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268:唯「桜高を卒業して、もう60年か……」

2009/08/23 (Sun) 04:24
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/03(月) 23:44:18.84 ID:YivQgic60
唯「みんなどうしてるかのう……」

そう言って唯は仏壇の遺影に手を合わせた。
そこに写っていたのは1か月前に亡くなった唯の夫だった。

唯「独りになると急に寂しくなりましたよ、爺さん」





3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/03(月) 23:46:18.33 ID:T8oerrKP0
言わせて貰おう誰得と


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/03(月) 23:48:46.00 ID:YivQgic60
唯「会いたいのう、澪ちゃん、律ちゃん、ムギちゃん、あずにゃん……」

唯は押入れを開けた。
確かここに卒業アルバムがしまってあったはずだ。

思い出の品をどかし、ガラクタをかきわけ、ついに押入れの奥から卒業アルバムを発掘した。

唯「ふぅ、これを見るのも何十年ぶりかのう」




11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/03(月) 23:53:13.17 ID:YivQgic60
ぺらり、とページをめくった。
60年前のアルバムにもかかわらず、特に劣化や損傷はなかった。
しまいっぱなしだったせいかもしれないが。

最初はクラスごとの集合写真があった。

3年1組、唯のクラスだ。

唯「懐かしいのう」

同級生のことなどすっかり忘れていると思ったが、顔を見ていると自然に名前が浮かんできた。

唯「これが佐山さん、こっちが新藤さんだっけ……」

そして、その横に写っていたのが、

唯「りっちゃん」




13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/03(月) 23:54:07.97 ID:x71Q7jiK0
「君を見てるといつもハートドキドキ・・・うっ!」




15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/03(月) 23:55:48.19 ID:bCpgQYRX0
>>13
動悸wwwwwwwwww




18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/03(月) 23:58:21.43 ID:YivQgic60
田井中律……。
律は卒業後は東京の大学に進学した。
その後は成人式で帰省してきたときに会ったくらいで、唯とはまともに連絡を取り合っていなかった。
たまにメールをしたり、年賀状を送ったりするくらいの関係だった。
もっとも、澪は律と密に連絡を取り合っていたようだが。

律から最後に年賀状が届いたのは、52年前のことだ。
ちょうど唯が結婚した歳のことだった。
それから律の消息は分からない。

唯「りっちゃん、元気かのう」

唯はページをめくった。




24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:10:13.65 ID:dbdfyurv0
次のページには秋山澪と琴吹紬、そして真鍋和が映っていた。

唯「澪ちゃん、ムギちゃん、和ちゃん」

澪と和は卒業後、地元の有名私立大学に進学していた。
暇な時、唯は2人とよく遊んでいた。

唯が3回生の時、彼氏ができたということを2人に報告した。
澪は「おお、そうか。おめでとう」と祝ってくれたが、和の方は「ええっ、あんたが彼氏!?」と盛大に驚いていた。

唯『そ、そうだよ……どうしたの、和ちゃん』
和『え、いや、まさか唯が彼氏なんて……』
澪『はは、ちょっとイメージとは違うかもな』
唯『ひどーい、澪ちゃん』

そのあと、落ち着きを取り戻した和は「ま、おめでと」と言ってくれた。
唯がその彼氏と結婚することになった時も、和は色々と手伝ってくれた。

和『ふふ、唯もいつのまにか大人になったのね』
唯『前からずっと大人だよ~』

和は某有名企業に就職し、生涯独身で過ごした。
そして10年前に癌で亡くなった。




28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:18:01.23 ID:dbdfyurv0
澪は大学に行きながら本格的に音楽の勉強を始め、卒業後に歌手としてプロデビューを果たした。

卒業から3年後、プロとしての活動が軌道に乗ってきたころ、澪は東京へと引っ越した。

唯『りっちゃんに続いて澪ちゃんまで東京デビューかー』
和『寂しくなるわね』
澪『はは、まあテレビとかラジオとかで見かけたらヨロシクな。唯、旦那さんと仲良くやれよ。和、仕事頑張れよ』

そう言い残して澪は東京へと旅立った。

澪はあまりテレビに出るタイプではなかったが、それでも割と売れているようだった。
唯はたまにラジオや雑誌で澪の元気な姿を確認した。

澪は45歳になったころ歌手を引退した。
その後は作詞や作曲などの活動をしているとのことだった。

唯「澪ちゃん、今何してるのかのう」




33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:22:49.88 ID:dbdfyurv0
紬は某地方都市の女子大に進学。
卒業後は京都に戻り、良家のおぼっちゃまと結婚して3人の子供をもうけた。

唯は母親仲間として、紬とは頻繁に連絡を取り合っていた。

しかし13年前に夫を亡くしてしまってから紬は塞ぎこんでしまい、連絡をとろうとしても相手にしてくれなくなった。
とうとう唯の夫の葬式にも来なかった。

でも、住所が変わっていなければ、紬はまだあの家に住んでいるはずだ。
唯は紬に会いに行くことにした。




36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:27:59.00 ID:dbdfyurv0
唯「よっこいしょ」

唯はアルバムをカバンに入れた。
他にも見たいページは沢山あったが、それは軽音部のメンバーで揃って見ることにしよう、と思ったのだ。

唯は着替えて、カバンと財布と携帯電話を持ち、アパートの部屋から出た。
もともとは一戸建てに住んでいたのだが、2人の子供が自立した後にその家を売り払い、このアパートに引っ越したのだった。

唯は携帯を取り出し、紬の家に電話をかけてみたが、やはり繋がることはなかった。

唯「引っ越してしまったのかのぅ」

唯はとりあえず、紬の家に行くことにした。




38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:34:34.21 ID:dbdfyurv0
歩くのが少し不自由になっていた唯は、杖をつきながらゆっくりと歩きだした。

唯「ええと、バスに乗るんじゃったな……」

時は西暦2070年、過去の少子化対策も少なからず効果はあげていたが、社会の高齢化はスピードを緩めることなく進行していた。
そのため、バスなどの交通機関も唯のような老人にも利用しやすいよう改善が施されていた。

唯「ふう、最近のバスは乗りやすくていいのう」

唯は座席に腰掛け、目的のバス停に着くのを待った。




40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:38:26.75 ID:dbdfyurv0
4つほどバス停を過ぎて目的地に着いた。
唯は回数券を支払って、バスを降りた。
老人用パスなどとうの昔に廃止となっていた。

大通りから細い道に入り、少し歩いて右に曲がる。
そこに紬の家はあった。

あるはずだった。

唯「あれ……?」

そこはサラ地になっており、「管理:京都市」の看板がかかっていた。

唯「紬……ちゃん」




41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:42:36.44 ID:dbdfyurv0
そこに一人の老人が通りかかった。

唯「あのう、ここに家ありませんでしたっけ」

老人「ああ、なんでも奥さんが亡くなられたとかで……」

唯「え……」

紬はすでに死んでいた。

唯「な、なぜ……そんなこと、聞いてません」

老人「家族だけで葬式をやってたみたいですよ…」

唯「……っ」

老人は去った。
後に残ったのは、だだっ広いサラ地と腰の曲がった白髪頭のしわくちゃ婆さん。




48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:48:30.75 ID:dbdfyurv0
意気消沈し、家に帰ろうとした唯に、何者かが声をかけた。

「唯……か?」

唯「え……」

それは澪だった。

唯「み、澪ちゃん……」

黒髪ロングが似合う背の高い美少女だった澪は、唯と同じく白髪まみれでしわくちゃになり、さらに車いすに乗っていた。
それでも、顔つきにはあの日の面影が残っていた。

澪「久しぶりだな」




54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:55:33.54 ID:dbdfyurv0
澪の声はしわがれていた。
かつての美しい声は失われてしまったようだ。

唯「澪ちゃん、どうしたの……?」

澪「ああ、脚か?ちょっと病気でな……」

唯「いやそれもあるけど、なんで京都に……」

澪「うん、息子夫婦がな、京都旅行をプレゼントしてくれたんだ。息子夫婦と孫はホテルにいるよ、私一人で抜け出してきたんだ」

唯「澪ちゃん、結婚してたの?」

澪「ああ、40の頃だったかな……すまんな、ちゃんと連絡すればよかったな」

唯の目の前にいる澪は確かに澪だった。
だが、病気やらなんやらで弱り切ったその体には、かつてベースを弾きながら力いっぱい歌っていた過去を重ねることは唯には難しかった。




55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 01:03:28.31 ID:HQcA0TPiO
しかしいまだに縞ぱんを穿いていた!




70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 01:24:14.19 ID:dbdfyurv0
唯「……ムギちゃん、亡くなったんだって」

澪「そっか」

小さくつぶやき、澪はサラ地に目をやった。

澪「1回でいいから、5人で揃いたかったな」

唯「……」

澪「ムギも、梓も、もういないのか」

梓は卒業後に音楽学校に行った。
そしてそこを出たのち、ギタリストとしてプロデビューした。
梓はその実力でのし上がっていき、世界を股にかける活躍をしていた。

唯たちと梓はほとんど連絡を取り合うことはなかった。
いや、取れなかった。
そのまま時は過ぎていった。

そして去年、インターネットのニュースで梓の訃報が報じられた。




76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 01:31:26.67 ID:dbdfyurv0
晩年の梓はヨーロッパで音楽のプロデューサーをやっていた。
梓がデビューさせた歌手やバンドは例外なくヒットしていた。

唯「あずにゃん、か」

澪「すごいな、あいつは」

唯「うん」

放課後ティータイムの中でもっとも成功したのが梓だった。

唯「ねぇ」

澪「ん?」

唯は聞いてはいけないような気がしたが、それでも聞かずにはいられなかった。

唯「りっちゃんは、どうしてる?」




80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 01:37:09.67 ID:dbdfyurv0
澪「ああ、入院してるよ……」

唯「入院……大丈夫なの?」

澪「いや……危ないみたいだ……」

唯「………」

唯はしばらく思案していたが、

唯「澪ちゃん」

澪「ん?」

唯「東京に行って、りっちゃんに会いたい…」

澪「そっか……じゃあ、一緒に行くか」

唯「え、でも澪ちゃんの家族に迷惑じゃ……」

澪「大丈夫だよ……」




83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 01:41:46.78 ID:dbdfyurv0
翌日、唯と澪は東京に降り立った。

澪息子「それでは母さん、平沢さん、僕らはこれで」

澪息子嫁「お体に気を付けてくださいね、お義母さん」

澪孫「ばいばいおばーちゃーん」

澪「うん、ありがとう。楽しかったよ」

唯「澪ちゃん、一人暮らしなの?」

澪「ああ、ヘルパーさんもいるから何とかなってるよ」

唯「そっか」

澪「じゃあ、行こうか、律のとこに」




87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 01:50:30.62 ID:dbdfyurv0
病院。
最近新しく出来たようで、施設は真新しい感じだった。
看護師の中には黒人やアジア系の人間が目立つ。
人手不足のために数十年前から積極的に外国人を採用しており、今となっては見慣れた光景だった。

澪「律が入院してるのは5階なんだ」

澪は車いすを操作し、唯はつえをつきながら、広いエレベーターに乗り込んだ。

唯「ねえ、りっちゃんの病気って何なの?」

澪「内臓の病気だったかな。詳しい病名は忘れちゃった」

唯「そっか」

癌ではないならば、とりあえず一安心だ。




90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:00:20.77 ID:dbdfyurv0
やがて5階についた。
律の病室は廊下を進んですぐのところにあった。

澪「ここだ」

車いすの澪が見上げた先には、確かに「田井中律」という名札がかかっていた。

唯「りっちゃんは、ずっと独身のままだったんだね」

澪「ああ。でもそれ、本人に言うなよ~?なんか独身なのを気にしてるみたいだから」

唯「あはは」

こんなふうに自然に笑えたのは何年振りだろう。
澪と話していると、60年前に戻ったような気分になった。

唯は病室のドアをノックした。

「はーい」

中から声が聞こえたので、唯はドアを開けた。




92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:02:55.11 ID:EOGKEumJ0
さわちゃんも相変わらず独身なんだろうな




95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:04:12.64 ID:cLeGYhbXO
>>92
何歳になるか知らんが亡くなってる希ガス




98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:07:03.85 ID:dbdfyurv0
部屋に入ると、点滴や小型の医療機器にチューブで繋がれた律がベッドに横たわっていた。

これまた昔の面影を全く感じさせないような、しわだらけ白髪だらけの完全なおばあちゃんへと変貌していた。

律「あ…澪……と……どなた…?」

唯にも律が誰だか分からなかったのだから、その逆も当然だろう。

澪「ああ、唯だよ」

律「ゆ、唯……?唯って、あの、平沢、唯か?」

唯「りっちゃん、久し振り」

律「唯……!」




103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:12:34.86 ID:dbdfyurv0
律「どしたんだよ、唯、久し振りだなー。元気してたか」

律は60年前となんら変わらないテンションのままで唯に話しかけた。
そのおかげで唯も懐かしい気持ちがこみ上げてきた。

唯「うん、久し振りだね、りっちゃん」

律「ああ……何十年経っても変わんないな」

律は唯の体を眺めまわした。

唯「ふふ、りっちゃんこそ」

律「なあ、どうしてたんだ?今まで」

唯「えー、えっとね~……」

唯、澪、律は、これまでの年数を埋め合わせるかのようにそれぞれの人生の経過を語った。

律「ふーん、唯に子供ね~。私も結婚すりゃよかったな~」

澪「律にはそう言うのにあわないって」

唯「そうそう」

律「うるへー!」




108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:19:20.49 ID:dbdfyurv0
3人の間に流れる空気は、60年前のそれそのものだった。
まるでこの病室だけ、あの放課後の音楽室にタイムスリップしたような感じだった。

唯「そうだ……」

唯はカバンから卒業アルバムを取り出した。

澪「それ、卒アルか…」

律「こりゃまた懐かしいもん持ってきたな」

律は上半身だけ起き上がった。

唯「一緒に見よう」




111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:26:42.86 ID:dbdfyurv0
唯はベッドの上でアルバムをひらいた。

律「うわ~、すっげえ懐かしい」

澪「そうだな、こんな時もあったな……」

律「ふうん、澪はすごい美少女だったんだな」

澪「今さらかよ~」

最初の集合写真のページを見ながら、2人は色々と言い合っていた。




116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:42:17.45 ID:dbdfyurv0
唯「こっちは体育祭だねえ」

澪「これはマラソン大会か……」

律「そしてこっちは……」

唯はページをめくった。

唯「文化祭」




125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:52:03.87 ID:dbdfyurv0
そこには体育館の舞台で演奏する5人の姿が映っていた。
ギターを弾きながら歌う唯。
その唯の両隣には澪と梓がいた。
後ろにはドラムを叩く律、キーボードを弾く紬の姿もあった。

3人は懐かしそうにその写真を見つめていた。

律「あったな、こんな時も」

唯「うん」

澪「懐かしいな………ムギ、梓……」

律「そういや、ムギは来てないのか?」

唯「え、ああ、ムギちゃんは……」

唯は紬がすでに死んでいたことを伝えた。

律「そっか……」




127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:56:36.48 ID:EOGKEumJ0
体育館じゃなくて講堂・・・




128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:58:56.04 ID:Z14zEXcOO
>>127
こ(ry




130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:59:52.97 ID:X0qqisTDO
>>127
ボケたんだよ




133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:02:36.50 ID:dbdfyurv0
律「じゃあ放課後ティータイムも、この3人だけか」

律たちは互いの顔に視線を送った。
3人は写真に収められた若く瑞々しい姿とは全く違い、枯れたような、乾いたような感じに変わり果ててしまっていた。

60年という時間。
それはすべてを過去の彼方に押しやってしまうのに充分過ぎた。

唯「色々あったね」

澪「ああ」

律「そうだな」

3人は記憶の糸をたぐり、少しずつ思い出を引きあげていった。

廃部の危機に瀕していた軽音部。
部員がそろい、再活動を果たしたときの期待感と喜び。
初めての合宿。
文化祭での演奏。
中野梓の入部。
みんなで過ごした放課後の音楽室。
くだらないことを喋って、なんでもないことで笑いあえた日々。
高校生だった自分には、あの時間は永遠に続くと思えていた。




138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:11:57.42 ID:dbdfyurv0
しかし永遠に続く時間などあるはずもなく、やがて唯たちも卒業することになった。

音楽室に別れを告げ、4人はそれぞれの人生を歩み始めることになった。

唯「……」

大学ではたくさんの友達が出来た。
バイトにサークルにと、ありあまる時間を自由に過ごすことができた。
素敵な恋もして、その人と付き合うことにもなった。
大学を出た後はしばらくフリーター生活をしてお金をため、仕事が軌道に乗ってきたその人と結婚し、2人の子供もできた。
それから後は家事と育児に追われ、気付いたら子供たちも大人になり、家を出ていった。
やがて孫ができた。初めて孫を抱いたときの何とも言えぬ喜びを、唯は今でも覚えている。
自分の作った家族が、さらに家族を作る……。

唯(家族、か……あの頃の私は、家族を作るなんて思いもしなかっただろうな……)




140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:18:09.86 ID:dbdfyurv0
唯がそんなことを考えていると。

澪「私、まだ、持ってるんだ」

そう言って、澪は懐から携帯端末を取り出した。

唯「持ってるって、何を?」

澪「私たちが作った曲」

澪がで端末を操作すると、スピーカーからなんとも懐かしいメロディーが流れてきた。

律「これ……」

澪「歌おう」

唯「…うん」




143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:22:00.86 ID:dbdfyurv0
唯「君を見てるといつもハートドキドキ」

60年経っていても、そのメロディーと歌詞は体が覚えていた。

澪「揺れる想いはマシュマロみたいにふわふわ」

澪はしわがれたか細い声で歌った。

律「いつも頑張る君の横顔」

歌っているうちに3人は60年前に帰ったような気がした。

唯「ずっと見てても気づかないよね」

澪「夢の中なら2人の距離」

律「縮められるのにな」




145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:26:03.08 ID:dbdfyurv0
そこにいた3人の老人たちは、
紛れもなく「放課後ティータイム」だった。

唯「ああ神様お願い」

澪「2人だけのドリームタイムください」

律「お気に入りのうさちゃん抱いて」

唯「今夜もお休み~」

「ふわふわたーいむ・ふわふわたーいむ・ふわふわたーいむ………」



唯「ふぅ」

澪「ふふっ」

律「ははっ」

歌い終えた3人は互いの顔を見比べ、笑みをこぼした。




146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:29:17.10 ID:B9iji7Q3O
(;ω;`)ぶわっ…

何か心に来るぜ…
これはいろんな意味で良スレ




147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:30:18.27 ID:dbdfyurv0
唯「久しぶりに2人に会えて、良かったよ」

澪「それはこっちだって同じさ」

律「よし、じゃあ退院したら今度は私たちが京都に行くから、そんときは色々案内してくれよな!」

澪「えーっ、私、今日京都から帰って来たばっかりなのに~」

唯「あははっ」

60年前と何も変わらない光景がそこにあった。
どれほどの時が過ぎようと、彼女たちの友情は変わらない。
放課後ティータイムも、けして消え去ることはないのである。


      けいおん! 第14話「しわしわ時間」

               完






453 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:19:15.38 ID:dbdfyurv0
あの再会から1年。
唯はまた東京に出てきていた。

リニアから降りると、ホームで車いすの澪が待っていてくれた。

澪「やあ、唯」

澪の声はまた一段とか細くなっていて、人の声で溢れかえるホームでは聞き取りにくかった。

唯「やあ、澪ちゃん」

澪「じゃあ、行こうか」

唯「うん」




455 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:22:28.70 ID:aL+xe2kl0
またしわしわ!




456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:22:55.23 ID:aUP1TFk4O
これが ふがふが時間?




457 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:24:34.38 ID:QqyGuqfm0
ふがふがw




462 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:29:06.51 ID:dbdfyurv0
2人は駅から出た。
車がひっきりなしに行き来する大通りの向こうに、天まで届きそうな高層ビルがいくつもいくつも建っている。
駅前の広場では前衛的な恰好をした若者たちが音楽をかけてはしゃいでいる。

唯たちはその横を通り抜け、バス停に向かった。

唯「まさか、また東京に来ることになるとはね」

澪「唯が東京に来たのは、去年が初めてだっけ」

唯「うん……70超えて、やっとファースト&セカンド東京だよ」

澪「ふふ」

バス停でそんなことを喋っていると、すぐにバスが到着した。
バスのボタンを押すとリフトが降りてきて、澪の車いすを乗せて車内へと入っていった。
それを追って、唯もバスに乗り込む。




467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:38:03.13 ID:dbdfyurv0
澪「いきなり呼んだりして、大丈夫だったか」

唯「大丈夫だよ別に、特にすることもない年金生活者だし」

澪「そっか」

バスはすぐに目的地に着いた。

回数券を支払って下車すると、眼の前にその建物はあった。

唯「このお寺?」

澪「ああ」

目的地はお寺だった。
大都会東京に不釣り合いなくらい古い建物だが、それでもどこか荘厳さを漂わせている。




471 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:40:44.30 ID:EOGKEumJ0
りっちゃん・・・




474 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:45:24.79 ID:dbdfyurv0
唯「暑いねぇ」

澪「ああ」

2人はお寺の境内に足を踏み入れた。

時は8月だった。
今日の気温は35度。老体にはちょっときつい。

澪「私たちが若いころは温暖化温暖化って耳にたこができるくらい言われてたけど、別に何ともなかったなぁ」

唯「ほんとだねぇ」

地球温暖化説も2030年ころには死語になっていた。
温暖化対策の利権で甘い汁をすすっていた人々は最後まで温暖化の危機を叫んでいたが、いつのまにかいなくなっていた。




476 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:48:24.94 ID:dbdfyurv0
むしろ世界の気温は下がる傾向にあるとのことだったが、唯たちには実感できていなかった。

ハンカチで汗を拭きながら、境内の奥へと進んでいく。

塀と塀のあいだの細い砂利道を抜けると、広い場所に出た。

唯「ここ?」

澪「いや、もっと奥の方だ」

そこにはたくさんの墓石が並んでいた。




478 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:55:05.55 ID:dbdfyurv0
墓石の間を縫って、さらに奥へと進んでいった。

澪「ここだよ」

澪が指し示した先には小さな墓石があった。
そこには「田井中家之墓」と刻まれていた。

唯「この下にりっちゃんがいるの?」

澪「ああ。『田井中家』とは書いてあるけど、埋まってるのは律だけだ」

唯「そうなんだ」




482 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:03:15.00 ID:1sktL2XMO
律は京都にいけなかったのか…




483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:03:20.18 ID:dbdfyurv0
律は結局、あれから回復することはなかった。
半年間の闘病生活を送った末、息を引き取った。

律は死ぬ間際に、澪に自分が死んだあとのことを頼んでいた。

律『もう親類縁者とは連絡を取れないし、知り合いも友人もいない。だから通夜も葬式もしなくていい。ただお墓を立ててくれないか。小さいのでいいから。お金は私の貯金を使ってくれればいい』

唯「それで、その通りにしたんだ」

澪「ああ。このお墓で満足してくれてるかな、律は」

唯「してくれてるよ。だって、親友の澪ちゃんが選んだお墓だもん」

澪「親友、か」

こんな歳になってそのような青春めいた言葉を聞くとは思わず、澪は笑みをこぼした。




493 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:14:08.40 ID:dbdfyurv0
相変わらず日差しは容赦なく照りつけてくる。
どこからかセミの声が聞こえてきた。
お盆の時期なので、他にも墓参りをする人もちらほら見かけられた。

律の死を初めて実感したからか、唯にはなんでもないようなことが感慨深く感じられた。

唯「……」

澪「ん、どうした」

唯「いや、ほんとに死んじゃったんだなあ、って」

澪「そんなしけた顔するなよ。律が嫌がるぞ?」

唯「そうだね」

へへ、と笑いながら、唯はカバンから数珠を取り出した。

そして、澪とともに墓石に向かって手を合わせた。

唯(りっちゃん、そこに多分ムギちゃんやあずにゃんもいると思います。私たちがそちらに行くまで、楽器の練習でもして待っててください)




497 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:20:34.34 ID:dbdfyurv0
唯は顔をあげ、ふぅ、とため息をついた。

澪「そろそろ行こうか」

唯「うん」

澪「東京初心者の唯のために、東京案内でもしてやるよ」

澪はそう言って車いすをゆっくりと発進させた。

唯は2、3歩進んで、律の墓石の方を振り返った。
墓石が日差しを照り返した光の中に、律の笑顔が見えた気がした。

澪「おい、唯。行くぞ」

唯「あ、うん」




498 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:22:22.42 ID:vRPsVIlFO
またシリアスな展開に…




500 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:28:52.14 ID:dbdfyurv0
2人は再びバスに乗り、都心へと向かった。

唯「どこ行くの?」

澪「ああ、東京タワーだよ」

唯「新しく出来たとこ?」

澪「そうだよ」

西暦2020年頃、初代東京タワーはその役目を終え、高さ600m超の新しい東京タワーが建てられた。
さらに今ではそのタワーも引退し、最近になって3つ目となる東京タワーが建造された。

唯「もう入れるんだ?」

澪「うん、もう入れるらしい。私も初めて行くんだけどな」




504 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:37:51.80 ID:dbdfyurv0
2人は東京タワーについた。
デザインは先代や初代のタワーとほとんど変わらなかったが、高さは700mにまで伸びていた。

澪「じゃあ、入るか」

唯と澪はタワー下のビルで入場料を支払い、エレベーターに乗り込んだ。

澪「展望台に、ご飯食べられるとこがあるんだ。そこで食事にしよう」

唯「ええ、そんなお店、高いんじゃないの?」

澪「まあ、高いお店も入ってるし、安い軽食を出してるお店もある、らしいよ」

唯「ふうん」

展望台につくまでには時間がかかった。
その暇つぶしのためか、壁に埋めこまれたモニターからは東京の歴史とかなんとかいう映像が流れつづけていた。




507 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:46:01.23 ID:dbdfyurv0
展望台に着いた。
夏休み中ということもあってか、割と混雑していた。

しかし澪が車いすを進めると、人々はそそくさと脇にそれていった。
この時代でも車いすは奇特な存在として扱われているのか、ただ足の不自由な人の邪魔にならないようにしたのか、唯には分からなかった。

唯と澪は窓際の席を確保することができた。

澪「唯は座ってろよ。私が食べ物買ってくるから」

唯「え、いいよ、私が…」

澪「いいって、今日の唯はお客さんなんだし。それに、私が行った方が速いしな」

澪も自覚しているようだった。

唯は売店のカウンターへと向かった澪の背中を見送った。
人ごみにまぎれて澪が見えなくなると、唯は窓の外の景色に目をやった。




508 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:54:14.80 ID:dbdfyurv0
東京タワーの下には地平線の向こうまで街が広がっていた。
少し視線の向きを変えると、ビルの群れが途切れて山地になっていた。
その向こうにはかすかに富士山も確認できた。
他にも皇居や国会議事堂など、およそ東京らしいものはすべて視認することができた。

夢中で景色を眺めていると、澪が戻ってきた。
膝の上のトレイには2人分のサンドイッチとドリンクが乗っていた。

澪はトレイをテーブルの上に置いた。

唯「ありがとう、澪ちゃん」

澪「いいよいいよ。食べよう」

2人はサンドイッチを食べ始めた。




513 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:01:49.32 ID:dbdfyurv0
澪「初めて見たけど、やっぱすごいもんだな、この景色は」

唯「そうだね」

そう言われて、唯は再び外の景色に目をやった。
相変わらず大都会東京が広がっている。

澪「この街に1000万人もいるんだよな」

唯「1000万人、か……」

唯にはその数字は大き過ぎて、うまく想像できなかった。

1000万人。
それだけの人がそれぞれの人生を歩み、やがて死んでいく。

唯「……」

澪「地平線が丸く見えるのは、気のせいかな。テレビで、地球が丸いのを実感できます!って言ってたけど」

唯「地球か……」




517 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:12:23.37 ID:dbdfyurv0
地球には今90億の人が住んでいるらしい。
世界の人口増加の速度が緩慢になっているとか、そういうニュースを若いときに聞いた気がした。

90億の人。90億の人生。
その中の一つとして、唯は79年間を歩んできた。

そう考えると、唯は急に自分がちっぽけな存在に思えてきた。
「唯の世界」など、所詮は京都の中の、自分の家くらいで完結していた。
ろくに旅行や仕事も経験してこなかったため、唯の世界はすごく狭いままだったのだ。

唯「世界って広いね」

澪「ああ、広いだろうな」




520 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:23:09.77 ID:dbdfyurv0
狭い世界の中で過ごした数十年。
その間にも世界では色々なことが起こっていた。

石油に代わる新しいエネルギーも開発された。
資本主義限界説を唱える人々が世界中で増えているらしい。
世界のどこかではまだ戦争に明け暮れている国があるという。
第4次宇宙ステーション建造計画も進んでいる。
少子化対策も少しずつ効果をあげてきているようだ。
日本の財政が危ないと言われ続けていたが、破綻してしまうことはなかった。
アメリカはまだ世界のリーダーだし、中国は2位に甘んじている。

しかしそれらの出来事は唯の人生と何の影響も及ぼさなかった。
どこかの国で地震が起こっても、経済が良くなったり悪くなったりしても、唯は家事と育児に励み続け、主婦として母として生きてきた。




523 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:26:03.29 ID:dbdfyurv0
唯「なんか、ここからの景色を見てると心細くなってくるよ」

澪「そうか?なんで?」

唯「うーん……私は、世界の一員として考えたら、なんか取るに足らない存在なのかなぁって」

澪「はは、なんか深いこと考えてるな」

唯「そうかな」

澪「うんまあ、私もそう言うのは考えたことあるよ」




532 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:38:12.01 ID:dbdfyurv0
澪「でもまぁ、世界中の人の中でも、一番幸せな人生を歩んできたと思うよ、私たちは。それは自信持っていい」

唯「私たち、か」

澪「そう、私たち」

私たち、というのが唯と澪の2人だけのことではないことは唯にも理解できた。

唯「そうだ。色々あったけど、幸せだった。それでいいんだよね」

澪「ああ、それでいい」

唯「うん……でも、ほんとに色々あったよね」

澪「あったなぁ。特に高校の3年間、なんであんなに濃かったんだろうな」

唯「今でもはっきり覚えてるよ……」

澪「ああ……合宿…学園祭…ライブ……」

唯「スカトロ……ふたなり……ヨハネスブルグ……」

唯は過去に思いをはせながら、サンドイッチの最後の一切れを口に放り込んだ。



540 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:43:12.92 ID:dbdfyurv0
澪「じゃ、行くか」

唯「うん」

唯たちはトレイをレジに返し、再びエレベーターに乗り込んだ。

唯「下に着くまで長いよね~」

澪「いや、降りる時はすぐらしい」

唯「え?なんで?」

澪「さぁ」

澪の言う通り、ものの10秒で地上に到着した。



2人はその日、夜遅くまで東京を歩き回った。




550 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:49:12.87 ID:dbdfyurv0
深夜の東京。
空は真っ暗だが、地上は街灯によって照らされ、まだ昼かと思うくらい明るかった。

澪「じゃ、今日はこれで」

唯「うん。じゃあ私は、ホテル予約してあるから」

澪「ああ」

唯「澪ちゃん、今日はありがとう。また今度、京都にも来てよ」

澪「うん、また機会があれば行くよ」

唯「じゃあね、澪ちゃん」

澪「じゃあな」

唯は澪の車いすが見えなくなるまで、名残惜しそうに見つめ続けていた。




559 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:56:52.85 ID:dbdfyurv0
ホテルのベッドに寝転がりながら、唯はあれこれ考えていた。

自分の人生は幸せだった。
最愛の夫と、その子供たちに囲まれ、孫たちの顔も見ることができた。
それに何より、素敵な友達がいた。
生きているのは澪だけになったが、律や紬、梓、和たちとの思い出も確かにこの胸に息づいている。

たくさんの素晴らしい人たちとともに生きることができた。
やはり私は幸せだった、と改めて思った。

そして唯は、澪が京都に来たらどこを案内してやろうかな、と考えながら眠りについたのであった。


      けいおん! 第18話「Don't say "Lozin"」

               完




576 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 23:04:36.20 ID:rOz+V1Od0
乙だぜ
次も期待してる


577 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 23:04:40.12 ID:/osCzWOv0
乙。 いやあすごいもんを見てしまった感がある






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コメント

65:

ふたなり、スカトロに突っ込めよw

2009/08/23 11:56 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
69:

ここでも、見るかコレ

2009/08/24 00:22 | VIPPERな名無しさん #- URL [ 編集 ]

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