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2179:かけがえのないいのちなんだよ!

2012/11/13 (Tue) 23:00

ゆっくりという生き物の語彙は、陳腐でいながら不可解だ。
乏しい知能と記憶力で種族の中に蓄積されていく言語に、最近、また新しいものが加わったようだ。

日々大量に生まれ、大量に死んでゆくゆっくり共。
その生死流転のサイクルの中で、哀れなほど脆弱な「文化」らしきものが、それでも確かに形成され、伝えられていく。
言語のレパートリーもその一つで、おもに人間の模倣をすることで増えていくらしい。

「ゆっくりだっていきてるんだよ!!かけがえのないいのちなんだよ!!」

ひどく卑屈なこの言い草は、聞くからに人間の受け売りだ。
主にれいむ種が使用するこの物言いは、
ゆっくりが人間に虐待される際、あらゆる抵抗が無駄に終わって万策つき果てた状況で、
最後の切り札として人間の良心を狙う、あまりにも微弱ながら最後の盾であり矛である。
もちろん、そんな言い分に耳を貸すような人間なら最初から虐待などするはずがなく、
100%以上の確率で不発に終わり、相手の興をさらにかき立て、より凄惨な虐待を呼び込む結果に終わる。

私もまた、そうした言い草に興を掻き立てられた人間の一人だ。


他人には当然秘しているが、私はゆっくり虐待が好きである。
食品会社の要職についており、それなりの財産を持っているのだが、
片田舎に格安で買った別荘もそのひとつだ。
月に2、3回、休日にその別荘に赴くのだが、
私がそこを訪れるときは、決まって何日も温めてきたゆっくり虐待のプランに胸を膨らませている。
今回は有休を取り、三日ほどのまとまった休みが取れた。

別荘は別段、景勝地や快適な施設が側にあるわけでもなく、本当にただの片田舎だ。
近場でゆっくりを捕獲しやすいこと。
近くに人家がないこと。
この二つの条件を満たしていればよかった。

とはいえ、自然界のゆっくりと都会のゆっくりは結構違う。
今回は都会で捕獲してきたゆっくりを使う。
あの台詞を吐いてもらうためには、より人間の影響が濃いゆっくりのほうが都合がいい。
ゆっくりは単純だ単純だと言うが、それでも結構なパターンがある。
今回は都会で野良をしていた、善良な家族を選んだ。
厳選した。善良であればあるほどいい。善良であるほど、その葛藤を楽しめる。


人里離れた別荘は、私以外には人っ子一人いない。
おそらく半径2キロぐらいは人の気配はなく、ゆっくりがどれだけ叫ぼうと邪魔が入る心配はない。

居間のテーブルに、捕獲してきたゆっくりの詰まったクーラーボックスを置く。
氷は入っていない。その中では、大量のラムネと一緒にゆっくりの家族が入れられており、
誰かが起きれば側にあるラムネを食べてすぐに眠る、のローテーションを繰り返している。
中に入っているのは、いわゆる「しんぐるまざー」の成体れいむ。
そして子ゆっくりが数匹、れいむ種が三匹とありす種が二匹だった。

善良な個体が欲しかったので、ありす種を育てているれいむを優先的に探した。
理由は簡単で、レイパーありすに犯されてシングルマザーをやっているれいむなら善良である確率が高いからだ。
大抵のゆっくりは、レイパーに犯されて生まれた子供を憎む。
少なくともありす種はすべて殺されるのが普通だが、
母性の強い、他者を憎みきれない善良なゆっくりなら、
子供に罪はないというわけで、レイパーに似た子供でも育てるというわけだ。
捕獲する前に本人にも確認したが、やはりレイパーの子だった。

ゆっくりを取り出す前に、はやる気持ちを抑え、下準備を整える。
家中を回ってそれなりに大仰なセッティングを終えると、まず煙草を一服してから、私は笑みを浮かべて腰をあげた。
さあ、今回のゆっくり達はどんな鳴き声を上げてくれるのだろうか。


「どぼぢでごんなごどずるのおおおぉぉっ!!?」

目覚めた直後はにこやかに挨拶をしてくれたれいむは今、甲高い金切り声で私を楽しませてくれている。

始めの挨拶代わりに、無言で子れいむの一匹を踏み潰してみせた。
これで子ゆっくりはれいむ種とありす種が二匹ずつ。必ず多いほうから片付けてバランスを取ろうとしてしまう。
エスポワール号では命取りの発想だが、なるべく多様な反応を長く楽しみたいものだ。

「「「「「ゆぎゃあああああああ!!?」」」」」
餡子を撒き散らして潰れた亡骸を前にオーケストラを奏でてくれる一家。
それでも自分に敵意を向けてはこない。相手を憎むよりも子を失った悲しみのほうが大きいのか、
都会での野良生活で人間に逆らっても無駄なことをよく理解しているのか。
どちらにしても好都合だ。

「やべでえええぇぇ!!おぢびぢゃんをがえじでえええぇぇぇ!!!」
れいむの声援に励まされながら、取り上げた一匹の子ありすをぐにぐにと揉む。
「ゆぶぇ………びぇっ!……ぢゅ、ぶ………ぢゅぶれびぇええぇ………!!」
強い痛みを与えるように強く揉みしだき、ときにはつねり上げる。
泣き叫ぶ子ありすを見上げながら、れいむ一家は涙と涎を撒き散らしてさらに懇願した。

「ぢゅぶっ……あゆぎゅっ!!……いぢゃ、びっ!!………がぶぶうぅぅ……………ぶびぇっ!!」
親れいむの目の前に突き出してやりながらゆっくりゆっくりと力を込め、
赤ありすの苦悶の表情をたっぷりと観賞させてやった。
涙ながらに慈悲を乞いながらぺーろぺーろしようと舌を突き出してくるが、
舌が子ありすに触れそうになるたびにすっと手を引き、追いすがるれいむを引きずりまわしてしばし楽しむ。
眼球を手さぐりで潰し、上顎と下顎を丹念に砕き、たっぷり十分かけた末に子ありすはついに中枢餡を潰された。
充分に時間をかけて潰したので、カスタードクリームは撒き散らされず、地面にぼたぼたと漏れ出すばかりだ。

「あ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃぃ!!ゆ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!!!」
次に、もう一匹の子れいむの皮を少しずつ剥いでゆく。
外皮と粘着している内部の餡子が勢いにまかせて漏れださないように、
丁寧に丁寧に、ぺりぺりと皮と餡子を剥離させてゆく。
皮を剥いだはしから、スポイトで吸い上げた濃い口の塩水を振りかけてやると、
こんな小さな体からは信じられないような声量で、子れいむは叫び狂った。

「ぎょごぼおおおおおお!!!!どぎょおおおおおおお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!ごごお゛お゛お゛お゛ーーーーっっ!!!」
全ての餡子を剥がしておはぎ状態になった子れいむの前でれいむを押さえつけ、
何度も何度も塩水を振りかけて子れいむの反応を一緒に楽しむ。
剥き出しになった眼球をぎょろぎょろと勢いよく回転させ、大きな歯をがしがしと噛みあわせながら心地よい音曲を奏でてくれた。
塩水を吸いすぎた餡子がぼろりと崩れ落ちるまで、子れいむはやはり十分近く生き続けた。

そんな子供たちの晴れ姿を観賞しながら、親のれいむは何度も何度も私に質問してきた。
「どぼじでごんなごどずるのおおおぉぉ!!?」
三匹目の子ゆっくりを殺したところで、私は満面の笑みをたたえて返答した。

「そりゃあ、楽しいからに決まってるじゃあないか!」
「ゆぶう!!ゆぶううーーっ!!ぶひゅううう!!」

もちろん、これは言語ではない。れいむの激しすぎる息遣いである。

「だんでっ!?だんでごんだごどがだどじいいどおおお!!?
がわいいおぢびぢゃんだっだどにっ!!どっでぼゆっぐじじでだどにいいいい!!
がえじでっ!!でいぶのがわいいおぢびぢゃんがえじでよおおおお!!!」
「ええ?もう殺しちゃったから返せないな。ごめんなっ☆」
「ゆ゛ぎいいいいいい!!!ぎがあああああ!!なにがおがじいんだああああああああーーーーーーっ!!!!」
「あっはっは!子供を殺されて顔を真っ赤にしてるゆっくりほど面白いものはないな!
歯茎を剥きだしてふーふー言っちゃって、最高に笑えるよ。面白いから残りの子供も潰しちゃおう」
「やべろおおおおおお!!やべでねええええ!!ぼうおぢびぢゃんごろざないでえええええ!!」
「ゆ゛う゛ううううぅ!!ぎょわいいいいいぃぃ!!」「どぎゃいばじゃにゃいわあああぁぁ!!みゃみゃぁぁぁ!!」

必死に母親の背後に逃げ込む、残り二匹の子ゆっくり共。
人間に勝てるわけがないことを充分に知りながら、怒りと悲しみを表情に浮かべてぷくーをするれいむ。
おいおい、そうじゃないだろう。さあ、早くあの台詞を言ってくれよ。
今回用意してある虐待は、あの台詞がなければ始まらないんだからな。
私はやきもきしながら、露骨な誘導をはじめた。

「いいじゃないか、そんなゴミクズ。いくら死んだって」
「おぢびぢゃんはごびぐずじゃだいいいいぃぃぃ!!!」
「ゆっくりなんてゴミクズじゃないか。役に立たないし、気持ち悪いし、てんで弱いし。
そのおちびちゃんとやらだって、何の役に立つっていうんだ?大飯喰らいで、することといえばうんうんをひり出すだけ。
生きてる意味が見つからないよ。私たち人間を楽しませるために死んでくれよ、それでようやく役に立てるってもんだ」
「どっ………ど……どぼじでぞんだごどいうのおおお!!?
ゆっぐじだっでいぎでるんだよおおおおおぉぉぉ!!!」

やった。言わせた。おそろしく簡単だ。
ゆっくりの語彙はじつに少ないので、ちょっと誘導してやれば容易く思い通りの返答を引き出せる。
森に生きているゆっくりなら、自分たちのゆっくり具合を説いて生きる価値を主張してきたりもするが、
普段からさんざん人間に虐げられている都会の野良なら、人間にそんなことをしても無駄だと理解している。
行きつくところは、どんな底辺にも保障される最低限の価値――命の尊厳しかないというわけだ。
まったく張り合いがないが、まあそんなことはいい。

「でいぶだぢだっでいっじょうげんべいいぎでるんだよっ!!おぢびぢゃんだぢだっでぞうだよっ!!
どぼじでぞんなびどいごどがいえるのっ!!?にんげんざんだけがいぎでるんじゃないんだよ!!
よわいからって、やくにたたないからって、いのちさんをおもちゃにしていいわけがないでしょ!!?
みんな、みんな、おなじたいせつないのちさんだよっ!!
せかいにたったひとつしかない、かけがえのないいのちなんだよおおおぉぉっ!!!!」

一気に言い切り、れいむは涙を流しつつも、キリッと口を引き締めてこちらを見据えてくる。
途中まで濁っていた言葉もだんだん明瞭になってきていた。
言いながら自分に陶酔した結果、ヒロイン気取りで外面を気にしはじめたようだ。
涙ながらのどや顔を見ているうちに爆笑しそうになり、慌てて口を押さえながら後ろを向く。
背中を向けながらぷるぷる肩を震わせている私に向かって、れいむはとどめとばかりに言い放った。

「にんげんさんっ!!ゆっくりはんっせいっしてね!!」

なんとか爆笑の波をやりすごし、深呼吸してから深刻な表情を作って、私はれいむに向きなおった。

「れいむ…………そうだ、本当にその通りだ。命は大切だ……そうだったんだよ。
私は、私は…………人として、人間として、最も大切なことを忘れていた」
「ゆゆっ!!」

自分の手の平をじっと見つめ、自分がした行為におののいて苦悩に身を震わせる演技をする私。
れいむは目を輝かせて満面の笑みを浮かべたが、すぐにキリリと怒りの表情に切り替えて言った。

「ゆっ!!そうだよっ!!にんげんさんがしたことは、とってもひどいことなんだよっ!!」
「自分が楽しむために弱い者を虐め、殺してしまうなんて……
私はいくつものかけがえのない命を奪ってしまった。とても償いきれない、重すぎる罪を背負ってしまった」
「ゆゆっ!!にんげんさんっ!!はんっせいっすればゆるしてあげるよっ!!」
「しかし、私は君たちの可愛い子供を殺してしまった……」
「ゆぅ………にんげんさんをせめたって、おちびちゃんたちはかえってこないよっ!!
えいえんにゆっくりしたおちびちゃんたちにあやまってね!!それからうめてあげてねっ!!」
「私は………私は………」

私は散乱する死骸の前に膝を下ろし、震える両手をゆっくりと地面に近づけ、土下座の姿勢に移っていった。

「いや待てよッ!!?」
「「「ゆびぃっ!!?」」」

ガバッと起き上がり、ぎらりと光る視線をれいむ一家に射かける。
私に対して慈しむような視線を向けてきていたれいむは飛び上がって驚き、しーしーを漏らした。

「おぉ~~っと、いかんいかん、あやうく感動して改心してしまうところだったぞォ~~~……そうれ!」
「「おしょらをとんぢぇるみちゃいっ!?」」
「ゆゆぅっ!?おぢびぢゃああん!!?」
「れいむ!この私に対して偉そうに訓戒を垂れてくれたようだがなァ……しかしお前はどうなんだ?」

二匹の子ゆっくりを取り上げ、戦隊モノの特撮番組に出てくる悪役のような調子で私はれいむを挑発する。
我ながら悪ノリが過ぎるが、楽しいからしょうがない。
ゆっくり相手なら好きなだけ童心に帰れる、それが私がゆっくり虐待を愛好する大きな要因のひとつだ。

「命は大切だ。どんな生き物だろうと、たとえそれがゆっくりのような無力で無能で不潔で有害なゴミクズだとしても。
確かにそれは認めてもいいかもしれん。だが、れいむ!お前自身はどうだ!?命を大切にしているか?」
「ゆ、ゆゆっ!?おぢびぢゃんっ……」
「質問に答えろ!」

子ゆっくり共を握りこむ手に力を咥える。
たちまち子れいむと子ありすは膨れ上がり、「ぢゅぶれりゅうぅぅ」の呻きを漏らし始めた。

「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おぢびぢゃんんん!!」
「お前は命を大切にしているのか!?」
「ゆ゛っ!!じでるよっ!!でいぶはいのぢざんをだいぜつにじでるよっ!!」
「本当にそうか?お前たちもまた、これまで多くの命を奪ってきたんじゃないのか?」
「おぢびぢゃんばなじでぇぇ!!ゆっぐじざぜでええぇぇ!!!」

会話にならないので、子ゆっくり二匹を小さな透明なケースに放り込む。
子ゆっくり二匹が動き回るには充分なスペースがあるが、蓋をしてしまうとれいむにはもはや手出しができない。

「れいむ。そんなに言うなら、お前の生活ぶりを見せてもらおう。
お前が本当に命を大切にして生きているのか確認させてもらう。
三日間やる。その間お前が本当に命を大切にしていると確認できたなら、子供たちを返してやろう。
そしてゆっくりできるあまあまとおうちも与えてやる」
「ゆぅっ!!ほんとっ!?」
「ああ。ただし……お前がほんの少しでも、生き物を殺したり、虐げているのを見たなら、
この子ゆっくり達はゆっくりできなくする。むごたらしい方法で苦しめて殺す」
「ゆ゛ううううぅぅ!!ぎょわいいいいいぃぃ!!」「ゆっぐぢでぎにゃいいいぃぃ!!」
「おぢびぢゃあああん!!」
「なあに、れいむ、お前の普段通りの生活を見せてくれるだけでいいんだ。
命を慈しみ、他の生き物を大切にするお前の生活をな。それでおちびちゃんは助かり、あまあまとおうちも手に入る。
簡単でオイシイ話じゃないか」
「ゆっ………ほんとう?にんげんさん、やくっそくっ!だよっ!!」
「ああ、約束だ。絶対に守ろう。誓うよ」
「ゆ!ゆっくりりかいしたよっ!!れいむのゆっくりしたせいっかつっをゆっくりみていってね!!
そのあいだ、おちびちゃんたちにごはんさんもあげてねっ!!」
「ああ、約束する」
「ゆーっ!!おちびちゃんたち、ゆっくりがまんしてね!!
すこしだけだよ!!そのあと、たくさんのあまあまさんとゆっくりしたおうちがもらえるからね!!」
「ゆっ!!あみゃあみゃしゃん!!」「ときゃいはぢゃわあぁぁ!!」

まんまと乗ってくれた。私はこらえきれずに笑みを漏らす。
さあ、これから三日間、このれいむの生活をじっくりと楽しませてもらおうじゃないか。
命を慈しみ、生き物を愛するれいむの、慈愛に満ちた生活とやらを。


――――――――


「ゆわあぁぁぁ……」

森に放されたれいむは、感極まった声をあげた。

眼前に広がる世界は、れいむが都会で夢見ていた理想郷だった。
人の姿に怯えながら、必死に生ゴミをあさる野良生活。
どこへ行っても人間に見咎められ、アスファルトに塗り固められた路上では満足に餌を集めることもできない。
おいしいお花さんをむーしゃむーしゃしたいと思っても、それは必ず柵に遮られた人間さんの庭に生えているのだった。

しかし今目の前には、見渡す限りの緑、緑、緑。
草さんは山ほどあるし、おいしそうなお花さんも沢山生えている。
草むらの中を探せば、あの虫さんもむーしゃむーしゃできるだろう。
都会では、ほんのわずかな草むらで採れる虫さんを狙って、数多くのゆっくりがしのぎを削り合う。
だがここでは、れいむの独占状態。好きなだけ虫さんを探して、好きなだけむーしゃむーしゃできる。

「ゆうううぅぅ~~~ん!!」

口の中に広がる芋虫さんの味を想像し、れいむは早くも涎を垂らしてぷるぷる震えた。
背後からお兄さんの声が聞こえてきた。

「ここで自由に暮らしてくれ。時々は戻ってきて、お前の生活ぶりを報告するんだ。子供たちも心配だろ?」
「ゆっ!そうだよ!!ときどきもどってきて、みにくるからねっ!!おちびちゃんはゆっくりしんぱいしないでね!!」
「「ゆっくちぃ~~~!!」」
「離れていても、私はちゃんと見ているからな。いつも通りの生活をするんだぞ、いいな」
「ゆーっ!ゆっくりりかいしてるよ!!
れいむのゆっくりしたせいっかつっをみて、ゆっくりはんっせいっしてね!!ぷんぷん!!」
「はいはい、じゃあな」

お兄さんと愛しい子供たちに見送られながら、れいむは森に跳ねていった。
いつもどおりの生活をすればいいとは思いつつも、この森を独占して狩りができると思うと心は湧きたった。


「ゆんっ!!ゆんっ!!すごいよおぉ、ごはんさんいっぱいだよおぉ~~~!!
ゆっくりめうつりしちゃうよっ!!ゆんっ!!ゆぅ~んっ!!」

涎を垂らし、森の中を跳ね回るれいむ。
どこを見てもごちそうばかりだった。草むらに群生するお花さん、そこかしこに散見される虫さん。
すぐにもかぶりつきたい気持ちを抑えて、眼前に広げられたメニューをなるべく多くチェックする。
これだけあるのだから、どうせなら一番最初のひとくちは厳選したかった。

「ゆ、ゆわわわわぁぁぁぁ……………」

ふと目に入った草叢の葉っぱの上にいたそれに、れいむの目は釘付けになった。
ぷりぷりまるまると太った、緑色の大きな芋虫。
街ではこんなに大きな虫は見たこともなかった。
虫自体が少ないうえに、目を血走らせた競合相手がすぐにさらっていってしまう。
そんなごちそうが、今は誰にも邪魔されず、れいむに食べられるのを待っているのだ。

「ゆぅぅ~~んっ!!ゆっくりしたいもむしさんだよおぉ~~!!
いもむしさんっ!!ゆっくりれいむにむーしゃむーしゃされてねっ!!」

そう言い、れいむはぽんぽんと跳ねて草叢のすぐ側に立つと高らかに宣言した。

「かわいいれいむのすーぱーむーしゃむーしゃたいむ、はじまるよっ!!」
『ゆゆっ!!?やめてねっ!!いもむしをたべないでねっ!!!』
「ゆぅっ!?」

突然聞こえてきた声に、れいむは驚いて伸ばしていた舌を引っ込めてしまった。
どこから発せられた声なのか、きょろきょろと辺りを見回すが、ゆっくりの姿も人間さんの姿も一切見当たらない。

「ゆぅ?へんなおこえがきこえたけど、きのせいだったよ!!」
『きのせいじゃないよ!!ゆっくりいもむしのはなしをきいてねっ!!』
「ゆゆーっ!!いもむしさんなのっ!?」

驚いたことに、どうやら喋っているのは目の前の芋虫らしかった。

『そうだよっ!!いもむしはいもむしだよ!!ゆっくりしていってね!!』
「ゆゆーんっ!!れいむはれいむだよ!!ゆっくりしていってねっ!!」

挨拶をしてくれた。つまり、この芋虫はゆっくりできる芋虫だ。
芋虫さんがこんなにゆっくりできるなんて知らなかった。
新しいお友達の登場にれいむは心浮き立ち、ぽんぽんと飛び跳ねた。

「いもむしさんはゆっくりできるね!!いっしょにゆっくりしようね!!」
『ゆゆっ、いもむしはかりのとちゅうなんだよ』
「ゆーん、じゃましてごめんねっ!!れいむもかりのとちゅうなんだよ!!」

そう言い、れいむはふと我に返った。
そうだ、狩りをしていたのだ。そして自分は今、とっても大きくておいしそうな芋虫さんを………ゆゆっ?

「ゆーん……いもむしさん、とってもおいしそうだよぉ……」

再び目を血走らせて涎を垂らすも、芋虫は声をはりあげて拒絶した。

『ゆーっ!!たべないでねっ!!いもむしをたべないでねっ!!まだえいえんにゆっくりしたくないよ!!』
「ゆっ……ご、ごめんね!だいじょうぶだよっ!!れいむはいもむしさんをたべたりしないよっ!!」
『ゆんっ、ゆっくりありがとうねっ!いもむしはごはんさんをさがしにいってくるよ!ゆっくりしていってね!!』
「ゆっくりしていってねっ!!」

気持ちのいい挨拶を交わし、れいむは涎を拭きながらも葉の上を這いずっていく芋虫を見送った。

空腹をかかえたまま、再び跳ねだす。
新しいお友達ができた。あんなに小さくて可愛い芋虫さんとお友達になれて嬉しかった。
初めて見つけた、ゆっくりしていってねと返してくれるゆっくり以外の生き物。
れいむはいよいよ楽しくなり、この森さんが自分を歓迎してくれているような気分になってきていた。


そう、森のすべてが、実際にれいむを歓迎していた。


『ゆっくりしていってねっ!!』
「ゆゆっ!!のいちごさん!!ゆっくりしていってねっ!!」

道端に群生していた野苺が挨拶を返してくれた。

『れいむのおりぼんさんはとってもゆっくりしてるね!!』
「ゆぅぅ~んっ!!てれちゃうよぉ!!みみずさん、ゆっくりありがとうねっ!!」

道で出会ったミミズが飾りを褒めてくれた。

『ゆんっ、ゆんっ!ゆっくりあそぼうね!!ゆっくりかけっこだよっ!!』
「ゆーっ、まけないよっ!!ゆっくり!!ゆっくり!!」

草原で出会ったバッタさんと、相手が見えなくなってしまうまでかけっこに興じた。

『ゆっくりみてみてね!!れいむはきょうもゆっくりしてるよっ!!』
「ゆぅぅ~~……ほれぼれしちゃうよぉぉ~~……!!」

通りがかった池で自分の姿を映してもらい、自分の姿に見惚れた。


森で出会うすべてが、れいむに『ゆっくりしていってね!!』と挨拶してくれた。
そのたびにれいむは挨拶を返し、とても楽しいひとときを過ごした。
森は命に満ち、誰もがれいむに笑いかけ、れいむをゆっくりさせてくれた。
世界はなんと素晴らしく、なんとゆっくりしているのだろう。
たくさんのお友達に囲まれて、れいむは今、これまでにないほど満たされていた。
「ゆんっ!ゆんっ!」足取りも軽く、一歩一歩を鼻歌とともに踏み出してしまうれいむだった。


――――――――


「むーちゃ、む-ちゃ……」
「しょれにゃりー………」

子れいむと子ありすは無味乾燥なご飯を咀嚼していた。
これだけ沢山の食事にありつけるのは久しぶりのことだったが、
お兄さんに与えられたそれはまったく味がせず、食感もぱさぱさしており、ゆっくりできなかった。

子ゆっくり達は知らないが、それは躾用のゆっくりフードである。
飼いゆっくりの舌が肥えないように、味付けを排除した格安のフードだった。

「ゆぅ……」

ご飯はまだ残っていたが、子ゆっくり達は食事を止めて外を見やった。
透明な箱はテーブルの上に置かれ、廊下のガラス戸から外を見ることができた。
母親の消えていった森を見やりながら、子ゆっくり達は母親の帰りを一日千秋の思いで待ち焦がれていた。

お兄さんはご飯をくれたきり、どこかへ行ってしまった。
子れいむと子ありすは力なくすーりすーりを交わしながら、無聊と寂しさと心細さを必死にこらえていた。


――――――――


「ゆ゛ふう………ゆ゛ふう………」

母親のれいむは、涙を浮かべて森の小道を這いずっていた。

すでに日は落ちかけている。
昼過ぎには湧きたっていたれいむの精神は、今はぼろぼろに摩耗していた。

「ゆ゛ひい………ゆ゛ひい………おなか………おなかが、ぺーこぺーこだよ………」

ぐぐう、と大きな音を立ててれいむの腹が鳴る。

「ゆ゛うぅ………ぽんぽんさん、ゆっくりしてね…………」

この森に放された昼過ぎから、ずっと何も食べていなかった。

森で出会うすべてのものが、れいむに挨拶をかけ、れいむと談笑した。
初めのころは嬉しく、楽しかった。
しかり、れいむは狩りをしていたのだ。
食事にありつくために見つけたものに舌を伸ばすと、食べようとしたそれが、必ず言葉を発するのだ。
それではもはや食べることもできない。
花もキノコも虫も草もすべてが意志を持っていた。

今では、食べられそうなものを見つけるたびに、れいむは懇願する。
「おねがいだからあいさつしないでね!!ゆっくりしないでね!!ゆっくりれいむにむーしゃむーしゃされてね!!」
そう頼み、しばらく待って反応がないのを見てから、ようやく舌を伸ばす。
それでも、舌がいまにも触れるというその時に、それが『ゆっくりしていってね!!』と叫ぶのだ。

「ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
『ゆっ!!れいむ、どうしたの?ゆっくりしていってね!!いっしょにゆっくりしようね!!』
「ゆ゛っぐじなんがでぎだいいいいいいい!!!」

今またキノコに挨拶をされ、れいむは涙目で地団太を踏んだ。

「でいぶはおなががずいでるんだよっ!!ゆっぐじでぎだいんだよおおぉ!!むーじゃむーじゃじだいいいぃぃ!!!」
『ゆゆっ!?ゆっくりしていってね!!ゆっくりしてね!!』
「おなががずいでるっでいっでるでじょおおおぉぉ!!?
ゆううう!!きのこさんっ!!れいむにむーしゃむーしゃされてね!!れいむおなかぺーこぺーこだよっ!!」
『ゆううぅ!?やめてね!!やめてね!!むーしゃむーしゃしないでねっ!!ゆっくりできないよ!!』
「れいむだってゆっくりできないよぉぉ!!もうずっとたべてないんだよおぉ!!
このままだとれいむしんじゃうよっ!!どうしたらいいのおおぉぉ!?」
『そんなことしらないよ!!ほかのものをたべてねっ!!きのこはまだえいえんにゆっくりしたくないよっ!!』
「きのこさんはたべられるのがおしごとでしょおおぉ!?」
『ゆーっ!?かってにきめないでねっ!!むーしゃむーしゃされるなんていやだよ!!れいむだっていやでしょ!?』
「ゆぐっ……!!でも、でも……れいむはゆっくりだよっ!!きのこさんはたべられるためにはえてるんだよ!!
きのこさんはうごけないでしょ!?なんにもできないでしょ!?たべられるためにいきてるんでしょおおぉ!!」
『どぼじでぞんなごどいうのおおおぉぉ!?
きのこだっていきてるんだよっ!!きのこはうごけないよ!!やくにたたないよ!!
でも、でも、いっしょうけんめいいきてる、かけがえのないいのちなんだよおおぉ!!』
「ゆっぐうううううぅぅぅぅっ……………!!!」

なんの反論もできず、れいむはただ涙を流して舌を伸ばしていたが、
やがてキノコに背を向けて走り出した。


『のまないでねっ!!のまないでね!!ゆっくりできないよっ!!』
「どぼじでぞんなごどいうのおおおおぉぉぉ!?ごーくごーくさせてよおおおぉぉっ!!!」

水までもが反逆した。
池に口を近づけてごーくごーくしようとしたら、拒絶の言葉が飛んできたのだ。

『みずだっていきてるんだよっ!!ごーくごーくされたらすごくいたいよ!!ゆっくりできないよっ!!』
「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!のどさんがかーらかーらだよおおおぉぉ!!」
『ほかのものをのんでねっ!!みずはいたいいたいだからいやだよ!!
れいむだっていたいいたいはゆっくりできないでしょ!?』

『ほかのものをたべてね』『ほかのものをのんでね』、誰もが口を揃えてそう言った。
ほかのもの、そんなものがどこにあるのか。
どこを探しても、なにを見つけても、他をあたれと言ってくる。
れいむは結局何も口に入れることができず、途方に暮れた末、ついにお兄さんの家に戻るしかなかった。


「ふーん」

報告を受けたお兄さんは、特に感慨もない風で顎をなでていた。

「もりさんはみんないきてたよ!!みんなたべられたくないっていってたよ!!」
「そりゃそうだろうな。お前だって食べられたくないだろ?」
「ゆぅ………みんないきてたなんてしらなかったよ………」
「え?ちょっと待て、れいむ。おかしいじゃないか」
「ゆっ?」

お兄さんの言葉に、れいむは顔を上げる。

「みんな生きてるなんて当たり前だろ?誰だって知ってるぞそんなこと。
え、れいむは知らなかったのか今まで?マジで?
と、いうことはだ、れいむ……お前は、まさか、まさかとは思うが………
今まで、一生懸命生きている他の生き物たちをむさぼり喰っていたのか!?」
「ゆがーんっ!!!」
「必死に生きている生き物たちを、かけがえのない命を、その体を……
噛み切り、すり潰し、少しずつ体を食いちぎって殺したのか!?そんな残酷なことをしていたのか!!?」
「ゆ゛、そ、それは…………」
「まさかそんな残酷なことはありえない、ありえないとは思うが、仮定の話としてだ……
もしも、もしもれいむがそんな事をしていたとしたら、そんなれいむに同情はできないな。
私も、れいむの可愛いおちびちゃんたちを殺して食べてしまおう。
おちびちゃんたちは痛いだろう、苦しいだろう………でも、しょうがないよな、私が生きていくためなんだから。
れいむだってやってきたことなんだからな!!」
「ゆ゛あ゛っ………ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!
やべでね!!やべでねええぇぇ!!やべでえええええおでがいいいいいい!!!」
「おいおい、なにを慌てているんだ。まさか本当に、そんなひどいことをやっていたわけじゃないんだろ?」
「ゆ゛っ………!!」

れいむはぶるぶる震えていた。
嘘をつくのはゆっくりできない。ゆっくりできないとわかっていたが、それでも、可愛いおちびちゃんたちのためだった。

「してないよっ!!れいむはころしてないよ!!そんなひどいことしてないよおおぉぉ!!」
「うん?そうだろ。当たり前じゃないか。私だってそんなことは信じてないさ。何をそんなにムキになってるんだ?」

涼しい顔で、お兄さんは腕を組む。
れいむは全身から冷や汗をだらだら流しながら、テーブルの上に乗っている愛しい我が子を見やった。

「おきゃーしゃん、ゆっくちちちぇー!!」「みゃみゃー!!」

自分を気遣って叫んでいる子供たちを見て、れいむは決心を新たにした。
おちびちゃんたちのためなら、どんなことも耐えよう。嘘だってつこう。

「おちびちゃんたち、ごはんさんはむーしゃむーしゃしてるっ!?」
「ゆーっ!!むーちゃむーちゃちてりゅよ!!」「みゃみゃがいにゃいとちあわちぇーできにゃいわっ!!」
「ゆゆぅ、おちびちゃんたち、がんばってね!!すこしのがまんだよ!!
おにいさん、れいむにもごはんさんちょうだいねっ!!」
「おいおい、言ってることがおかしいぞ、れいむ?
私はこう言ったんだ。れいむの、普段通りの生活を見せてくれとな。
もちろん、食べ物を探すのも生活のうちだ、っていうかそれがほとんどだ。
そこをだ、私に食べ物を与えられて生きるんじゃあ、もう普段通りの生活とは言えないだろ?」
「ゆっ……ゆぐっ……」
「私はお前がどれだけ生き物を大切にした生活をしているか、それが見たいんだ。
聞いたときはびっくりしたよ。一切生き物を殺さずに生きているってことだからな。
誰も殺さずにどうやって食事をしているのか、私はそれが知りたいんだよ。はやくご飯を食べてみせてくれよ」
「………!!………………!!!」

八方塞がりだった。
それからしばらく押し問答を試みたが、お兄さんは食べ物を分けてはくれず、
結局すごすごとその場を離れるしかなかった。

「どんなご飯を食べるのか、楽しみにしてるからな!」

お兄さんの能天気な声が、無性に腹立たしかった。


――――――――


自室にこもり、私は笑い転げていた。
カマをかけてやったときの、れいむの衝撃を受けた表情。
自分がしたことを認識しながら、子供のために嘘をつくことを選んだ表情。
思ったとおり、命の大切さを説いたれいむは、それゆえに絶対的な矛盾に突き当たり、身動きがとれなくなった。


私の目の前にあるテレビは、れいむの視界を映し出している。
ひどく低い視界で見上げる世界はなかなか新鮮だ。

れいむのリボンには、超小型のカメラを仕込んである。
そのカメラが映し出す映像は、リアルタイムでこのテレビに映りこむというわけだ。
そしてリボンにはもう一つ、マイクがつけられている。

私がこの家で、変声機を通してマイクに声を吹きこむ。
ゆっくりに親しみやすいような語り口で、甲高い声に変換された私の言葉は、
遠隔通信でれいむの耳元に届く。

変声機や通信機、小型ビデオカメラなど、いちいちネットで探して取りよせたものだ。
趣味には金を惜しまないのが私の信条である。
ゆっくりの声真似をして声を吹き込んでいる自分の姿を想像するとなかなかきついものがあるが、楽しみのために妥協はできない。

かくして、れいむが何かを食べようとするたびに、私が邪魔をしているというわけだ。
フレンドリーに挨拶をし、人格を主張し、命の尊さを説いて捕食を拒否する。
善良なれいむは、まんまと罪悪感に苛まれて食事ができなくなった。

命を大切にしながら、いかに捕食して生きるか?

人間なら、上手に自分をごまかし、納得させる。
社会の中で命の大切さを説きながら、一方で殺して捕食する営みをいかに正当化するか?
宗教、たとえばキリスト教では、神が人間に世界を治めさせたとして、人間に隷属する存在として他種の生物を規定した。
牛も豚も羊も、もともと人間が食べるために作られた生き物だというわけだ。
宗教心の弱い現代日本では、もっと効率的な方法がとられている。「考えない」というやり方だ。
誰かが疑問を呈したら、常軌を逸した偽善者扱いして排除すればいい。

ゆっくりも、ほぼ同じだろう。
しかしこの場合は、上位の存在たるこの私が見張っている。理論なきごまかしは許さない。
人間なら「弱肉強食なんだから強い人間が捕食するのは当然だ」と開き直る手もある(それも矛盾の解決にはならないが)。
今のれいむがその結論を取ったなら、より強い私がれいむの子供たちをいじめ殺す。

人間と違い、れいむに逃げ場はない。
理性を持ってしまった生物の命題を、ゆっくりがいかに解くか楽しみだ。
もちろん解けるわけがないのだが、その苦悩をたっぷりと楽しませてもらおう。

正しく生きようとする姿の、なんと滑稽なことか。


――――――――


翌日の朝、れいむは早くも極限の状況下にあった。

ゆっくりという生物は、頻繁に食事を取らなければならない。
古くなって機能を失った餡子を排泄する、つまりうんうんをして、日常的に餡子が減っていく。
古い餡子を捨て、食事をした分をそのまま餡子に変換する。
人間の消化機能と違い、ゆっくりのそれは非常にシンプルなメカニズムになっている。
食事がそのまま内臓になり筋肉になり、その内臓や筋肉を排出していることになる。

人間のように、肉体を動かすエネルギーを食事から摂取するのではなく、
肉体を直接排出し補充する機関であるがゆえに、食事の重要度は人間とは比較にならない。
一切食事をせず水分もとらない生活を続けた場合、赤ゆっくりなら六時間で餓死する。
成体ゆっくりでも、死ぬまでにせいぜい五日しかもたない。
肉体の機能が鈍って動けなくなるまでにはもっとずっと早く、ほとんどの場合三日はかからない。

森の木のうろを探し、なんとか寝床を確保したはいいものの、
空腹のためにほとんど寝付けなかった。
おまけに、自分がうろに潜り込んでいるその木が、頻繁に声をかけてくるのだ。

『れいむ、あんしんしてゆっくりしていってね!!』
「ゆがああああああ!!うるざいいいいいいいぃぃぃ!!!」

善意で声をかけているらしかったが、うとうとしかけたところにそんな大声が響くのでは眠れない。
ひと晩中感情を高ぶらせてふうふう唸り、れいむは余計な体力を消費して餡子の老朽化をさらに早めた。

丸一日食事をとれず、現在れいむは誇張抜きで生命の危機にさらされている。
すでに跳ねる体力はなく、ずーりずーりと這い回って食事を探す。

「ゆぶぅ………ゆべぇ…………おで、がい………ぶーじゃ、ぶーじゃ…ざぜでぇぇぇ…………」

普段なら見向きもしないにがにがの雑草にさえ、れいむは涙ながらに懇願してまわった。
それでも返ってくるのはやはり同じ反応だった。

『むーしゃむーしゃしないでね!!ゆっくりできないよ!!』
『ゆっくりほかのものをたべてね!!』
『いっしょうけんめいいきてるんだよ!!かけがえのないいのちなんだよ!!』
「ゆぎがああああああああ!!!」

れいむは泣き叫んだが、
見ず知らずのゆっくりの一時の空腹を満たすために命を差しだしてくれるような生き物は一人もいなかった。


今また、まるまると太った芋虫さんを見つけ、れいむは必死に懇願していた。

「おでがい!!おでがいだよっ!!だべざぜでね!!むーじゃむーじゃざれでねっ!!
でいぶおながべーごべーごなんだよっ!!だべないどじんじゃうよっ!!ゆっぐじりがいじでねええぇぇ!!!」
『いやだよっ!!たべられたらしんじゃうよ!!いもむしはもっともっとゆっくりしたいよっ!!』
「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!
でいっ、でいぶは!!でいぶにはがわいいおぢびぢゃんがいるんだよおぉ!!
でいぶがじんだらおぢびぢゃんだぢもじんじゃうんだよぉ!!いぼぶじざんにはがわいぞうだげど、じがだがないんだよっ!!」
『いもむしにもおちびちゃんがいるよっ!!これからごはんさんをさがしておうちにもってかえらないと、
おなかをすかせたかわいいおちびちゃんたちがゆっくりできなくなっちゃうんだよ!!ゆっくりりかいしてね!!』
「う゛う゛う゛う゛う゛!!!う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅ!!」

泣きながら地団太を踏み、痛む頭をフル回転させてれいむはなんとか理屈を絞り出した。

「ゆ、そ、そうだよっ!!でいぶはしんぐるまざーなんだよっ!!
れいぱーにむりやりすっきりされて、ひとりでおちびちゃんをそだててるんだよっ!!
たいへんなんだよぉ!!かわいそうなんだよおおぉ!!」

自分は可哀想なしんぐるまざーなのだから、お前は私に優しくしなければいけない。
そんなことを主張して人間を奴隷扱いしたり、他のゆっくりに暴行を働いて食糧を奪うゲスゆっくりがいる。
れいむは常々そんなゲスを軽蔑し、ああはなるまいと考えていた。

それだけに、自分がそんな言葉を発したのが信じられない思いだった。
それでも、ひどい頭痛を伴う空腹がれいむの理性をねじ伏せた。
涎を撒き散らしながられいむはまくし立てる。

「そうだよっ!!でいぶはしんぐるばざーなんだよっ!!やざじぐじなぎゃいげだいんだよおおぉ!!」
『ゆーっ!!いもむしだってしんぐるまざーだよっ!!
ゆっくりしただんなさんがとりさんにたべられちゃったから、ひとりでこそだてしなきゃいけないんだよ!!
かわいそうなんだよ!!やさしくしなきゃいけないんだよ!!』
「ゆ゛っ………う゛…………うるざいうるざいうるざいいいぃぃ!!
でいぶはじんぐるばざーなんだあああああぁぁぁぁ!!!おぢびぢゃんのだべにいぎなぎゃいげだいんだよおおおぉ!!
おぢびぢゃん!!おぢびぢゃん!!おぢびぢゃん!!おぢびぢゃんのだめなんだああぁぁ!!!」

おちびちゃん。
その言葉を、れいむは必死に繰り返した。
そうだ、自分のためではない。可愛いおちびちゃんのため。おちびちゃんのためなら何だってできる。
ゆっくりできないゆっくりになっても、どんなゲスになっても、おちびちゃんのためなら耐えよう。
おちびちゃんのために、自分はゲスになろう。

おちびちゃんのために。
それが、れいむの選んだ免罪符だった。
すべての責任を我が子に押しつけ、れいむは空腹を癒す道をとった。

『ゆっくりやめてねっ!!むーしゃむーしゃしないでねっ!!』
「でいぶはじんぐるばざーだんだあああああああぁぁぁあ!!!」

叫びながら、れいむはついに芋虫にかぶりついた。
途端に、芋虫の絶叫が森に響く。

『ゆっぎゃああああああああああああああぁぁぁあ!!!!』

それを聞き、れいむは一瞬体を硬直させたが、
歯を食いこませた芋虫の体から染み出す体液の味が、れいむを狂わせた。
葉の上から地面に引き下ろし、れいむは芋虫の下半身を噛みちぎった。

「むーじゃっ!!むーじゃっ!!むーじゃあああぁぁ!!
……………しっ、し、し、し、しししししししあわせええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!」

それは、れいむのゆん生の中でも最高の美味だった。
水さえ飲めずに乾ききっていた全身に、芋虫の味が暴力的なまでの濃厚さで染み透ってゆく。

『あ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!
いだい!!いだい!!いだいいだいいだいいだいいだいいだいいいいぃぃぃぃ!!!』

一方で、芋虫はぐねぐねと身悶えしながら絶叫していた。
噛みちぎられた断面から体液を漏らして転げ回る。

『あんよざんがっ!!あんよざん!!あんよざんゆっぐじがえじでええぇぇ!!
これじゃもうかりがでぎないよおおぉぉ!!おぢびぢゃんがじんじゃうよおおおぉぉお!!』

芋虫の悲鳴を、れいむはしっかり認識していた。
普段のれいむなら、その苦痛にあてられて涙を流しただろう。
しかしれいむは今、あえてそれを無視した。
この芋虫は言葉なんか喋っていない、自分に何度もそう言い聞かせながら涎の溜まった口を再び開く。

『ゆ゛ああああああやべでええぇぇ!!むーじゃむーじゃじないでええぇぇ!!』

叫ぶ芋虫の体を、一寸刻みにちぎってゆき、少しずつ少しずつ大切に味わってゆく。

『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛いだいだいだいだいだああああああぁぁ!!!
ごぶっ!!ゆぼっ!!ゆぶっゆっぐじでぎだっ!!いぢゃあああぁぁ!!』

芋虫の絶叫を必死に意識の外に追いやりながら、れいむは涙を流して新鮮な体液を味わった。
その涙は、あまりの美味しさへの感動からだった。

「むーしゃむーしゃむーしゃむーしゃ…………しあわせえええええええええ!!!」


『おい、戻ってこい』
「ゆゆっ!?」

食後のすーぱーうんうんたいむの最中に、声が聞こえてきた。
体を起して周囲を見渡しても誰もいない。

「ゆーん?なにかおこえがきこえたけど、きのせいだったみたいだねっ!
すーぱーうんうんたいむ、さいっかいっ!だよっ!!」
『気のせいじゃない。私はお兄さんだ、すぐに私の家に戻ってこい』
「ゆゆぅ!?おにいさんっ!?へんだよっ!!どこにもいないよっ!!」
『人間は遠く離れていても声を届かせることができるんだよ。いいから戻ってこい』
「ゆーっ!!おにいさんはすごいねっ!!
でも、いまはれいむのすーぱーうんうんたいむのさいっちゅうっだよ!!じゃましないでね!!」
『みゃみゃあああああぁぁぁああ!!だじゅげぢぇええええぇぇ!!』
「ゆ゛っ!?」

耳に響いてきたその叫び声が誰のものなのか、れいむにもすぐにわかった。

「おぢびぢゃんっ!!?おぢびぢゃんなのぉ!?」
『ゆっぎゃああああぁぁぁ!!みゃみゃああああああもどっぢぇっ!!もどっでぎぢぇええゆぎょおおおぉ!!』
『そうか、悪かったな。ゆっくりすーぱーうんうんたいむを満喫してくれ』
「まって!!まってねっ!!そのおこえはなに!?」
『うん?お前の子供のありすと楽しく遊んでいたところさ。お前も誘おうと思って呼んだんだが、お邪魔だったみたいだな』
「ゆ゛うううううぅぅ!!?おぢびぢゃんにでをだずなああああぁぁ!!!」

血相を変え、れいむはがばと起き上がって駆け出した。








ゆひゆひ言いながら必死に駆けてきたれいむは、下半身にうんうんをこびりつかせていた。
庭でバーベキューセットを前に座るわたしに向かって叫んでくる。

「おにいざんっ!!」
「やあ、れいむ。すーぱーうんうんたいむはもういいのかい」
「おぢびぢゃんになにをじでるのおおおぉぉ!!?」
「ああ、これかい?」

れいむはぶるぶる震えながら、私が手に持っている子ありすを見ている。

「なに、ちょっと小腹がすいたんでね。この子をおやつにしようかなと思っていたところさ」
「みゃ、みゃ………だじゅっ、だじゅげ………どぎゃいばじゃ……にゃい……ぎゃびゃああああぁぁぁっあっ!!!」

片方の手でライターの火をつけ、子ありすの体を再びあぶる。
ぷしっ、としーしーを漏らし、目玉と舌を飛び出させて子ありすはまた絶叫した。
すでに顔以外の全身が、ほんのり茶色く変色している。
子れいむの方は透明な箱に閉じ込めて見物してもらっている。泣きながらなにか叫んでいるが放っておく。

「ゆっぐじやべでねっ!!やべでええぇぇぇ!!!なんでええええぇぇ!!?」
「おいおい、何をそんなに騒いでるんだ?」

私はわざと大仰な仕草で肩をすくめてみせた。

「腹が減ったから、殺して食べる。当たり前のことだろう?
当たり前のことをなんでやめなきゃいけないんだい?」
「おぢびぢゃんがいだがっでるでじょおおおおお!!?」
「うん。だから?」
「がわいぞうでじょおおおおぉぉ!!おぢびぢゃんはぢいざいがらやざじぐじないどいげだいんだよおおぉぉ!!」
「あの芋虫さんも、おちびちゃんが沢山いるって言ってたなぁ……」
「ゆっ!!?」
「あびぎゅうっ!!?」

再びライターを灯し、子ありすをあぶりながら私は言ってやった。

「ものすごく痛がってたよなぁ、あの芋虫さん。
あんよを千切られて、苦しんでいるところを少しずつ少しずつ千切られて食べられて……
痛かったろうなあ。苦しかったろうなあ。なあ、れいむ?」
「だじゅげぢぇええええぇぇ!!あっづううううぅぅぅいいいぃぃぃみゃみゃあああああぁぁぁ!!!」
「ゆ゛…………ゆ゛………なんで…………?」

我が子の絶叫にも返事をせず、れいむは冷や汗をだらだら流して私を見ていた。

「私たち人間にはなんでもお見通しなのさ。芋虫さんは美味しかったかい?」
「…………!!…………あの、あれは……れいむはしんぐる………まざー、だか……ら……」
「あの芋虫さんもシングルマザーだと言っていたよなあ?沢山の子供を育てていると言っていたよなあ?」
「おぢっ………おぢ、びぢゃ…………」
「ぅづううううぅぅぅぅ!!!ゆぎょおおおおおおおぉぉお!!!があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーっ」

私たちの間で炎に焼かれながら、限界以上に口を開いてあらんかぎりの絶叫を絞り出す子ありす。
美しい光景だ。
子ありすの金髪が燃え上がり、溶けてゆく。

「なあ、れいむ」
「ゆあああああおぢびぢゃっ!!おぢびぢゃのがみがあああぁぁぁ!!」
「私は感動したんだ。お前が、命は尊い、かけがえのないものだと言ったとき。
お前たちのような無力な生き物にも、真実の尊厳が、魂の輝きというものがあるのだと感嘆した。
だが、れいむ。私は裏切られた。お前は私を裏切ったんだ」

バーベキュー用の金属の串を取り出し、とくに意味はないが、炎であぶる。

「命は尊いと言ったお前が………なぜ殺した?
あんなにゆっくりしていた芋虫さんを、恐らくはお前よりも弱い体で辛い思いをしながら多くの子供を育てていた芋虫さんを、
お前はなぜ殺したんだ?」
「ごめんなさいいいいぃぃぃ!!」

涙を滂沱と吹き出させてれいむは詫びた。

金属の串の先端を、子ありすの口の中に突っ込む。
なるべく皮に近い部分、そして子ありすの顔面の中心を通るように、炎で熱された串がゆっくりと子ありすの体を貫いていった。
子ありすの絶叫。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!」

子ありすから手を放すと、顔面以外の皮膚が茶色く焼け焦げた子ありすが金串に貫かれてぶら下がる。
上顎から額を貫く金串にほとんど顔面の皮膚だけでぶら下がっているので、
顔面が中心でひきつって盛り上がり、とても面白い顔になっている。

「おぢびぢゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「なぜ殺したのかと聞いてるんだが?」
「おなががっ!!おな、おなががずいでっ………」
「私もおなかがすいているんだ。この子でおなかをゆっくりさせてもらうよ」
「あ゛ーーーーーっ!!あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーっ!!!!」

金串に挿したまま、子ありすを辛口のタレに漬ける。
ごぼごぼと口から空気(呼吸は必要ないはずだが)を吹き出し、全身にしみ込む辛味の苦痛にさらに子ありすが身悶える。
しばらくそうしてから引き上げ、そのまま子ありすをアルミホイルで包み、焼き網の上に置いて蒸し焼きにする。
金串に貫かれ、アルミホイルの中で高熱に蹂躙され、子ありすは元気よく歌いつづけていた。

「お前さえ命を大事にしていれば、私もこの子の命を助けてやったんだがなあ」
「ごべんだざい!!でいぶがばがでじだ!!でいぶがばぢがっでばじだ!!いのぢはだいぜづでず!!
いぼぶじざんもだいじなだいじないのぢざんでず!!でいぶがげずでじだ!!ゆっぐじじでばぜんでじだ!!
おぢびぢゃんだげはっ!!おぢびぢゃん!!でいぶをだべでぐだざい!!おぢびぢゃんだげはだべだいでぐだざいいい!!
でいぶのっ!!でいぶのだがらぼどだんでず!!おぢびぢゃんがいながっだらいぎでいげばぜん!!
おぢびぢゃんはわるぐだいんでず!!ぜんぶでいぶのぜいでず!!おぢびぢゃんはいのぢをだいぜづにじばずっ!!
でいぶはげずだげどおぢびぢゃんはゆっぐじじでるがらっ!!おでがっ!!おでがいでずだずげでぐだざい!!
いっじょうのおでがいでずがらおぢびぢゃんをだべだいでぐだざいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

私の足元にすがりつきながら鳴き続けるれいむの声を楽しみながら、子ありすの焼き上がりを待つ。

「そんなに元気に跳ね回って叫べるのも、芋虫さんを苦しめて殺して食べたからなんだよねえ。
謝るなら私にじゃなくて、芋虫さんにだろう?もうお前のお腹の中だけど、まだ聞いてくれるかもよ」
「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅ!!!
ごべっ!!ごべなざっ!!いぼぶじざんごべんだざいいいいぃぃ!!
ゆっぐじぶーじゃぶーじゃじでごべんだざい!!いだいいだいじでごべんだざい!!
でいぶがわるがっだでず!!だぐざんおぢびぢゃんいるのにっ!!ごろじでごべんだざあいいい!!
でいぶがっ!!でいぶはげずでずっ!!じぶんがいぎるだべに、いぼぶじざんをごろじだげずでずっ!!
ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ごべんね!!ごべんで!!ごべんでえええええぇぇぇ!!!」
「お前もバカだねえ。なんで殺して食べたりなんかしたの?
いつものようにすればよかったじゃないか。いつものように、生き物じゃない食べ物を食べればよかったのに。
そうすればこの子だってこんな目に遭わずにすんだのに……なに?ちょっとスリルを楽しんでみたかったわけ?」
「ゆ゛んあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ごべんだざっ!!でいぶがうぞっ!!うぞづいでばじっ………」
「もしも!生き物を食べないってのが嘘だったら、私は怒ってしまうなあ。
あそこに残っている子まりさも食べてしまわないとなあ」
「!!!!」
「あと一日あるじゃないか。子まりさは残しといてやるからさ、あと一日がんばってみなよ。
今回は子ありす一匹のペナルティで見逃してやるからさ、引き続きお前のいつも通りの生活を見せてくれ。
れいむは嘘なんかついてないよな?命を大切にするんだよなあ?」
「……………!!!ゆ゛ぅぅぅぅぅ………!!!」

わかりきっている。このれいむに逃げ場なんかない。
私の休日も残りあと一日、目一杯楽しませてもらうつもりだ。

「さて、焼き上がったかな」

金串を持ちあげ、アルミホイルを破いて子ありすを出す。
全身がすっかり蒸し上がり、涙も枯れ果ててびくびくと痙攣していた。もちろんまだ生きている。
ふうふうと息を吹きかけて冷ましてから、底部からかぶりついた。

「ゆ゛ぎぃっ!!」

びくんと震える子ありす。
わかってはいたが、マズい。もともとゆっくりなんて人間にとっては甘すぎて食用に適さないし、
蒸し焼きにしたカスタード饅頭なんて期待するようなものでもない。
だが、顔をぐしゃぐしゃにして見つめている母親の顔が極上のスパイスとなっていた。ウマい!

私はそれから、カスタードが一気に漏れださないように巧みに持ち変えながら、
小刻みに少しずつ少しずつ、生きたまま子ありすを食べていった。
蒸し焼きにすることでカスタードクリームがある程度固まっていたおかげで長持ちし、
皮膚と顔をすべて剥がれて完全なカスタード玉になってからも、
ふたまわり以上小さくなるまでびくんびくんと震え続けていたのが面白かった。

動かなくなったのを機に中枢餡ごと飲み下し、れいむに声をかける。

「丹精込めて育てたおちびちゃん、おいしかったよ!!また御馳走してね!!」
「ゆ゛んぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

怒りと絶望に歪んだ顔をぶるぶると震わせて叫ぶれいむ。
普通は逆ギレし、自分を棚に上げて「ゆっくりしねぇ!!」と跳びかかるのがゆっくりだが、
道理のわかる善良な個体を選んだおかげで、自分に何の反論もできず慈悲を乞う権利もなく、
子れいむを人質に取られた今どんな逆ギレも命取りになることを理解している。
どうにもならない状況下に置かれ、ただただ叫ぶしかないゆっくりの表情ほどこたえられないものはない。
ああ、今回の虐待を思いついてよかった!!

「さて、ペナルティはおしまい。もう戻っていいよ、今度こそいつも通りの生活を見せてくれ」
「おぎゃーじゃん!!おぎゃーじゃあああん!!!」

透明な箱の壁に顔を圧しつけて泣き叫ぶ子れいむを見ながら、れいむは歯を食いしばってうつむいた。

「おっと、でもさっき芋虫さんを食べたからな。あと一日ぐらい食べないでガマンされちゃうかもなあ」

そう言い、私は用意してあった注射器を持ち出した。

「ゆ゛………?」
「ちょっと失礼しますよっと」
「ゆ゛びぃっ!!?」

れいむの腹部に注射器を差し、薬品を注ぎ込む。

「ゆ゛っ………ゆ゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅ!!?」

即効性の薬品だった。
ゆっくり用の下剤を注射されたれいむはとたんに脂汗を流して震えだし、
たちまちのうちに水っぽいぴーぴーうんうん、すなわち下痢便を吹き出す。

「ゆ゛う゛う゛う゛う゛!!?だべっ!!だべええ!!
でいぶのあんござんででいがだいでえええぇぇ!!どまっでぇ!!うんうんどまっでよおおおおぉぉ!!!」

新鮮な餡子を持っていかれる激痛に叫びのたうちながら、れいむは景気よく茶色い下痢便を吐き散らしてくれた。

たっぷり三割の餡子を便としてひり出し、げっそりと痩せたれいむ。

「ゆ゛………あ………あ゛………あ………………」
「おーっと、すっかり痩せちゃったなあ。こりゃあ今すぐ食べないと本当に死んじゃうなあ。
でも大丈夫だよな!いつも通り、普通に食べればいいんだもんな。さあれいむ、頑張って狩りに出かけようか。
あ、明日の日没までに帰ってこなかったら、あの子食べちゃうから☆」

れいむは、私を見上げた。
その表情をビデオに撮っておかなかったことを、私はあとあとまで後悔したものだ。


――――――――


れいむにはもう何もわからなかった。

何がいけなかったのか、なんでこうなってしまったのか、どうすればよかったのか。
そんなことを考える余裕さえなく、ただ意識にあるのは嵐のように吹き荒れる空腹と、可愛いおちびちゃんだけだった。

ほとんど見えない視界を頼りに、森を彷徨する。
道端の雑草を口にしようとした途端に、『ゆっくりしていってね』の声が聞こえた。

「………ゆ゛っ…ぐじじ、で……いっで、ね」

本能で返す挨拶はひび割れている。
れいむはすぐに「食糧」を探すことをやめた。
生きていない食べ物を探し回る時間はなかった。

「………………」

木々に囲まれた空間で、れいむは動かなくなった。
目の前にあるそれをじっと見る。
それは小石だった。

れいむは舌を伸ばし、それをつついた。

「……ゆっぐじ、じで……いっでね」

挨拶は返ってこなかった。
それを喜ぶ余裕もなく、れいむはそれを舌で掴みあげ、口に入れた。
今まで口にした中で一番硬質の、拒絶に満ちた味と感触が口内に広がる。

「……むー、じゃ……む………ゅげぇぇぇ」

異物感に堪え切れず、力なく小石を吐きだす。
一旦吐きだしたそれをじっと見つめながら、れいむは一筋の涙を流すと、再びそれを口に含み、
今度は一気に飲み下した。

「んっぐっ…………ゆっげええぇぇぇ!!」

本能は強烈だった。
ゆっくりの餡子はほぼなんでも消化し、餡子に変換してしまう、他に類を見ない消化機能を有しているが、
それでも限界はある。
食糧として認識できないものを体内に感知すると、すぐに嘔吐なり排便なりで吐きだそうとする強い本能がある。

とにかくなんでもいいから腹に入れて空腹をしのごうとしたれいむだったが、
悲しいかな、ゆっくりの体はそういう面で融通が利かなかったようだ。


土くれを掘り返して食った。
それも嘔吐した。

枯れ枝を噛み砕いて飲み込もうとし、口内がずたずたになった。
喉を痛めながら呑みこんだ枝も吐いてしまった。


そして今、れいむはそれを凝視していた。

ぼろぼろと涙をこぼし、再び反芻する。
どうしてこんなことになってしまったのか。
こんなことになる前に打つ手はなかったのか。

「……ゆっぐじ、いだだぎばじゅ………」

泣きながら、れいむはついにそれに口をつけた。

自らのうんうんの味は想像以上にひどいものだった。
空腹という調味料さえ、その悪臭を遮ってはくれなかった。

何度も飲み込み、何度もえずき、肉体を叱咤しながら、れいむはそれを必死に呑みくだして体内に入れた。
口内に頑固に残るうんうんを水で洗い流すこともできず、その悪臭はずっとれいむを苛んだ。

もはや1グラムの餡子も無駄にできなかった。
古くなって排泄される餡子――吐瀉物と大小便を、排泄したはしから再び体に取り込んだ。
ゆっくりできないげろげろとうんうんを無理矢理飲み込まされた体は反乱を起こし、
なおさら頻繁に苦痛を伴う排便が行われ、れいむの体力を確実に消耗させていった。

それだけやっても、体内の餡子は一切増えない。
排出した餡子を再び取り込むことで餡子の総量はそう変動しなくなったが、
古くなって質の悪くなった餡子の割合は時を追うごとに増加し、れいむの身体機能を奪ってゆく。
一刻の猶予もならなかった。新しい餡子を補給しなければならない。


食欲と母性がれいむを突き動かしており、それ以外の理性はすべて沈黙した。
ぶるぶると震える自分のもみあげを、れいむは見つめた。
それをそういう意識で見るのは生まれて初めてのことだった。
そんな時がまさか来ようとは想像してみたことさえなかった。

ぎゅっと目をつぶり、ついにれいむは自分のもみあげにかぶりついた。
激痛が意識を染め、視界に星がちらつく。
ゆっくりにとっての髪は、人間にとってのそれとは全く異なり、一度抜ければ二度と生えてこない。
そしてもみあげ部分に限ったことだが、任意に動かせる。
ゆっくりのもみあげは、むしろ人間にとっての手足に対応すると考えていい。
つまり、もみあげを千切るということは、肉を裂き骨を砕いて腕をむしり取るのと同じことなのだ。

「ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ぎぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ!!!!」

れいむは叫び、泣きわめき、それでも何度も何度ももみあげに噛みついた。
少しずつ少しずつ食い千切っては咀嚼し、飲み下す。
味を考えている余裕はなかった。ただ、ほんの少しずつでも空腹が満たされていくのがわかり、
この世のものとは思えぬ苦痛を代償に、れいむはわずかなゆっくりを手に入れていた。


口が届く範囲の髪を食べ尽くしてしまうと、後頭部や頭頂部の髪を食べるべく、
木の幹に自分の体をごしごしと擦りつけ、髪をそぎ落としにかかった。
木の皮に皮膚が擦られてところどころに餡子が滲んだが、
それ以上に粗い木肌に擦られて髪がそげ落ちていく激痛はれいむをのたうち回らせた。
それでも空腹は容赦してくれず、次の食糧をひっきりなしに求めた。


まだか。
まだか。
まだ日は落ちないか。
約束の日没まで堪え切らなければならない。生き抜かなければならない。


道端に突き出している枝に片目を突き刺してえぐり出し、それにむしゃぶりついた。
もはや痛みとすら呼べないほどの激痛と引き換えに得られるのは、一時間も持たない、ほんのひとときの気休めだけだ。


まだ何かないか。何かないか。
上唇に噛みつき、食いちぎった。
歯で挟める範囲の皮膚は、すぐにあらかた食ってしまった。
自らの体を食い千切るたびに、激痛に流れ出す自分の涙すら、れいむは必死にぺーろぺーろと舐め取った。


唇をすべて食い、口の周りの歯茎が剥き出しになり、ぽたぽたと餡子がしたたる。
これ以上皮は食べられなかった。体内の餡子が多く漏れだしてしまう。


歯を砕いた。
道端の石に突進して、剥き出しになった歯を叩きつけた。
歯を砕く痛みはそれまでの苦痛をしのぐものだった。
一度体当たりするだけで、れいむは苦痛に叫びのたうち回った。
それでも、二本の歯にようやく罅が入っただけだ。
泣きながら、叫びながら、れいむは体当たりを繰り返した。


髪を食い尽くし片目をえぐり出し唇を飲み下し歯まで砕き呑みこんだた今、
食べられるものはもう、一つしか残されていなかった。

お飾りのリボンをはずし、れいむはぼろぼろと涙をこぼした。
どれだけ泣いても涙が枯れないのが自分でも不思議だった。

すべて食べ尽くすわけにはいかない。
お飾りをなくせば、愛しい我が子が自分を判別できなくなる。
それでも、もう他に食べられるものはない。

ようやく少しうす暗くなってきた空を見上げながら、
食糧を求めて暴れ回る腹をなだめ、かすむ視界を回復させるために、れいむはリボンにかぶりついた。
歯のなくなった口で、少しずつ溶かしていくようにリボンを食いちぎってゆく。
子供が判別するために、少しだけ、ほんの少しだけ…………

「ゆ゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーーーっ!!!」

命よりも大事なお飾りを、ただその日の食事のために自らの手で削り取ってゆく絶望感。
れいむは一際長い叫びをあげた。


――――――――


「さすがに引くわー」

夕暮れの中、庭に現れたそれを見て私は苦笑した。

全身擦り傷だらけ、片目は抉りだされて空洞となり、唇を失って歯茎が露出し、
でこぼこになった頭部にはほとんど髪がない剥げ饅頭。
その口には、真ん中の結び目の固まりだけが残ったリボンが咥えられている。

引いてはいたが、この結果に満足してもいた。
今までさまざまな虐待を実行してきたが、
生きるために自らの体を喰えるだけ喰らうまで追い詰められたのは今回が初めてだ。
ゆっくりの意思の強さも馬鹿にはできない。もちろん、あらかじめそういう個体を選んだ上でのことだったが。

改めて思う。
正しく生きようとする姿の、なんと滑稽なことか。

「………あ゛………あ…………あ゛……………あ゛ぁ……………」

消耗しきったれいむは、もはや言葉を喋る気力もないらしかった。

縁側に座る私は、れいむが足元に這い寄ってくるまで待ってやった。
ようやくたどり着いて私の顔を見上げてきたところで、私は子れいむを掴みあげて言った。

「やあ、れいむ。間にあったようでうれしいよ。よかったな!」
「ゆ゛………おぢ、び………ぢゃ………だじゅ………」
「これからこの子を殺すところだったんだ。特等席でゆっくり見ていってくれ!」

一つだけ残った右目がいっぱいに開かれた。
真っ赤に血走ったその目の瞳は瞳孔が開き、点のように小さくなっている。
初めて会ったときのゆっくりした笑顔は見る影もない。
れいむは叫びだした。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ゆ゛あ゛があ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーーっ!!!」
「あれ、どうしたんだい?私は約束通り事を進めようとしているだけだよ。
なあ、れいむ。私はこう言ったんだよ、「普段通りの生活を見せてくれ」ってね。
それなのに君は見せてくれなかった。そこまでして、普段何を食べているのか隠したかったのかい?」
「ごろっ!!ごろじゃながっだっ!!なにぼごろざながっだあああああ!!!」
「ああ、命を大切にしているのはわかったよ。で、何を食べてるんだ?
この二つの問いは同じことだぞ、れいむ。
すべての生き物は、殺さなければ生きられない。そういうふうにできているんだ。
人間も、獣も、微生物に至るまで、他の生物を消費し取り込んで生きている。
お前たちゆっくりが、なにも殺さずに生きているとすれば、それは完全な理想郷に生きているということだ。
なあ、私は本気で思っていたんだ、ゆっくりがそんな生き物だとしたら、私たちはゆっくりに学ばなければならないと。
さあ、お前は、何を食べて生きているんだ?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「目を抉り、髪を飲み下し、歯を砕き、お飾りをむしり――
まさか、普段からそんな食生活でしたなんて本気で主張するつもりじゃないよな。
それだったら、お前もおちびちゃんもとっくに死んでいるはずだもんな」
「がん……ばっだっ!!がんばっだどに!!でいぶ!!でいぶごろざだいでがんばっだどにいいいいいい!!!」
「ああ、頑張ってたな。だから?」

私は用意してあった二つの水槽を指し示した。

「君たちのために、とっておきのラストステージを用意しておいたよ、れいむ」
「ゆ゛っ…………?」

二つの水槽の中には、それぞれ土が一杯に詰まっていた。

「まずは、あんよをもらうよ」

変わり果てた母親の姿を見てぶるぶる震えている子れいむを掴みあげ、
バーベキュー用の鉄板に載せて焼く。

「ゅあ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「おぢびぢゃああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

子れいむのあんよがこんがり焼き上がったところで、母親も同じように処置する。

「おぢびぢゃん!!おぢびぢゃん!!おぢびぢゃん!!おぢびぢゃ!!おぢびぢゃおぢびぢゃっおぢびぢゃああああああ!!!」

れいむはなんとも面白い悲鳴を上げるようになっていた。
さすがに私にもわかった、このれいむはもう全てをあきらめている。
ただ、最後におちびちゃんと会えたこのひと時を、死ぬまでに目一杯味わっておこうというつもりらしい。
ひたすら我が子を見つめ、我が子を呼び、我が子のこと以外を意識から追い出そうとしているようだった。

私とて鬼ではない。最後の救いまでは取り上げるつもりはなかった。

「さあ、おちびちゃん、れいむ。これから君たちのおくちを塞いじゃうよ」

絶望の表情で私を見上げる子れいむ。この子も、小さいなりに実に深みのある表情を見せるようになった。

「お話ができるのもこれで最後だ。お母さんに、最後に何か言うことはあるかな?」
「…………………!!!」

ぼろぼろと涙としーしーをこぼし、もみあげをわさわさと震わせながらじっと私を見たあと、
次に変わり果てた母親を見やり、子れいむはぎゅっと目をつぶった。

やがて目を開き、涙をいっぱいにたたえた満面の笑みで叫んだ。

「おきゃーしゃん………ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」
「おぢびぢゃん!!おぢびぢゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!!!」


今回の虐待は素晴らしい結果に終わった。
帰りの車内で、私はにやにや笑いを止められずにいた。

来週にでも、またここに戻ってこよう。
その時に、録画モードにしてあるビデオの中身をゆっくりと楽しませてもらおう。


「命の大切さ」などと、人間にも手に余る矛盾に満ちた命題を身の程知らずにもふりかざすようになったゆっくり。
それを口にすることはどういうことか、その身の丈でも理解できるように突きつけてやった。
気分爽快。
本当に命を大切にする生活を強いた結果、実に滑稽な末路をたどることとなった。

「命が大切」などと寝ぼけたことを言えるのは、自分の手で殺す必要がなく、殺される心配もほとんどない、
地上最強の生き物だけなのだ。
都合の悪い事実には耳をふさいで聖者を気取り、眠たいお伽噺を子供たちに吹き込めるのは、
人間が地上最強の地位にあり、あらゆる生殺与奪をその手に握って、
その欺瞞に異を唱えることができる存在、天敵が存在しないから浮かれていられる、ただそれだけのことなのだ。

残念ながら、ゆっくりには人間がいる。
欺瞞もごまかしも許さず、矛盾なき解答を迫れる上位の存在がいる。
人間にはいない。
そう、ただそれだけのことなのだ。

それを見誤ったゆっくり。
問題の本質もわからずに右往左往するその滑稽さは、今も昔も、わたしの興を掻き立て続けてくれる。

私は速くも、次の虐待プランを練り始めていた。


――――――――


「…………!!…………………!!」
「………!!…………!!…………………………!!!」

れいむ親子は、ガラスの壁を隔てて見つめ合っていた。

向かい合うように設置された二つの水槽、それぞれに親と子が入れられている。
お互いの様子がじっくりと観察できるように、壁面に触れんばかりの位置に置かれた。

二匹ともほぼ同じ状態だった。
あんよは黒く焼き焦がされ、口はハンダごてで溶接され、目は瞼を切除されて閉じられず、
一切の身動きがとれないまま泣きながら黙って見つめ合うしかなかった。

カリ……

足元の感触に、二匹はびくんと身を震わせる。

水槽に詰められた土は、蟻の巣だった。
この土の下に、何百匹もの蟻が蠢いている。

『命を大切にする君たちに用意してあげた、これが最後の晴れ舞台さ。
君たちたった二つの命が、沢山の、沢山の命の糧になれるんだ。
自分たちのみじめな餡子が、輝ける無数の命の糧になる、その様子をじっくりと楽しめるように配慮しておいた。
嬉しいかい?嬉しいだろう?笑えよ。どうして笑わないんだ?
――ゆっくりしていってね!!』

足元の焦げ付いた黒い皮を、蟻たちが探っている。
ひび割れたあんよの隙間から、やがて蟻たちは侵入してくる。
普段なら歯牙にもかけず踏み潰し喰らっていた蟻たちを、
口をふさがれ身動きのとれない今はどうすることもできない。


違和感が痒みになり、痒みは痛みになり、痛みは激痛になり、激痛は狂乱となる。
根気よくかじってこじ開けた隙間から蟻たちは体内に侵入し、
少しずつ、少しずつ、れいむ達の餡子を削り取っていった。

「!!! !! !!!! !!!!!!」

体の小さい子れいむのほうが、必然的に惨状の進行は早かった。
涙を溢し、眼球をぐるぐると回し、全身から脂汗をたらし、激痛にぐーねぐーねと狂い悶えた。
蟻は内部から食い荒らしているため、外見上はとくに変化はなかったが、
それでも我が子の苦痛を思い、れいむは涙を流して凝視した。

自らの体が激痛に苛まれ始めたころには、子れいむは死に瀕していた。
体の表面を無数の蟻が這いまわり、体内にはその数十倍の蟻が蠢く。
目の隙間から、しーしー穴やあにゃるから、蟻がひっきりなしに出入りしていた。
蟻たちに押し上げられ、眼球が不規則な動きを見せる。
左目がこぼれ落ち、開いた眼窩からぞわりと無数の蟻が蠢き出た。

それでも、子れいむの死にはまだまだ時間がある。
体内のほとんどの餡子を失うか、中枢餡が完全に破壊されるか。
どちらかの条件を満たすには、小さな蟻たちの進行はあまりにも緩慢だった。


もうなにも考えられなかった。
二匹のれいむ親子は、互いに見つめ合いながら踊り続けた。
いつまでもいつまでも、その身を苛む嫌悪感と激痛に踊り続けた。

その脳裏に、やはり蟻たちの命を思う思考はなかった。




〔終〕

ゆっくりいじめSS・イラスト ※残虐描写注意!コメント(41)トラックバック(0)|

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コメント

2459:

自分より遥かに弱い存在相手に中二臭い言葉を台詞を連発して自分を誇示する
傍から見たら失笑を禁じえないな

2012/11/13 23:57 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2461:

これ人間が同じことされても同じ結果になるんじゃないか?

2012/11/14 00:32 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2464:

蟻で虐待か、すばらしいアイディアだ
だれか絵にしてくれたらいい感じにグロそうなんだけどなあ

2012/11/14 00:47 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2466:

人間にも手に余る矛盾に満ちた命題だからな

2012/11/14 01:42 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2467:

ゆっくり虐待にこんなもん求めてねーよ‥‥
ゆっくりとかいうフザけたナマモノを、いかに苦しめ、痛め付け、ムゴたらしくブチ殺すか
それをいかに愉快に表現するか
それがゆ虐の本質であり本分だ
それをそっちのけで哲学(笑)気取りとは
大方マドカマジカあたりに影響された手合いだろうが‥‥
人間だけが特別だと思うな、自分達が同じことをされても文句言うな的な話
SSスレでも立ててやれよこんなのは

まあこういうことを、いただきますやごちそうさまという言葉に込められた本当の意味を、小さいうちからキチンと教えないのがダメなんだけど
食育ってのは大事だよ

2012/11/14 01:47 | 名無しの鬼意山 #- URL [ 編集 ]
2469:

人間の傲慢全開だがすっきりしたぞ
他者を虐め殺すことに上下なんかないのに、なに偽善ぶってんだ?

2012/11/14 02:45 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2471:

深いな…

ゆ虐で命を食べる事についてここまで考えさせられるとは…

確かに意思の疎通が出来たり、なつかれたら食べれないよね

なのに自分と接点の無い物には感情移入せずに食べれる矛盾

うーん考えさせられる

てゆか、これゆ虐?

ゆ虐はついでにのような感じだねー

命を食べる事について伝わりやすく良く出来た作品でした

2012/11/14 04:18 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2473:

深そうで浅い

2012/11/14 09:02 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2474:

>>2467の餡子脳がひどい

2012/11/14 09:28 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2475:

ゆゆ!?れってるはりさんはゆっくりできないよ!

2012/11/14 10:30 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2476:

ゆっくり食べてみたい

2012/11/14 12:00 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2477:

それ以前にゆっくりって生き物なのか…?
ま、食い物ではあるけど。

2012/11/14 12:55 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2478:

>>深そうで浅い

こう感じるのは、人間さえもこの「他者の命を尊重しつつ自分の命の為に奪って食らう」という
矛盾、命題を解き明かすことができず、この問題から眼を背けているからなんだろうな


個人的には、こうやって精神を責め苛む虐待は大好きです

やはり、ただ肉体を傷つけ苦痛を与えるだけでは、物言わぬ動物を虐待するのと変わらないのであって
「ゆっくり」という、足りないながらも知能を有し、感情を持ち、
なおかつその感情を表現する言語能力を持つナマモノ相手の虐待ならば、
まず精神を痛めつけるべきだと思うんですよ
この作品、大いに楽しめました

2012/11/14 13:29 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2483:

虐待してる男が喋り方とかキモいw
あと子れいむが子まりさになったりしてたなwww

そこらへんをしっかりしてほしい

2012/11/14 19:06 | 名無し #- URL [ 編集 ]
2484:

善良なゆっくりはいない それは人間にもいえることだ

2012/11/14 19:52 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2485:

こういうことを真面目に考えるヤツに薦めたいのが銀の匙
知ったような口たたく前に読んでこい厨房

2012/11/14 20:10 | 名無し #- URL [ 編集 ]
2486:

銀の匙好き

特典付き買った!

つか、学びたいなら『命を食べること』って本読め

2012/11/14 20:27 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2494:

ゆっくりを精神的に追い詰めるお話さんはとってもゆっくりできるね!

2012/11/15 01:55 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2523:

このおっさんが親れいむの立場だったらどんな行動をして答えを出してくれることやら、興味深いねえ・・・くっくっくっ・・・

2012/11/17 01:47 | 斬死刃留 #- URL [ 編集 ]
2567:

善良と読んだ瞬間これは俺には合わないなと思った。だってゲスの傲慢な態度をことごとく砕いてやるのが面白いんだもんまぁもちろん善良も良いとは思うし愛でもありだとは思うよだけど今日はそういうきぶんじゃないんだ

2012/11/18 17:43 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2573:

いや~ゆっくりは精神的にじっくり追い詰めてナンボだね!
この精神的な攻めに動物虐待とかとは一線を画す特有の快感があるんだよね!
人の良心にすがるゆっくりの心理を利用して地獄に突き落とす…最高の作品です!

2012/11/18 20:52 | 名無し #- URL [ 編集 ]
2578:

変に哲学っぽい内容入れる必要無いと思うけどね。
ゆ虐って、良心の欠片も無いヒトモドキが馬鹿饅頭を殺すだけの作品だろ?
その道を突き進めばよい。変に虐待を正当化しようとするから見苦しくなるんだ

2012/11/18 22:10 | B #- URL [ 編集 ]
2579:

近頃はただ俺TUEEEを求めるだけのガキばっかだからな。
虐待なんてアングラの最下層であるべきなのに広まりすぎた弊害だよ

2012/11/18 23:44 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2604:

そういや最近
非ゆっくり症見ないよねw

2012/11/20 01:26 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2617:

最後の方のれいむの姿を想像したら吐き気がしてきた

2012/11/20 22:58 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2746:

>>2478
あんたとは仲良くなれそうだ

この虐待は、知能を有するゆっくりとその上位の存在である人間とだからこそ成り立つ
素晴らしい。最っ高だ!!
ゆっくりごときが命うんぬんうんうんぬかすんじゃねぇ!!!

他の動物でも同じ結果になるんだろうな
大人しくにゃあにゃあワンワンゆっくりゆっくり言ってりゃこうはならなかったのに

2012/11/30 00:17 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2748:

>大人しくにゃあにゃあワンワンゆっくりゆっくり言ってりゃこうはならなかったのに

まるで犬や猫まで虐待された感じに書いてしまった。すまん

2012/11/30 00:19 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
2868:

好き嫌いは人それぞれだからこれもありだと思う、命の重さを入れた事には結構反発があるみたいだが
ゆっくりが最初に言った事が発端なんだから、命の大事さを問いたいんじゃなくて、ゆっくりに自分が言ってる意味を
その体で教えることによって精神的虐待をするのが目的なので、この題材はありだと思う
ゲスをこんな感じで虐待する話は最高だよなぁ※個人的感想です

2012/12/07 21:01 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
3405:

さすがにこれはネチっこすぎるでぇ・・・。
ありすのアルミホイル焼きとアリを使った虐殺は面白いけど。

2012/12/30 23:49 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
4139:

極論、日常是即ち殺し合い也。

2013/02/04 05:02 | 紀貫之 #- URL [ 編集 ]
4596:

世界はこーゆーのを待ってたんだよ。
今まで見た中で2番目くらいにいい話だった。
一番は「かみさま」だな。

2013/02/23 23:03 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5462:

いまいち不評なのはゆっくりを精神的に
追い詰めるのがメインだからかね
ゆっくりが餡子脳だからか敢えて芋虫やらが
あたかも喋っているように見せかけるのは良いアイデアだと思う
善良ゆっくりを虐待するのは好みじゃないけど、
この話は好きだな

2013/03/27 16:34 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
6262:

これは傑作

全知全能の神がいて、この鬼威惨がやったようなことを人間に対してするならば、人間はゆっくりのように為す術がなくなるんだろうなあ
まあそんな神様なんていないから人間はゆっくりできているんだけど

2013/04/22 00:18 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
7941:

キャラに作者の言いたいこと言わせてるって分かると痛々しいな
素人の価値観なんざ誰も求めてない

2013/06/19 10:40 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
8240:

この場合は、生き物に殺生は必要だが不要な殺生は
避けるべきと主張するのが正解だろうな。
それでもお兄さんがお前を食いたいといったら、
その時は詰みだ。

2013/06/27 14:47 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
8244:


それ言われたら人間がタダの馬鹿にしか見えなくなってしまう。
とは言え、遊びの殺しと生きるための殺しを混同してる時点で馬鹿人間だけどね。

2013/06/27 19:03 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
9121:

>>8244
っていうかれいむ自体が「遊びで殺しちゃダメ」っていうのと「命の価値は同じだから殺すことそのものがダメ」っていうのを
混同してるからね

2013/07/20 11:33 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
10121:

食事や睡眠を邪魔するのはいい考えだな

すっきり~してるときも邪魔してもらいたいな

2013/08/14 01:19 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
19479:

糞饅頭の分際で命は大切(爆)とかぬかすからでしょ


2016/05/20 10:09 | 名無しさん #aIcUnOeo URL [ 編集 ]
19516:

2523は勘違いをしてると思う
この鬼威山は別に命を食べることを否定していない
この親ゆっくりの立場になったら食べるよ

この鬼威山は
生きていくために他人の命を奪ってないと豪語する
自分が助かりたいためにそううそぶく
そんなゆっくりどもに思い知らせるためにこの虐待?を行ったのだ
発端が単なる趣味での虐待だったとしてもね

2016/07/05 16:24 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
19517:

個人的にはかなり面白かった
と言っても銀の匙の話とかそういうのではなく
人間の受け売りみたいな言葉を錦の御旗のように振りかざすゆっくりがその発言の責任を取らされる姿が爽快

2016/07/05 16:44 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]

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