FC2ブログ
TAG index

プロフィール

kubota.K

Author:kubota.K
~サイト概要~

2chのスレやゆっくりスレ、話題の記事ややる夫AAシリーズ等、気になった記事を総合的にまとめるサイトです!

よろしくお願いします!

about

『BuZZ Plus News』
バズプラスニュース

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

やる夫でドラクエ6(完結) (37)
ゆっくりいじめSS・イラスト ※残虐描写注意! (966)
ゆっくり愛でSS・イラスト (662)
やる夫でGPM(完結) (46)
やる夫が遺跡を守るようです(完結) (57)
実装石虐待系作品 (119)
やる夫がヒットマンになるようです(完結) (15)
やる夫が3つの珠を探すようです(完結) (26)
やる夫はリィンバウムに召喚されたようです(サモンナイト) (53)
やる夫がヴァレリアを平和にするようです (7)
やる夫は人気作者になりたいようです (2)
【クマー】二人の秘密【澪】(完結) (4)
やる夫が大破壊後を生き抜くようです(メタルマックス・第一部完) (11)
やる夫達は文化祭でバンドるようです(完結) (27)
やる夫達は広島でB級グルメを食べ尽くすようです(完結) (13)
やる夫とやらない夫で月旅行に行こう(完結) (18)
やる夫とやらない夫と漫画家シリーズ(完結) (12)
やらない子の周りは中2病患者(完結) (12)
【DTB】 契約者やらない夫  ―荒野の春紫苑― 【オリジナル】 (6)
DIOえもん(完結) (6)
そっきょうたんぺんすれ(完結) (8)
風魔のやる夫 (5)
東京が死んで、やる夫が生まれた(真・女神転生Ⅲ) (14)
ファイやる夫ムブレム(再録) (16)
やる夫が囲碁の幽霊に会うようです (3)
やる夫は誰かを助けるのに理由はいらないだそうです(FF9) (17)
やる夫たちの周りには愛が満ち溢れているようです (3)
やる夫の屍を越えてゆけ(俺の屍を超えてゆけ) (6)
その他やる夫短編 (58)
スレまとめ(事件) (1)
スレまとめ(ニュース) (36)
スレまとめ(趣味) (82)
SS (21)
しぃ系AA作品(虐待・虐殺) ※残虐描写注意! (88)
南ことり (21)
のんたぬ (0)
雑多 (1983)
管理人からのお知らせ (11)
未分類 (18)
う虐 (2)








検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

2441:まりちゃとすてきなおまんじゅうさん

2013/04/09 (Tue) 22:30
「ゆわーん! おにゃかすいちゃのぜーっ!」

水槽の中、一匹の小さなまりちゃが泣き叫びながら跳ねていた。
向かう先は、自分と同じくらいの大きさのおいしそうなおまんじゅう。
あとちょっと、それこそ舌の先が触れそうなほど近さまでは近づけるというのに、そこま
で行くと身体に結び付けられた輪ゴムによって引き戻されてしまう。
輪ゴムは水槽の壁にテープで頑強に止められており、まりちゃがいくら引っ張ろうがまっ
たく外れそうにない。
これはお仕置きだった。粗相をしたまりさが、飼い主であるお兄さんに与えられた罰だっ
た。
子まりちゃは、届かないと知りつつもおまんじゅうに何度も跳ねる。
跳ねればおなかが減る。余計におまんじゅうが欲しくなる。だから諦めることが出来ない
。食欲の強いゆっくりには逃れることのできない、不毛な悪循環だった。
しかし、食べることと人間を罵倒することに限っては知恵の働く都合のいい餡子脳は、こ
の徒労を断ち切る妙案をまりちゃにもたらした。

「まりちゃにはさいきょーっ! のおぼうししゃんがあっちゃのぜ!」

舌がとどきそうなほど近くにあるのだ。おぼうしをくわえて跳ねて、おまんじゅうにひっ
かけることは十分可能だ。そうすればおまんじゅうを引き寄せることもできるはずだ。
まりちゃの餡子脳の中では既におまんじゅうは食べ終えたも同然。期待によだれがだらだ
ら垂れてきた。

「いっくのじぇええええ!」

発想は悪くなかった。しかし、考えが足りなかった。
まりちゃの失敗はふたつ。
ひとつはまりちゃの想像ほど自身の噛む力が強くなかったことと、もうひとつはよだれを
垂らし過ぎたこと。

「ゆべっ!?」

おぼうしがおまんじゅうに引っかかったのはよかったが、噛む力がそもそも弱く、おまけ
によだれで滑った。
結果、おぼうしをかぶったおまんじゅうと、おぼうしを失ったみじめなまりちゃ。そこに
はふたつの愉快なおまんじゅうができあがった。

「ゆわあああん! まりちゃのおぼうししゃんがああああ!」

空腹に、お飾りを失うという苦しみまで加わった。
ゆっくりの妙案はいつもどおり、より不幸を増やす結果になったのだ。
まりちゃはその晩、必死に跳ね続けた。そして疲れが限界に来て、気を失うように眠った

安らかさとは程遠い、苦しく辛い睡眠。
それが、まりちゃがまりちゃとしての最後の眠りとなった。



まりちゃとすてきなおまんじゅうさん



「こらっ! まりちゃ!」
「ゆぴぃ!?」

まりちゃの眠りはお兄さんの怒鳴り声によって遮られた。

「これはいったいどういうことだっ!?」
「ゆ? ゆ? ゆ?」

空腹に加え、十分な睡眠も取れなかった。もともと鈍い餡子脳は混乱に包まれた。

「だまってちゃわからないだろ!?」
「な、な、なんのことなのじぇ……?」

おそるおそる、伏せていた目を上げる。
きっといつものおにいさんの怒った顔があるはずだ。怖い目と合う瞬間に怯えながら、ま
りちゃはおにいさんを見上げた。
おにいさんの顔は起こっていなかった。戸惑った顔だった。そして、まりちゃと目があう
ことはなかった。
お兄さんはまりちゃを見ていなかった。さっきからの怒鳴り声もまりちゃに向けたもので
はなかった。
水槽の外、お兄さんの手のひらの上にはおまんじゅう。まりちゃのおぼうしをかぶったお
まんじゅうに、お兄さんは話しかけているのだ。

「ゆううううう!?」
「いや、叫びたいのはこっちだ。あれだけしっかり縛ったのに……一体全体、どうやって
抜けだしたのやら……」

まりちゃは目をパチクリさせた。お兄さんはさっきからまりちゃの方に見向きもしない。
おまんじゅうとお話している。
不可解極まりない状況。だが、まりちゃはゆっくりだ。すぐに理由がわかった。
おぼうしだ。
おぼうしを被っているから、おにいさんはおまんじゅうをまりちゃと間違えてしまったの
だ。

「ちがうのじぇえええ! それはまりちゃじゃないのじぇええ! おまんじゅうしゃんな
のじぇえええ!」
「ん? なにを言ってるんだ。おまんじゅうって……?」

ようやくおにいさんはまりちゃの方を向いてくれた。
まりちゃは嬉しくなって叫んだ。

「まりちゃはこっちなのじぇ! まりちゃはまりちゃなのじぇ! ゆっくちしちぇいっち
ぇね! ゆっくちしちぇいっちぇね!」

お飾りの喪失で迫害されるのはゆっくりの常識。その恐怖から、まりちゃは必死に自分を
アピールしだす。
それを目にしたお兄さんは、

「えらい!」

突然わけのわからないことを大声て言うものだから、まりちゃは理解できず目を白黒させた。

「あの輪ゴムから抜けだしたのに、おまんじゅうを食べずにがまんしたのか! ちゃんと
反省したんだな。お兄さん、うれしいぞ!」

そう言って、お兄さんはおまんじゅうとほっぺをすーりすりした。まりちゃは悔しくて歯
噛みした。ほっぺのすーりすりは、まりちゃが滅多にやってもらえない最上級のスキンシ
ップなのだ。生まれてからゆっくりでも数えられる回数ほどしかしてもらったことのない
、スペシャルなのだ。

「ちがうのじぇええええ! それはまりちゃじゃないのじぇえええ! まりちゃはこっち
なのじぇ! おにーしゃんとしゅーりしゅりりしちぇいいのは、まりちゃだけなのじぇえ
え!」
「はっはっはっ、そう騒ぐな。おなかが空いているのはわかっているさ。きちんと反省し
たご褒美に、今朝はスペシャルホットケーキだ!」
「!?」

スペシャルホットケーキという言葉は、まりちゃの抗議の声は強制的に止めた。その言葉
はまりちゃの口の中をよだれであふれさせ、何か言うことなどできなくさせたのだ。
スペシャルホットケーキ。ふわふわの生クリームがたっぷり乗って、いっぱいのフルーツ
で彩られた熱々の、夢のようなホットケーキ。
まりちゃはそれを、ひと舐めしかしたことがない。お兄さんはそれだけしかまりちゃに許
さず、残りは全部自分で食べてしまったのだ。
いい子にしてたら食べさせてあげる……お兄さんのその言葉を励みにまりさはがんばって
きた。
それを、おぼうしをかぶっただけのおまんじゅうが食べるなど、許せるはずがなかった。
まりちゃはちからいっぱい叫んだ。

「ゆばばあっ!」

叫ぼうとしたが、口の中にたまりにたまったよだれを吐き出すだけに終わった。

「はしゃぐなはしゃぐな。じゃあ、朝ごはんにしよう!」

笑いながら、お兄さんは行ってしまった。
部屋の中、ぽつんとひとつ残されたまりちゃ。
惨めだった。悲しかった。
おかざりを失うことは、ゆっくりにとって死ぬことに等しい。ゆっくりの常識が、過酷な
現実としてまりちゃにのしかかった。

スペシャルホットケーキを想像してよだれを垂らし、おまんじゅうを羨んで歯ぎしりをし
、空腹に苦しみ……。
無限にも思える苦しみの時間の果て、ようやくお兄さんはやってきた。
滅多に見せないニコニコとした笑顔。その手のひらの上には、まりちゃの大事な大事なお
ぼうしさんをかぶったおまんじゅう。

「いやあ、まりちゃ! いい食べっぷりだったなあ!」
「!」

まりちゃは睨んだ。怒りのあまり言葉すら出ず、腹の底からこみ上げる熱い想いを視線に
のせて、睨みに睨んだ。
だが、

「ところで、あのまんじゅう、どうしようか。やっぱ捨てるか?」

怒りは霧散した。
お兄さんは、まりちゃの方を見て「捨てるか?」と言ったのだ。
まりちゃが。おまんじゅうとして、捨てられる。
そのゾッとする想像に、まりちゃは耐えられなかった。

「まりちゃはおまんじゅうしゃんじゃないのじぇ! まりちゃはまりちゃなのじぇ!」
「はっはっはっ、まりちゃのことを捨てるなんて言ってないよ。捨てるのはそのお仕置き
用に使った、キッタナイまんじゅうのことさ」
「まりちゃはまりちゃなのじぇええええ!」
「わかってるわかってる」

わかってない。
だが、お兄さんがわかってくれない理由も、ゆっくりであるまりさには理解できてしまう

おかざりを失ったゆっくりは迫害される。どんなに怒っても、謝っても、あるいは泣き叫
んだとしても。それらがきちんと理解してもらえることなどない。おかざりを失ったゆっ
くりに、発言権など認められないのだ。
だからまりちゃがどんなに叫んでも、お兄さんはきっとわかってくれない。お飾りを失っ
たゆっくりがそうされるように、まりちゃの叫びは都合よく解釈されてしまうのだ。

「なに? あのおまんじゅうは捨てないで欲しいっていうのか? そんなこといってあと
で食べるつもりなんだろ?」
「ちがうのじぇ! まりちゃなのじぇ! そっちはちがうのじぇええ!」
「なるほど。おにいさんとの約束を守った絆としてとっておきたいのか。そういうことな
ら別にかまわないぞ。そんなこと言って、喰ったら台無しだぞ。ははっ」
「そんなこといっちぇないのじぇえええ!」

まりちゃの心配どおり、お兄さんはわかってくれない。ただただ、おぼうしをかぶったお
まんじゅうに優しく語りかける。まりちゃにとって、それはとてつもなく悲しいことだっ
た。おにいさんは水槽の中に、そっとおまんじゅうを置いた。

「そうそう、今日は遅くなるんだ。ごはんを先に出しておくな」

そう言いいながら、お兄さんは餌皿にゆっくりフードを入れ、水皿に水を注いだ。それら
を水槽の中、まりちゃとおまんじゅうの間に置いた。

「時間を置いてから食べるんだぞ? そうしないと、あとでお腹が空くからな……って、
さっきあんだけ食べたんだから大丈夫か。じゃ、お兄さん急ぐから、おとなしく留守番し
てるんだぞ」

そして、おにいさんは足早に去ってしまった。
残されたのはまりちゃとおまんじゅう。その間には、餌皿と水皿。
おまんじゅうのある場所は、相変わらず縛られたままのまりちゃでは届かない距離。しか
し、他の2つは違った。こはんと水は、まりちゃの行ける場所にある。

「がーちゅがちゅ! むーちゃむちゃ!」

怒りよりも食欲が勝った。まりちゃは瞬く間にゆっくりフードをむさぼり食い、水を存分
に飲んだ。

「げふー、ちあわちぇ~♪」

空腹が満たされ、ゆっくりした気分。視界の中に、それを害するものがあった。
おぼうしをかぶったおまんじゅうだ。
おまんじゅう。お兄さんにとってはまりちゃ。
まりちゃはなんだか、ゆっくりフードを食べたことが後ろめたく思えた。まりちゃのため
のごはんをまりちゃが食べた。何も間違ったことをしていないのに、なにか悪いことをし
たように思えてしまったのだ。

「まりちゃのだよ! まりちゃのごはんしゃんだよ! まりちゃがたべるのがあちゃりま
えだよ!」

まりちゃの抗議に、当然ながらただのおまんじゅうが反応を返すはずはない。
わかっていても、まりちゃには気に入らなかった。
まりちゃはおまんじゅうの方までギリギリまで近づいて、

「うんうんしゅるよ! うーん、うーん、しゅっきりー!」

おもいっきりうんうんをした。うんうんをするとすっきりーするものだが、これは今まで
にない爽快感だった。

「おまんじゅうしゃんなんて、うんうんがおにあいだよ!」

まりさは少しだけ満足して眠りについた。いい夢が見れそうだった。







「こら! まりちゃ!」

またしても、眠りはお兄さんの怒鳴り声によって破られた。

「こんな場所にうんうんをして、どういうつもりだ!?」
「ゆぴぃ!?」

聞き慣れたお小言に、まりさは震え上がった。
だが、すぐに落ち着くことが出来た。お兄さんの怒りの矛先は、相変わらずおぼうしをか
ぶったおまんじゅうなのだ。

「朝は反省したと思ったのに……! 裏切りやがって! なんとか言ったらどうだ!?」
「まりちゃはしらないのじぇ~♪」

自分に向かってないならば、お兄さんの声も怖くはない。ゆっくりは元来、安全圏から他
ゆっくりの不幸を見て心の底から喜べるナマモノだ。
まりちゃは実にゆっくりした気分で、すぐそばでしかられるおまんじゅうを眺めた。

「ようし、お前がそういう態度をとるんだったらこっちにも考えがある」

そう言って、お兄さんは取り出したものを見た時。まりちゃのゆっくりした気分は吹き飛
んだ。
それは、アルコールランプだった。

「謝るんなら今のうちだぞ……」

お兄さんは恐ろしい微笑みを浮かべ、アルコールランプに火をともす。。
アルコールランプでのお仕置きは、まりちゃにも経験がある。もっともそれは、ちょっと
おいたをした時に軽くあぶられただけだ。傷跡ものこらない、お試し程度。だが、心には
深い傷が残った。まりちゃはあの熱さを思い出し、震え上がってしーしーをもらした。

「強情なやつだ。だが、いつまでそうしていられるかな……?」

おにいさんはおぼうしを被ったおまんじゅうを持ち上げると、慣れた手つきでアルコール
ランプの火にかざした。
饅頭の皮の焼ける芳ばしい匂いが辺りを漂った。
まりちゃはガタガタと震えた。
匂いが記憶を彩った。そして、おまんじゅうの被るおぼうしが感情移入を促した。
まりちゃは自分が焼かれる思いだった。

「どうだ? どうだ? んん? 声も出ないか?」

まりちゃはぎゅっと目をつぶった。声も出さなかった。迂闊に声を上げれば、真相に気づ
いたお兄さんがまりちゃのことを焼いてしまうかもしれない……そう思うだけで歯の根が
震え、息をするのすら苦しかった。
しかし、目を閉じても匂いは感じる。芳ばしいいいにおいは、やがて焦げ臭くなってきた


「……大したやつだ。最後まで悲鳴を我慢しやがった」

お兄さんの声と、近くなった匂い。
まりちゃがおそるおそる目を開ける。飛び込んできた光景に、まりちゃは息を呑んだ。
水槽の中にはおまんじゅうがあった。
すてきなまりちゃのおぼうし。それを被るおまんじゅうは、半分が炭化するほどに焼け焦
げていた。

「その根性に免じて今回だけは勘弁してやる。しっかり反省しとけよ」

そう言って、お兄さんは部屋を去った。ただ、まりちゃとおまんじゅうさんだけが残った

まりちゃはじっとおまんじゅうを見た。
あれほど憎たらしくてたまらなかったおまんじゅう。その痛々しく焼け焦げた姿は、かつ
ての憎しみを失わせた。

「おまんじゅうしゃん、あちゅいあちゅいだっちゃにぇ……」

まりちゃは、ずりずりとおまんじゅうに這っていった。

「まりちゃがわりゅいこだっちゃしぇいで、あちゅいあちゅいだっちゃにぇ……」

ゆっくりは、おかざりで個体識別する。
まりちゃには、おまんじゅうが自分に見える。焼け焦げた姿は、自分のことのように感じ
る。
自分の身代わりになった自分。その矛盾を、しかし餡子脳は受け入れる。

「ごめんにぇ、ごめんにぇ……」

純粋で幼いまりちゃの餡子脳は、おぼうしをかぶっただけのおまんじゅうに感情移入をさ
せ、まりちゃに同情の念を生まれさせた。
ゴムがまりちゃの身体を引き戻そうとする。しかし、まりちゃは止まらない。止まりたく
ない。
あんよはそれ以上先には行けない。だから、身体を伸ばす。限界を超えたのーびのびで、
おまんじゅうに近づこうとする。
身体が千切れそうだ。痛みが全身を走る。でもまりちゃは気にしなかった。
焼かれる痛みに比べれば、こんなことはなんでもないはずだった。
そんなまりちゃの思いが不可能を可能にした。
跳ねてもギリギリ届かなかった距離。のーびのびによって、ギリギリ舌先だけ届いたのだ

「ぺーりょぺりょ、ぺーりょぺりょ……!」

まりちゃはぺーろぺろをした。ゆっくりの癒しの行為。炭化するまで破壊された饅頭皮に
は無意味だ。
それでもまりちゃは一心に続けた。
そうしなければ、自分が救われないと思った。

「ぺーりょぺりょ……ぺーりょぺりょ……」

まりちゃは、疲れて眠ってしまうで、ぺーろぺろを続けた。






朝日に目が覚めた。
目を開け、身体を起こそうしとした瞬間、全身に痛みが走った。限界を超えたのーびのび
をしたまま眠ったために、まりちゃの身体は歪に伸びていた。
しかし、その痛みも異常も吹き飛ばす奇跡が目の前にあった。

「ゆわああああ……おまんじゅうしゃん、ゆっくちしちぇるよおおおおお!」

おぼうしをかぶったおまんじゅうさん。その饅頭皮に、焼けた跡などひとつもない。まる
で新しいおまんじゅうに入れ替わったかのようにもちもちふっくらとしていた。
まりちゃはそれを不思議には思わなかった。
心をこめたぺーろぺろはゆっくりを癒す。それはゆっくりにとっての常識なのだ。

「すまんまりちゃ、昨日はちょっとやりすぎた!」

まるでまりちゃが起きるのに合わせたかのようにおにいさんが現れた。
お兄さんはいたわるように優しくおまんじゅうをそっと持ち上げる。

「治療もしてやるし、おいしいごはんもやるから元気だせよ。って、あれ? お前なんか
元気そうじゃないか? まるで新しいまんじゅうに取り替えたみたいだ! ふふっ!」
「ゆふふ……」

お兄さんが笑ったのに釣られて、まりちゃも笑った。
そして、お兄さんはおまんじゅうを連れて部屋を去った。今度は、おまんじゅうを羨んだ
りしなかった。

「おまんじゅうのまりちゃ、ゆっくちしちぇいっちぇにぇ……」

おぼうしを被ったおまんじゅう。まりちゃにとってもはやそれは、自分と同じなのだった







それから、おまんじゅうとまりちゃの奇妙な生活が始まった。
いつもお兄さんは朝になると、おまんじゅうのまりちゃを連れて行く。帰ってくるときは
ニコニコしているから、きっと楽しく遊んでいるのだろう。
まりちゃはお兄さんを怒らせてしまうことが多かった。おまんじゅうさんはまりちゃより
お行儀がいいようだ。まりちゃはそれが誇らしく、嬉しかった。
お兄さんはいつも忙しそうで、ごはんを置いてってくれた。まりちゃはそれを食べて暮ら
した。いつの間にかうんうん用のお皿はゴムで縛られたまりちゃの届く場所に置かれるよ
うになったので、まりちゃが粗相をする心配もなくなった。
まりちゃはのーびのびがずいぶん上手くなった。最近ではおまんじゅうさんとほっぺです
ーりすりすることもできるようになった。
その気になれば、おぼうしを取り返すことができるかもしれない。でも、そうする気には
なれなかった。
だっておまんじゅうのまりちゃを連れてくるお兄さんは、いつもニコニコしている。ゆっ
くりしている。それはまりちゃにもゆっくりできることだった。
満ち足りていた。しあわせだった。ゆっくりしていた。
それがずっと続くと、まりちゃは無邪気に信じていた。







ある日の事だった。
おまんじゅうのまりちゃを連れたお兄さんは、いつもの笑顔ではなかった。
その顔には、喜びはなく、怒りもない。ただひたすらの無感情で、ひどくゆっくりしてい
なかった。
その雰囲気に呑まれ、声を出すことはおろか身動きすら取れなかった。
お兄さんはおまんじゅうのまりちゃを水槽の中、まりちゃのすぐ隣に静かに置いた。
そして、

「喰え」

一言だけ言った。

「ゆ……?」
「聞こえなかったか? 喰え、といったんだ。あんなひどいことをしたお前は、俺との絆
を壊したんだ。だから、お前も俺との絆の証を壊せ。喰え。喰えば、それでチャラにして
やる。その饅頭を、全部喰いつくせ」


一方的に言って、お兄さんは去ってしまった。
突然の出来事に、餡子脳はぐるぐるとめぐった。
一生懸命考え、必死に思い、お兄さんの言葉を必死に反芻し、そしてようやく事情の想像
がついた。
おまんじゅうのまりちゃは、どうやらひどい失敗をしたらしい。それでお兄さんはすごく
怒ったのだ。
それで、食べろと言ったのだ。
お兄さんとまりちゃの絆の証として残された、おまんじゅう。すなわちまりちゃを。
実のところただ元通りになるというだけだ。おまんじゅうはまりちゃのすぐ隣に置かれた。
縛られていても食べることはできる。そしておぼうしをかぶれば解決だ。

それなのに、まりちゃは混乱した。
おまんじゅうはまりちゃなのだ。そういうふうに考えるようになっていたからだ。

まりちゃがおまんじゅうのまりちゃを食べるのはなんだかおかしいように思えるのだ。
お兄さんはおまんじゅうのまりちゃにまりちゃを食べるように言った。
だから、まりちゃが食べられるべきに思える。でも、まりちゃは食べられたくない。そも
そもまりちゃはゆっくりで、おまんじゅうではない。
おまんじゅうなのは、おまんじゅうのまりちゃなのだ。
でもおにいいさんはおまんじゅうのまりちゃにまりちゃを食べるように言ったのだから、
それでは怒ってしまうかもしれない。それに、おまんじゅうのまりちゃの方が、おにいさ
んをゆっくりさせてあげられる。
まりちゃはおまんじゅうのまりちゃが大好きだ。
でもおまんじゅうのまりちゃに食べられるのは嫌だ。

まりちゃが食べる。
おまんじゅうのまりちゃが食べる。
まりちゃが食べられる。
おまんじゅうのまりちゃが食べられる。
まりちゃ。おまんじゅうのまりちゃ。まりちゃのおまんじゅう。
おまんじゅう、まりちゃ。まりちゃ、おまんじゅう。
食べる。まりちゃ。おまんじゅう。むーしゃむしゃ。
ぐるぐるめぐる餡子脳は、やがてゆっくりと決断した。

「わかっちゃよ! まりちゃはおまんじゅうしゃんをゆっくちむーしゃむーしゃしゅりゅ
よ!」

そして、まりちゃは「おまんじゅう」にかぶりついた。







もちろん、冗談のつもりだった。
おぼうしをかぶった饅頭をゆっくりと見間違える人間など存在するはずもない。
虐待用に育てていたまりちゃ。ちょっとお仕置きしたら、自分のおぼうしを饅頭に奪われ
るなんて面白い事態になってたから、からかってやろうと思っただけだった。
これが案外面白かった。
予想以上にまりちゃがハマったので、悪乗りして饅頭をアルコールランプで焼くなんて真
似までした。冷静に考えてみるとバカみたいだ。だが、更に冷静になって考えれば普段の
ゆっくり虐待とやってることは実は変わらなかったりするわけだが。
それはともかく、まりちゃの反応も愉快だった。なにをトチ狂ったか饅頭相手に「ぺーろ
ぺろ」とかしだすから、眠っている間に饅頭を交換したら自分が治したものと勘違いしや
がった。あの時は爆笑をこらえるのが大変だった。
そんな感じで楽しんだが、だんだん演技するのも面倒くさくなったので普通の虐待に戻す
ことにした。
最後に饅頭を食わせ、それから普通にぬるいじめ。事あるごとに「前のまりちゃは良かっ
た」とでも言って精神的にじわじわ追い詰めて楽しむ予定だった。

「でも、これはさすがに予想外だわ……」

目の前で蠢くそれに、俺は呆然とそんな感想を漏らすしかなかった。
確かにこうなる要因はあった。
饅頭に近づくためのーびのびの繰り返したまりちゃの体型が棒状に変化していたこと。
まりちゃが饅頭に対して過剰に感情移入していたらしいこと。
そして俺の、食えと言った「対象」。
この結果は、それらの必然と言える。でも、それは結果を見たから言えることだ。
こんなことになるなんて、誰が想像できるものか。

「むーちゃむーちゃ……」

まりちゃは食べ続けていた。
自分のおしりにかぶりつき、ひたすらに自分自身を食べ続けていた。さながらその様は、
神話のウロボロスのようだ。
理論上は可能なことだ。
普通のゆっくりには難しいが、まりちゃは身体が棒状に変化していたから自分自身に噛み
付くことはできる。
自分を喰えば、それだけ身体が作られる。喰えば苦痛で甘くなるから、ゆっくりにとって
栄養価が高まり、身体の作られる速度も上がる。
食う速度と身体を作る速度が釣り合えば、こうなる。
でも、それはあくまで理論上の話だ。現実問題、身体を食い続ける苦痛にゆっくりが耐え
るなんてありうるわけがない。
きっかけやそこに至った理由については分かる。だが、それがどうして維持できているの
かとなると、俺にもわからない。

「まあ、今までの経緯も動画で撮ってあるし、ネットにうpれば誰かが適当な理由を説明
してくれるか」

そして俺は動画の編集作業に入るのだった。







「むーちゃむーちゃ……!」

まりちゃは食べる。
食べるとゆっくりできる。

「むーちゃむーちゃ……!」

まりちゃは食べる。
食べると痛い。痛いとゆっくりできない。ゆっくりするために、食べ続ける。

「むーちゃむーちゃ……!」

全部食べないとお兄さんは許してくれない。
許してもらえないとゆっくりできない。だから食べ続ける。

「むーちゃむーちゃ……!」

まりちゃのおまんじゅう。
おまんじゅうのまりちゃ。
まりちゃはもはや、自分が何を食べているのかも分からない。
でも、食べる。お兄さんとゆっくりするために、食べる。

永遠に訪れることのないそれを夢見ながら、まりちゃはすてきなおまんじゅうさんを、無
限の苦痛の中、永久に、ただひたすらに食べ続ける。





ゆっくりいじめSS・イラスト ※残虐描写注意!コメント(13)トラックバック(0)|

≪前の記事 タンジェントの加法定理
≫次の記事 陶器小皿

コメント

5890:

ええまりさだ アホでまぬけだから虐待もいいし、善良だから愛でてもいいけど

2013/04/09 23:23 | 超絶善良しか愛でない者 #- URL [ 編集 ]
5891:

意外な結末だった
ちょっといい話になりそうな所でやっぱり虐待。でもちょっと奇妙なオチになったな

2013/04/09 23:35 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5894:

不思議な気分になる

2013/04/10 00:12 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5897:

ゆっくりの頭の中はどうなってるんだろうな
自分のお飾り着けた饅頭が自分に見えるとか理解できない
したくないけど

2013/04/10 02:00 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5898:

ウロボロスかwwwと思ったらウロボロスだった
スンゲー面白いんだけどconjoh氏の画で想像したら気持ち悪過ぎて胸焼けした

無限むしゃむしゃってあったよな
ゆっくりの喉から後頭部にかけて貫通するパイプを付けて、そこを通る輪っかを延々むーしゃむーしゃする様を眺めるとかいうゆ虐グッズ
なにが面白いんだかさっぱりわからんあれ
これこそ本物の無限むしゃむしゃだな

というかこれ永久機関じゃね?
と思ってググってきたがエネルギーを外部に出力できないものは永久機関の定義から外れるらしい
古い意味では永久機関と定義することもでき得るようだが
けどこれを巧く応用できれば永久機関を実現できるかも知れん
さすが不条理饅頭・・・
底が知れねえ・・・

2013/04/10 02:05 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5899:

戯れに親に見捨てられた子供だな

心が壊れてる

なんとも言えない読後感

2013/04/10 03:26 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5908:

>>5898
まりちゃ(というかゆっくり)は恒温動物らしいから
周りに熱を捨ててるので、永久機関としてもいいかも。

2013/04/10 13:38 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5909:

棒状に伸びたのを想像したらワロタwww

2013/04/10 15:03 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5933:

え、なにこれは(素)

2013/04/10 23:53 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5943:

食べるスピードと再生するスピードが等しくなるというのは
相当に稀なケースだろうねぇ。
この先はだんだん体が細くなっていくのか体が短くなって食いつけなくなるのか。
まりちゃの精神的な壊れっぷりと重なって、なんとも奇妙な物語っぽくなった。
それにしても、「おまんじゅうのまりちゃ」というフレーズから
別SSの「おもちゃのまりちゃ」を思い出した。
あれ好きなんだよね。

2013/04/11 02:36 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
5962:

繰り返せば繰り返すほど甘さ=エネルギーが増すから永久機関どころか理論上は宇宙を飲み込む可能性だってあるぞ

2013/04/12 13:27 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
6156:

おもいこみの力って、すげー!

2013/04/18 20:49 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
6949:

ひねりすぎた

2013/05/14 20:56 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]

コメントの投稿

名前
題名
メールアドレス
URL
コメント

パスワード
Secret
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

ブログ TOP