丸どもに闘いを挑んだ。
向こうから接近してきた今ならこちらのものだ。

しかし、ようやくまりさが戦う気になっても、やはりきめぇ丸はにやにやと跳びすさっていった。
ただの一言も発さず、やはりあのにやけ顔。
まりさは叫び散らし、吼え、暴れ、ついには泣き叫んだが、
それでもきめぇ丸は逃げるばかりで一瞬たりとも触れさせようとはしなかった。


それからも家族で狩りを続けたが、ことごとく邪魔された。
ちょうちょさんを追いかければ、横からかっさらわれる。
おいしいいもむしさんを捕まえようとしても、やはり体当たりをされて横取りされる。
きのこさんもたけのこさんも、おいしいごちそうは全て横取りされてしまった。

なにより腹立たしいのは、そうして横取りしたごはんさんを、きめぇ丸は食べる素振りさえ見せないことだ。
ぐしゃぐしゃに潰してしまい、川や崖、手の届かないところに捨てられてしまう。
明らかに生理活動のためではなく、自分たちへの悪意から行っていた。

「どぼじでごんなびどいごどずるのおおおぉぉ!!?
でいぶだぢなんにもわるいごどじでないでしょおおぉぉ!!めいわぐがげでないでじょおおおおおお!!!
おぢびぢゃんだぢががわいぞうでじょおおおお!?やべでね!!あっぢいっでねええぇぇ!!」

涙を撒き散らしながられいむが抗議するも、やはり一切の反応はない。
全力で走って尾行をまこうとしてもみたが、きめぇ丸の速度に勝てるはずもなく、まったく距離は開かなかった。
追えば逃げられ、逃げれば追われ、どうやってもきめぇ丸どもの監視から逃れられない。
見つけたそばから横取りされるとわかっていながら、
それでも時間を追うごとに強くなっていく空腹感を満たすために狩りを続けなければならなかった。

「ゆ゛ぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!
ゆ゛んぐがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーっ!!!!」

子供たちが怯えるのも構わず、まりさは悔し涙を流して地団太を踏み暴れ回った。
どうして自分たちがこんな目に遭わなければならないのかもわからなかったし、
これだけどす黒い悪意を向けられてどうすることもできない苛立たしさは餡子を吐き出しそうなほどだった。


結局、狩りは全くの成果をあげられず、子供たちの空腹はいよいよ限界にきていた。
赤ゆっくりなら、六時間ほど食事をしなければ死んでしまう。
おちびちゃんたちは赤ゆっくりよりは成長していたが、それでもぐったりと動かなくなり、命の危険をうかがわせた。

「ゆ゛ああああああおぢびぢゃん!!おぢびぢゃん!!ゆっぐじじで!!ゆっぐじじでねええぇ!!」
「ゆ゛………む……ぢゃ………む…ぢゃ………じぢゃい………」
「ゆ゛………ぐべぇ…………」
「ゆ゛う゛う゛う゛う゛!!べーろべーろ!!べーろべーろ!!」

ぺーろぺーろも気休めにさえならない。
朝から泣きわめき通しだった子供たちはもはや叫ぶ気力もなく、死相を顔に浮かべていた。

その時、きめぇ丸が背後に立っていた。
ぎょっとして振りむくと、きめぇ丸は口に咥えていたものを乱暴におちびちゃんたちの上にふりかけた。
それは雑草だった。半分は茶色くなったような、ほとんど枯れかけの苦い雑草。
普段は見向きもしないようなにがにがさんだったが、どうやら今はそれを食べるしかないらしかった。

「おぢびぢゃんっ!!ごはんだよっ!!むーじゃむーじゃじでねぇぇ!!」
「ゆ゛………ごひゃ、しゃ………」
「ゆげぇ………にぎゃいよおおおぉ………」
「これしかないんだよっ!!ゆっくりむーしゃむーしゃしてねぇ!!おねがいいぃ!!」
「ゆぐえぇ………むーじゃ、むーじゃ……ぶじあわぜぇぇ…………」
「ゆぐっ、えぐっ………どぼぢぢぇ………どぼぢぢぇ、ゆっぐぢでぎにゃいにょ………?
まりじゃだぢ、どぼぢぢぇゆっぐぢじちゃいけにゃいのぉ………?」

涙を流し、えずきながら必死に咀嚼するおちびちゃんたちを見てまた涙が流れる。
こんなに純粋で、罪のない、無力な小さな可愛いおちびちゃんが、どうしてこんな目に遭わなければならないのか。
あまりに理不尽すぎる仕打ちにまりさは怒りの炎を燃え上がらせ、きめぇ丸を睨みつけたが、
きめぇ丸はすでに充分な距離をとって遠巻きに観察していた。

「ぎめぇまるはじねっ!!おぢびぢゃんをゆっぐりざぜないぎめぇまるはじね!!
ゆっぐりでぎなぐなっでじね!!ゆっぐりずるなっ!!ゆっぐりずるなぁ!!ぐずぐずじないでいばずぐじねぇぇぇ!!」

普段は温厚な夫が、とても聞くに堪えない悪罵を撒き散らすのを聞きながら、
れいむはゆぐゆぐと嗚咽を漏らしていた。


家に帰ると、どうやら三匹目がやったらしく、
家の中にはあのゆっくりできないうんうんさんや死骸やお飾りがたっぷり投げ込まれていた。

疲労の極致にいた家族は、今また家を失い、意気消沈した。
これだけのものを掃除する気力もなかったし、掃除したところで家にしみついた悪臭はもはや消えないだろう。
こんなところではもうむーしゃむーしゃもすーやすーやもできない。

「まりしゃのちゃからもにょ!!ちゃからもにょとっちぇきちぇよおおぉ!!」
「ごべんね……ごべんね………むりだよおぉ……おひっこじ、ずるじがないんだよおぉ……」

家の中にあった思い出の品々も捨てるしかなかった。
すでに日は落ちかけており、夜が来るまえにせめて隠れ場所を探さなければならない。
休息の時間さえ与えられず、まりさたち一家はまた這いずりはじめた。
はるか後方にきめぇ丸どもの尾行を引き連れながら。


きめぇ丸どもの尾行は、それから何日も続くこととなった。
ときには交代しながら、四六時中ひとときも途切れることなく、まりさ一家はきめぇ丸どもの監視下にあった。

夜になれば、丈高い草の茂みに、
あるいは小さな木のうろに、崩れかけたベンチの下に寝床を求めたが、
眠ろうとすれば必ずあの嫌がらせが繰り返された。
何日も何日も、二時間以上続けてすーやすーやできない日が続いた。


きめぇ丸どもは一切近づこうとしなかったが、ときには干渉してくることもあった。
人間さんの家にあまあまを分けてもらいに行こうとしたときがもっとも顕著で、
その時ばかりはきめぇ丸どもは露骨に道に立ちはだかり、通ろうとする家族を突き飛ばした。

「ゆっぐじでぎないぎめぇまるはじねえええぇぇ!!!」

千載一遇のチャンスとばかりに、まりさは通せんぼするきめぇ丸に渾身の体当たりをしたものだが、
それを正面から喰らってもきめぇまるは小揺るぎもせず、にやにや笑いながら何倍も強力な体当たりを返してきた。
まりさの誤解はようやく解けた。このきめぇ丸はやっぱり自分たちよりもずっとずっと強い。

そこに至り、まりさはぞっとするような事実に思い至った。
このきめぇ丸どもは、自分たちをいたぶっているのだ。
殺そうと思えばすぐにも殺せるのにそれをせず、ひたすら嫌がらせを繰り返し、
自分たちが苦しむのを見て喜び楽しんでいるのだ。

狩りをしようとしても、自分たちが選んだ一切のものは口に入れさせてもらえず、かといって餓死も許されず、
疲労困憊したところであの苦い雑草や腐りきった生ゴミのかけらを、申し訳程度に投げつけられた。

寝ているときも、れみりゃが通りかかればすぐにも見つかるような開けた場所で眠らざるをえない日もあったが、
不思議とれみりゃもふらんも来なかった。
どうやらきめぇ丸が追い払っているらしかった。
それでいながら、夜通しの嫌がらせは止む様子がない。

自分たちを楽しませるためだけに生きろ、生きて苦しめ。
明確にどす黒い悪意を向けられ、まりさは戦慄したが、
それでも食欲には抗えず、与えられたゴミをむさぼり喰った。


「ゆ゛ひぃ………ゆ゛ひぃ………どぼじで…………どぼじでごんなごどに………」
「どぼじででいぶだぢがごんなめにあわなぎゃならないのおおぉ…………」
「ゆ゛っぐ、ゆ゛っぐ、ゆえ゛っ……ゆ゛え゛え゛え゛ぇぇ」

ひたすら嗚咽し、呪詛を吐きながら、どこへ行くあてもなくきめぇ丸から逃げるようにずりずりと這い回る。
いまやまりさ達の生活はただその繰り返しのみだった。
きめぇ丸は依然としてつかず離れず、無言でにやにやとあの薄ら笑いを浮かべ、まりさたちの苦悶を楽しんでいた。

水浴びをしようとしても、ふかふかした草地でゆっくり休もうとしても、
足を止めるたびにきめぇ丸から執拗な嫌がらせがやってきた。
なにか少しでもゆっくりできるようなことをするたびに、偏執的な執念で邪魔をされるのだった。

家族の会話はほとんどなくなった。みな疲れすぎていた。
最初の一日二日は互いに八つ当たりして叫び散らす余裕もあったが、
とっくに限界を超えた疲労を抱えた今、ただぼそぼそと呪詛を吐き散らすしかできなくなっている。


そんな生活が三日も過ぎたころ、ついに限界は訪れた。
その日の夕刻、子供たちが地面にへたり込み、何を言っても怒鳴ってもすかしても、もはや動こうとしなくなった。

「もう……やぢゃ……おうぢがえりゅ………」
「おぢびぢゃん………」
「あみゃあみゃしゃん……むーぢゃむーぢゃじぢゃいよ………」
「ふかふかのべっどしゃんですーやすーやしちゃい…………」
「ぼーるしゃんであしょびちゃい…………」
「ゆっくちしちゃい……ゆっくちしちゃい…………ゆっくち、しちゃいよおおぉぉぉ…………」

涙を流して横たわり、おちびちゃんたちは嗚咽を漏らした。
両親も泣き、どうしようもない状況下、どこに行くあてもないのにこれ以上子供たちをせっつく気にもならなかった。

森の開けた草地で、一家はその場にへたり込み、もはや動こうとしなくなった。
生きる気力も、死ぬ気力もなかった。どうせ食事はあのきめぇ丸たちが持ってくる。
そんなに苦しむのが楽しいならたっぷり見ていけ、自暴自棄になったまりさたちは居直ってその場にぐったりと横たわった。


どれだけ眠っていたのか。
気がつけば、夜が明けていた。
ひと晩じゅう邪魔されずにすーやすーやできるのは何日ぶりだろうか?
久しぶりのまとまった睡眠に意識は軽い。
信じられない思いでまりさが起き上がり、爽やかな朝の空気に包まれた周囲を見渡す。
まさか、きめぇ丸たちがついにあきらめてくれたのだろうか?

愛しい家族に目をやる。
そして、すぐにそれが目についた。

「ゆ゛っ…………ゆ゛ん゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「「ゆゆぅっ!?」」


驚いてれいむと子まりさが起き上がり、叫び続ける父親を見る。
父親の視線を辿ると、二人も金切り声で叫びはじめた。

家族の傍らに、子れいむがいた。

子れいむは両目に枝を突き刺され、
歯をすべてえぐり抜かれた口内に切り刻まれた自分のお飾りを詰め込まれ、
もみあげだけを残して髪をほぼすべて引き抜かれ、
大きく切り開かれたまむまむから内部を剥き出しにし、
やはり大きく引き裂かれたあにゃるに抉り出された中枢餡を突っ込まれ、
全身にぎざぎざに抉られたような切り傷を刻みつけられた無残な死体をさらしていた。

「「「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」」」

家族は長い間叫び続けた。
叫びながら、ふとまりさが気づく。
遠くの土手の上で、三匹のきめぇ丸が、にやにやとあの薄ら笑いを浮かべていた。


苛立ちと怒りは色濃い恐怖に取って変わられた。
あのきめぇ丸たちは、やはり自分たちを殺そうとしている。
それも考えうるかぎり一番むごたらしい方法で。

まりさたちは必死に逃げ続けた。
それでも、どれだけ急いでも、どんな道を通っても、きめぇ丸たちはにやにやとついてくる。

逃げようがないのは身にしみてわかっていた。
それでも逃げ続けるしかなかった。
なぜかはわからないが、起きて這い回っているうちは、きめぇ丸たちは手出しをしてこなかった。

いや、理由はわかりきっている。
生をもとめてあがき苦しむ自分たちを見て楽しんでいるのだ。
子れいむの死骸から枝を取り除き、土を掘って墓を作ってあげている間、
きめぇ丸たちはわざわざ目と鼻の先まで接近し、間近で作業を観察しながら、
自分たちの涙にくれる顔をのぞきこんでは終始にやにや笑い続けていた。
殺ゆん鬼の狂気に怖気をふるい、まりさたちは抵抗する気力を失っていた。


道なき道を進み、どこまでも続く森を這い回る。
やはり狩りは邪魔され、道端の一番まずい雑草を食むしかない。
「むーしゃむーしゃしあわせー」などと喋ったのが遠い遠い昔のように思えた。

家族の顔に生気はない。
ずっと水浴びもせず、休息もほとんどなく、体中は生傷と汚れに包まれ、
埃をまとってぼさぼさに散らばる髪をふりみだし、虚ろな目でゆひいゆひいとあえぐばかりだ。

結果のわかりきった希望のない強行軍。
それでもむごたらしい苦痛と死を一瞬でも先延ばしにする、ただそれだけのために、まりさたちは痛む体に鞭打って這い続けた。
その日も日が暮れるまで這い、激痛と形容していい疲労をまといながら、
まりさたちはどうにか休息所を見つけた。

眠れば殺される。しかし、休まなければ行き倒れてやはり殺される。
交代で見張りながら眠るしかなかった。
まず子まりさとれいむを眠らせ、ひとまずれいむと交代の時間がくるまでまりさは起きて目を光らせることにした。

それでも我慢弱いゆっくりのこと、疲れきった体をおして覚醒しつづけることができるはずもない。
「ついうとうと」、それが子まりさの命運を分けた。
翌日の朝、まりさとれいむは子れいむと全く同じ状態で横たわる子まりさの死骸を前に絶叫しつづけていた。

「おぢびぢゃんをみずでるげずばりざはゆっぐじじねぇ!!」


れいむが壊れた。
あらゆる苛立ちと悲しみをすべてまりさにぶつけることでしか自我を保てなかったのかもしれない。
子まりさを残酷な死に追いやることになったまりさのミスを絶叫し難詰し、弱弱しい体当たりを仕掛けてきた。
まりさはただ泣きじゃくりながら「ごべんなざい、ごべんなざい」とひたすら繰り返すしかなかった。

「ごんなばりざどはいっじょにいられないよっ!!でいぶはりごんっずるよっ!!
ごのままだとでいぶまでじんじゃうよ!!
ばりざはびどりでぎめぇまるにいじべられでいっでねえぇ!!」

問題は今晩のことだった。
きめぇ丸の襲撃から身を守るには、交代で起きながら互いを警護するしかなかったが、
れいむはもはやまりさへの信用を失っており、このままではなすすべなく殺されてしまうと判断した。

その結果、きめぇ丸どもの悪意はまりさに向けられたものだという推測にすがり、
れいむはまりさから離れていった。

「まっで!!まっでぇぇ!!でいぶううぅ!!ばりざをおいでいがないでええぇぇ!!ゆっぐじざぜでえええぇぇ!!」

泣き喚きながらまりさはれいむに追いすがったが、れいむの意思は固かった。
ゆっくりは孤独を極端に嫌う。
むーしゃむーしゃするにもすーやすーやするにも、共に喜びを分かち合う仲間が側にいなければしあわせーは半減する。
まして、この極限の状況下で一人にされるのは何よりも恐ろしいことだった。

れいむに追いすがろうとするまりさの前に、二匹のきめぇ丸が立ちはだかった。

「ゆ゛う゛う゛ぅぅ!!どいでっ!!どいでね!!どいでよおおぉぉ!!
でいぶがいっぢゃうよおおおぉぉぉ!!」
「ゆゆっ!!やっぱりきめぇまるはまりさをねらってたんだねっ!!
れいむはにげるよ!!まりさはひとりでころされていってね!!」

きめぇ丸に遮られて絶望の叫びをあげるまりさを振りかえりもせず、れいむはずーりずーりと立ち去っていった。


「ゆびい………ゆびい…………だんで…………どぼぢで……………」

荒い息をつきながら、泥だらけの体に鞭を打って這いずる。
ついに一人になってしまった。
もはや眠ることはできない、眠ればあのきめぇ丸どもに襲われる。
かといって眠らずに、いったいどれだけ逃げ続けられるものか。

どうあがいても逃れる術はなかった。
どれだけ先延ばしにしても必ずやってくる死、それでも少しでも、少しでも先送りにするために、
全身を苛む激痛に涙を流しながらまりさは這いずり続ける。


おひさまさんがお空の真ん中にかかる頃、
森の中を這いずっていたまりさの上に、何か重いものが落ちかかってきた。

「ゆ゛べぇっ!!?」

衝撃に呻くが、すぐにそれ以上の不快感に神経が粟立つ。
真新しい濃厚な死臭。
頭上にのしかかるそれを必死に振り払うと、半ば予想していたものがそこにあった。

「ゆ゛っあ゛っ………あ゛っ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛………
でい、ぶ………でいぶ…………でいぶううぅぅ!!」

子供たちと同じように全身を突き刺され、目を潰され髪を引き抜かれあにゃるとまむまむを蹂躙されたでいぶの死骸を前に、
まりさはもう何度めかわからない絶叫を長々と発した。


もう選択肢はなかった。

妻の墓を作る余裕さえなく、まりさは必死に川まで這いずってきた。
あの恐ろしすぎる、苦痛に満ちた死を逃れるために、ついに自ら死を選んだのだ。

「ゆ゛びい………ゆ゛びい………ゆぐっ………ゆ゛っぐ………
ゆっぐじ、ゆっぐじ…………ゆっぐじ、じだがっだ………………
…………じだがっだよおおおぉおぉぉぉぉ…………………」

生き汚いゆっくりが死を選ぶのは相当な状況である。
何よりも目先のゆっくりを、明日がどうあれ今日をゆっくりすることに意識の大部分を割くのがゆっくりであり、
自ら命を絶つという発想は人間よりもずっとハードルが高い。

それを、まりさはついに選んだ。
今までしてきた様々なゆっくり、これからするはずだった沢山のゆっくり。
おちびちゃんやおちびちゃんのおちびちゃんに囲まれて、沢山のあまあまをみんなでむーしゃむーしゃする、
近い将来叶うはずだったそんな光景を脳裏に浮かべながら、まりさは眼前の死を見つめていた。
あとからあとから襲うのは悲しみと疑問の念。

「どぼじで………どぼぢでばりざだぢが、ごんなべにぃぃぃ…………」

誰かに嫌われるようなことは何もしてこなかった自負があった。
笑顔でいっぱいの明るい家族、誰からも好かれ、慕われるゆっくりした家族のはずだった。
そんな自分たちに、あのきめぇ丸どもはどうしてあんなひどいことができるのだろう。
いくら考えてもわからなかった。

後ろを振り向けば、あのきめぇ丸どもが遠巻きに見つめている。
逃れようもない。
長い間、何時間もの間まりさは迷い続けていたが、
ついに意を決し、眼前の川に飛び込んだ。

「ぼっどゆっぐじじだがっだよおおおぉぉおぉぉぉぉ!!!」


「ゆ゛げぼっ!!ゆぼっ!!ごぼ!!げぶふぅぅ!!」

結局、死ぬことさえ許されなかった。

川に飛び込んだ直後に、まりさはきめぇ丸に引き上げられ、
三匹のきめぇ丸どもに囲まれながら呑みこんだ水を吐き戻していた。

涙をためた視線をきめぇ丸に向け、まりさは懇願した。

「ゆ゛………おでっ、おでがい…………
じなぜで………じなぜで、ぐだざいいいぃ…………」

きめぇ丸どもは、やはり、にやにや笑っているだけで答えてはくれなかった。

「どぼ、ぢで…………
どぼぢでぇぇ………?だんで………?ばりざ、わるいごどじだ………?
じでないでじょおお………ばりざだぢ、ゆっぐじじでだだげだよおおぉぉ………
どぼじでごんなびどいごどでぎるのおおおおぉぉぉぉ………?」

返ってくるのはにやけ顔ばかりだった。

「ゆっぐじざぜでよおおぉぉ………ゆっぐじ、ゆっぐじじだいよおぉぉ…………
ぼう、いや………おうぢがえる…………おうぢでゆっぐじずる……………
いいでじょおおおお………?ぼう、いいでじょおおお…………ゆっぐじざぜでよおおぉぉ…………
ばり、ざ………ゆっぐじずる………ゆっぐじ、ずるよおぉぉ………いいよね…………いいでじょおおおお………?」

きめぇ丸どもに背を向け、必死に這いずり、離れていこうとする。
そうして振り向けば、やはりきめぇ丸があとからついて来ていた。

「やべでよ!!やべでよおぉ!!ごないで!!ごないでえぇぇ!!!
なんでごんなごどずるのおおおぉぉ!!?ざっぎがらぎいでるでじょおおおおぉぉぉ!!!
なにがいっでよ!!ごだえでよおおぉぉ!!」

沈黙と嘲笑。

「ゆっ、ぐじ……ゆぐひ………ぐひいいぃぃ…………
ゆっぐじ……ゆっぐじ………ゆっぐじ…………ひぐぅっ………えぐっ、ゆっぐうううぅ………」

そしてまた始まる、絶望的な逃走。

「………ゆ゛っ゛ぐじじだい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉぉぉぉ…………………」


夕刻とともに、まりさの最期の時は訪れた。

ついに一歩も歩けなくなり、開けた草原のど真ん中でまりさはへたり込んだ。
ずたずたに傷ついたあんよは中枢餡にまで響く激痛のシグナルをひっきりなしに出し続け、
視界は薄い餡子色に濁り、二メートル先も見えない状態だった。
ひび割れた舌を突き出し、からからに乾いた喉の奥からまりさは絞り出した。

「………ゆぼ…………ぼ、う……………だ……べ………」

濁った視界の中、まりさはきめぇ丸どもの足跡を聞いた。
ズサササ、という独特の軽い摩擦音が響き、自分のすぐ側で止まる。
見上げると、三匹のきめぇ丸たちが、あのにやけ顔で口々に枝を咥えているのがわかった。

ついに自分も殺されるのだ。
まりさは観念し、目を閉じた。

「ぼう……どうに、でぼ……じで………ね……」

やっと終わるのだ、という安堵のほうが恐怖よりも大きかった。

直後、右の眼窩を激痛が襲った。

「ゆ゛っぎゃああああああああ!!?」

眼球を刺し貫いた枝が、ぐりぐりと内部の餡子を掻きまわす。
想像したこともなかった激痛が、まりさの本能を刺激した。
死の覚悟はどこへやら、激痛にまりさは身をよじり、必死に枝先から逃げようとした。

「ゆぎゃああああだいだいだいだいだいだいいいいぃぃ!!
やべ!!やべで!!いぢゃいよおおおぉぉぉ!!」

まりさが身を引いて逃げると、きめぇ丸は追ってこず、枝を引き抜いてそこでにやにや笑っていた。
このまま追ってきて、まりさを次々と刺し殺すのだと思っていた。
しかし、きめぇ丸は追わなかった。この期に及んでも、まだまりさをにやにやと観察していた。

ぞっとした。
まりさがきめぇ丸の前で身をさらさない限り、死は訪れてきてくれなかった。
あの激痛。死への覚悟はとうに吹き飛んでいた。
いたいのはゆっくりできない。ゆっくりできないのはいやだ。ゆっくりしたい。
とっくの昔に限界を迎えている体をきしませ、まりさは今なお逃げはじめた。

疲労で動けなくなり、倒れこむたびに、きめぇ丸たちはまりさを突き刺した。
一度に一刺し、ぐりぐりと枝をこじって、最大限の苦痛を与えるように。
そのたびにまりさは身をよじり絶叫し、その場の苦痛から逃れるためにまた這いずり始めるのだった。

自分を徹底的になぶり、いたぶり、苦悶の叫びと絶望の逃避行を楽しんでいる。
ずーりずーりと這いずる自分の最期のもがきが、きめぇ丸にはこの上なく面白い見世物なのだ。
こんな死に方はいやだ、こんな死に方はゆっくりできない。
自分の家族たちに囲まれて、自分の死を悲しんでくれるおちびちゃんたちに囲まれて、自分は満ち足りて死ぬはずだった。
こんなところで、ずたぼろになって、自分の苦痛と死を喜ぶやつらに囲まれて、
自分の悲鳴と苦悶を笑われながら永遠にゆっくりするなんていやだ。

いたい。いたい。ゆっくりできない。ゆっくりしたい。


「いぢゃいっ!!いぢゃいよおおぉぉ!!ゆびい!!ゆっぐじでぎにゃいいいいぃぃ!!!」

立ち止まるたびに全身を枝で刺され、切りつけられた。
きめぇ丸の選んだ枝は、頑丈でいながら粗くささくれ立ち、まりさに最大限の痛みを与えた。


「いぢゃ!!いぢゃああぁ!!だべでえええぇぇ!!!ばりじゃのざらざらべあーざああああ!!」

髪を少しずつ噛みちぎられた。
もみあげを千切られたときの激痛は、まりさのあんよにさらに無情な力を与えた。


「おぼうじっ……おぼうじざ………ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

目の前で帽子を取り上げられ、少しずつ引きちぎられるのを見せつけられた。
もはや帽子を気にしている状況じゃないのはわかっていたが、
本能的に、帽子を咥えたきめぇ丸をずりずりと追い続け、まりさは相手にさらなる興を与えた。


「あ゛ぎい゛!!い゛い゛い゛い゛い゛ぃ!!」

残った片目もえぐり抜かれた。
もはや見えなくなった目で、まりさは岩や草に足をとられながらより無様に這いまわることになった。


「ゆ゛ごぼぼおおおおぉぉぉ!!!」

歯を一本ずつこじり抜かれた。
まりさが倒れるたびに歯茎に枝を差しこまれ、一本抜かれるたびにまりさは飛び上がってまた這いずった。


「おぎょおおおおおぉぉぉぞご!!ぞごやべでええぇ!!!!ばりじゃのあにゃるううううゆ゛ぎゃああああああ!!!」

あにゃるに枝を突っ込まれ、ぐりぐりと回転させながら押し広げられた。
逃げながら、あにゃるから滴る大量の餡子がさらにまりさの体力を奪ってゆき、真の限界の訪れが近づいていった。


「ぼぶっ!!おご!!ぼぼぉぉぉ!!ばぶっ!!ゆげぼばあぁぁ!!
ごがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぼばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぶぼお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉ」

最期の時が訪れていた。
しかしその最期の時は長く長く引き伸ばされ、いつまでたってもまりさのもとを立ち去ってはくれなかった。

完全に動けなくなったまりさを仰向けにし、きめぇ丸たちはまりさのまむまむを枝で切り開くと、
その内部の餡子をゆっくりとゆっくりとかき回していた。
餡子が大量にこぼれ出さないように、中枢餡を傷つけないように、ささくれた枝でゆっくりゆっくり内部を引っ掻き回す。
こんな苦痛がこの世にあったのか。
こんな苦痛がこの世に存在する必要が本当にあるのか。
なんでまりさがそんな苦痛を感じなければならないのか。
いまやまりさは抑えつけられ、激痛にびくんびくんと跳ね上がる以外に動くこともできず、
ただ苦痛にのみ染まった世界を悶えまわった。
その視界は、最後のその時まで、きめぇ丸のにやにや笑いだけが満ちていた。

結局、まりさの最期の時は、
一歩も動けなくなってから永遠にゆっくりするまで、夜通し八時間ほど続いた。


―――――――


「ありがとう。本当に来なくなったわ」
「おお、かんりょうかんりょう。これにておひきうけしたしごとはおわりました」

人間さんの元を訪れ、きめぇ丸たちは報告していた。
一週間前に取り引きを交わし、人間さんの家にたかりに来るゆっくり達を駆除して、
約束通り一週間後のこの日に訪れた。

「本当にありがとうね。困ってたから。
でも、どんなふうにやったの?」
「おお、きぎょうひみつきぎょうひみつ」
「それはきかないでくださるとたすかります」

自分たちの「駆除」の内容を聞けば、人間さんは眉をひそめるだろう。
我が物顔に世界をほしいままにしながら、
はたから見れば意味不明な「罪悪感」だの「良心」だのとやらに悩まされ、
今後自分たちに依頼するのをためらうようになる。
経験則から、人間たちのそうした特性をきめぇ丸たちは知っていた。

「今、ゆっくり害が流行ってるからねえ。
また他のゆっくりが来るかもしれないけど、その時はまたお願いできる?」
「おお、びみょうびみょう。ほかにもおとくいさきはありますし、これでけっこういそがしいのです」
「いちおう、ときどきこのへんもみまわっています。
まあ、なんといいますか、おやさいさんをたくさんくれるところがどうしてもゆうせんてきに……」
「あらまあ、しっかりしてるのねえ。
わかってるわ、ちょっと待っといでね」
「おお、かんしゃかんしゃ(ヒュンヒュン)」

人間さんはざる一杯の野菜を持って戻ってきてくれた。
目の前に置かれた野菜の量を確認し、きめぇ丸たちはヒュンヒュンと動きを激しくする。
この人間さんはいいお得意先になりそうだ。

「おお、たしかにたしかに。ありがとうございます」
「こんごともきめぇさんれんせいをよろしくおねがいします」
「その呼び方はよくわかんないけど、こちらこそよろしくね。
ゆっくりがみんなあなたたちみたいだったら、もっと気持ちよく付き合えるんだけどねえ」


野菜と感謝の言葉を受け、きめぇ丸たちは人間さんの家をあとにした。
帰る道々、互いに視線を交わして笑みを漏らす。

ゆっくりがみんな自分たちみたいだったら?
それはそれで厄介だろう、ゆっくりにとっても人間にとっても。

ゆっくりが人里に現れて数カ月。
それはゆっくりにとっても、人間という未知の生物との出会いだった。
自分たちよりはるかに強く、しかし自分たちをとてもゆっくりさせてくれる力を持つ生物。
人間との付き合い方はゆっくりによって様々だったが、
きめぇ丸のように、人間の需要に従って役立つことでゆっくりを引き出す道を選んだものもいる。

三匹のきめぇ丸姉妹は、ゆっくりをいたぶるのが好きだった。
その嗜虐性はきめぇ丸の中でも飛びぬけている。
悪意を向けられ、怯え、怒り、苦痛にのたうち回るれいむ種やまりさ種が、
きめぇ丸たちにとってはこたえられない楽しみなのだ。

そして、人間さんに迷惑をかけている個体を狙うことで、
こうして人間さんから美味しい野菜を分けてもらう方策をとっていた。
この野菜もまた、森ではなかなかお目にかかれない、こたえられない味だった。


「つぎはどこへいきましょうか(ヒュンヒュン)」
「おお、となりまちとなりまち(ヒュンヒュン)」
「かいゆっくりにちょっかいをだしているありすがいるといううわさです(ヒュンヒュン)」
「ありすはひさしぶりですね。おお、たのしみたのしみ(ヒュンヒュン)」

人間の前に突如現れた正体不明の生物、ゆっくり。
ひとまず現在のところは、そう悪くない関係を築いているといっていいだろう。



〔終〕

ゆっくりいじめSS・イラスト ※残虐描写注意!コメント(33)トラックバック(0)|

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コメント

2428:

序盤の説明調な感じで読むの辞めようかと思ったが、虐待部分がとても酷たらしくて素晴らしかった
面白い

2012/11/12 09:46 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2430:

ストーリーは今まで読んだ中で一番おもしろい!

2012/11/12 15:01 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2431:

ストーリーがよくできてた
虐待もすごくよかった

2012/11/12 17:07 | 名無し #- URL [ 編集 ]
2433:

人間が虐待する話かと思ってたら、まさかきめぇ丸だったとは
ゆっくりによるゆっくり虐待はゆっくり出来ないんじゃないかと思ったけど、
なかなかどうしてゆっくり楽しめた!

2012/11/12 18:47 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2434:

ゆっくりのゆっくりいじめか・・・                                     面白!

2012/11/12 19:14 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2435:

最近画像がないな.....

2012/11/12 21:06 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2436:

この話いいな

2012/11/12 21:14 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2439:

なんか引き込まれた

2012/11/12 21:52 | 鬼遺産 #- URL [ 編集 ]
2441:

>ゆっくりがみんな自分たちみたいだったら?

想像してぞっとした。
きめぇ丸ほど身体能力が高くて知恵の回るゆっくりが本気出したら
武器持たぬ人や幼い子供ぐらいなら簡単に大怪我か、下手したら
命の危機に晒す事さえも可能だろうな。

2012/11/12 23:36 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2444:

ドス「わしも昔は鬼戒惨を制裁していたんだが、あんよに矢を受けてしまってな・・・」

2012/11/13 02:01 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2446:

面白かった

2012/11/13 02:41 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2449:

このきめぇ丸は今後エスカレートしてマッチポンプで稼ぎそうな気がする

2012/11/13 09:03 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2453:

じわじわとゆっくりを苦しめるのが最高

2012/11/13 16:11 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2454:

自分達が人間さんの家に侵入して餌を漁ったことが原因ということを微塵も知らされることなく
ただただ虐待されていくのが逆に爽快だった

2012/11/13 16:22 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2456:

痛ぶりかたが最高に良い!ゆっくりいじめはゆっくりじっくり!

2012/11/13 20:12 | 名無し #- URL [ 編集 ]
2491:

休む暇すら与えず殺しもしない、そして読んでて飽きない素晴らしいSSでした!

2012/11/15 00:58 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2524:

きめぇさんれんせい・・・いいキャラしてるなあ・・・うむ

2012/11/17 02:15 | 斬 #- URL [ 編集 ]
2624:

きめぇさんれんせい……なんてゆっくりしたゆっくりなんだ……
こんなにゆっくりしたゆっくりは初めて見たよ、
赤ゆよりよっぽど見ていてゆっくり出来る。
おお、ゆっくりゆっくり

2012/11/21 03:09 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2677:

構成が上手いな
しかしきめぇ丸ほど知能が高くて素早かったらどうしようもないなww


2012/11/24 03:20 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2795:

このきめぇ丸達の虐待ぶりには、鬼戒惨も適うまい

2012/12/03 02:21 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2870:

きめぇ丸一匹欲しくなってきた、初めて見た時はあの顔がウザくて仕方がなかったんだが、今となってはあれもとても可愛いと思えるんだ
希少種というだけあって中々登場してくれないが、それだけに登場したときは嬉しくて仕方ない。

2012/12/07 21:48 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
3103:

きめえ丸は可愛くて役に立つなあ

2012/12/17 18:25 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
3108:

こういうきめぇ丸共を一斉に虐殺、拷問していって
所詮自分達もあの無能饅頭と同類でしかないことを思い知らせてやりたいなあ

2012/12/17 22:24 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5141:

それが>>3108の最後の言葉だった
後日、両目を抉られ自らの切断されたぺにぺにをあにゃるに突っ込まれた>>3108の死体が発見された

2013/03/16 21:54 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5795:

きめぇ3連星つええwwとどめはやっぱりきめぇストリームアタックか?

2013/04/06 23:36 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
6263:

きめぇさんれんせいの虐待は並の虐待鬼意山のそれを遥かに超えるレベルだな
素晴らしい

2013/04/22 00:44 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
6597:

このきめぇ丸はとおおおってもゆっくり出来るゆっくりだね
残念なのが、企業秘密ってことで虐待シーンを教えてくれないことかな

2013/05/03 04:49 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
8065:

きめぇ丸は可愛いなぁ

2013/06/23 10:32 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
8542:

>>5141
童貞卒業だな!

2013/07/05 00:20 | 名無しさん #MP/sNF7I URL [ 編集 ]
8763:

希少種が人間の味方になって糞袋を制裁する話好き

2013/07/11 20:17 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
9978:

他者への幸福の決めつけと押し売りは、不幸や苛立ち、争いを生むということだな。ゆっくりのあまあませびりは宗教勧誘に似てるわ。

まあ、何が言いたいかというと…
一家ざまああああああwwwww身の程を知れ糞以下共が

2013/08/10 16:36 | 名無しさん #V4y2yfjo URL [ 編集 ]
11882:

自らの立場を弁えた希少種によるゴミ饅頭虐待はすごくゆっくりできるね!!!

2013/10/23 07:13 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
19486:

面白かった!

正直俺はこたつまりさとかまりさつむりとか
このきめえ丸とかを安易な派生キャラとしか捉えていなかったんだけど
この話はきめえ丸という素材を活かしたかにおいては合格点
何より純粋に面白い!

2016/05/25 23:21 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]

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