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3134:まりさ一家の転落ゆん生

2014/03/10 (Mon) 12:00

 照明が消える。
 ざわついていた場内がしんと静かになった。
 真っ白なスクリーンに、パッと色鮮やかな風景が映し出された。


 一家の大黒柱、親まりさ。
 子供たちの憧れ、親ありす。
 そんな二人に溺愛されて育った子まりさ。
 生まれたばかりの赤ありすと赤まりさ。


「ゆっ、ゆっ、ゆ~♪」
「ゆっくち、ゆっくちっ」
「ときゃいはっ、ときゃいはっ」
「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」
「ゆふふ、おちびちゃんたちはとってもとかいはね!」

 ゆっくりできる山の中で、とてもゆっくりしている家族。
 彼らはこれから、もっともっとゆっくりしているゆっくりプレイスに向かうのだった。


「さあ、おちびちゃんたち! これからにんげんさんの『まち』にむかうよ!」
「とってもとかいはで、とってもゆっくりできるプレイスなのよ!」
「ゆわわああい! まりさ、ゆっくりするよっ!」
「ありちゅも! ありちゅもときゃいはっ!」
「まりちゃも、ゆっくちすりゅ!」


 朗らかに笑い合うゆっくりたちを、濁った瞳で見つめながら。
 そのゆっくりたちは、静かに涙を零した。






「まりさ一家の転落ゆん生」 マンネリあき






 事の発端は、まりさとありすがうっかりすっきりをしてしまったことだった。
 無事越冬が完了して春になり、気が抜けたせいだろうか。
 群れで厳禁とされていたすっきりをした挙げ句、おちびちゃんをにんっしんしてしまったのだ。

「まりさ、ありす。ついっほうされるほうがいい?
 それともおちびちゃんをえいえんにゆっくりさせる?」
「だめえええええ! えいえんにゆっくりさせるのはだめええええ!
 おちびちゃんはっ! おちびちゃんはとってもとってもとってもとってもとおおおおおおおおおっても、とかいはあああなのよおおおおおおおおおおおおお!」
 親ありすがじたばたと暴れ狂った。
「おさ……。
 まりさきめたよ、にんげんさんのゆっくりプレイスにひっこすよ!」
「そ。つまり『ついっほう』をえらぶのね。
 ……そういうことなら、にんげんさんのゆっくりプレイスまであんないする
 ゆっくりをつれてくるわ」
「ゆゆ!? そんなゆっくりがいるの!?」
 まりさは初耳だった。
 人間さんのゆっくりプレイスへ、わざわざ案内してくれるゆっくりがいるだなんて!
「すのなかのしょくりょうを、いまのうちにたべておきなさい。
 おちびちゃんのためにもね」
「ゆっくりりかいしたよ! おさ! ありがとお!」
「ありがとう、ぱちゅりー! とってもとかいはだわ!」
「ありがとう、おさ!」
「ときゃいは! ときゃいは!」
「ゆっくちときゃいは!」


 家族を見送ったあと、ぱちゅりーはやれやれと溜息をついた。
「にんげんさんのゆっくりプレイス……ね。
 はたして、それがゆっくりにとってのゆっくりプレイスなのかしら?」
 だが、どんなに忠告しても無駄だろう。
 元より、忠告する義理もない。彼らは本能に負けて、群れの掟を破った。
 そして、おちびちゃんを殺すよりもゆっくりする方を選んだ。
 その時点で、長ぱちゅりーにとっては群れの障害以外の何者でもないのだ。


 数日後。
 ぱちゅりーに指定された場所で、
 ゆっくりした表情のまりさ一家は案内ゆっくりを待っていた。
 少し前に出産された赤ゆ二匹は、既にまりさの帽子の中で「ゆぴー、ゆぴー」とお休み中だ。


「ゆっくりしていってね!」
「ゆ、ゆ……れいむ?」
 まりさ一家は、現れたゆっくりれいむに戸惑いを見せた。
(あんまりゆっくりしてないれいむだよ……)
 そのれいむは、おめめが変なゆっくりだった。
 何か銀色でキラキラして、デコボコしていた。
「れいむ、へんなおめめでごめんね! でもだいじょうぶだよ!
 ちゃんとあんないするからね!」
「ゆ、ゆっくり……していってね」
 まりさが愛想笑いを浮かべていると、ありすが大声で囁いた。
「まりさ……このれいむ、とかいはじゃないわ……! ゆっくりできないわ!」
 子まりさも当然それに同調する。
「ゆっくりしてないれいむだね! せいっさいしてもいい?」
「ゆゆ、ゆっくりおちついてね。れいむはたしかにゆっくりしてないれいむだけど。
 こんなれいむでもいきているんだよっ。
 おかざりもきれいだし、おめめがちょっとへんなくらい、がまんしてあげようね!」
 傲慢とも言える言葉だが、それでもまりさは譲歩したつもりらしい。
「……しかたないわね」
「ゆっくりりかいしたよ……」
 れいむへ蔑んだ表情を隠そうともせず、ありすと子まりさは頷いた。
「おはなしはおわった?
 それじゃ、れいむのすぃーにのせてあげるね!」
 ずるずると、れいむが巨大なすぃーをひっぱってきた。
 何と、屋根までついた豪華なすぃーだ。
「ゆわあ……このすぃー、とってもゆっくりしているね!」
「ふん、このすぃーだけはとってもとかいはね」
「まりさ、このすぃーほしいよ! おとうさん、これほしい!
 れいむにあげるようにいってね!」
「ゆふふ。このすぃーは、れいむにしかうんってんできないんだよ!
 ゆっくりおちびちゃんもりかいしてね!」
 その言葉にカチンときたらしい子まりさが、威嚇のぷくーをしながら叫んだ。
「まりさはおまえのおちびちゃんなんかじゃないよ!
 れいむは、まりさのことをまりささまってよぶんだよ! ぷっくぅぅぅぅ!」

 ……が、れいむは子まりさのぷくーを見ることすらなく、
「それじゃゆっくりしゅっぱつしんこうだよっ」
 といって、すぃーを走らせ始めていた。
「ぷくー! ぷっくぅぅぅぅぅ……は、はやいいいいいいいいいいいいい!?」
 すぃーは恐るべき速度で発進した。
 周囲をけっかいさんで守られているとはいえ、さすがにこのスピードは空前絶後の体験だった。

「きょ、きょわいよおおおおおおおおおおおおおおお!」
 ぷしゃー! と勢いよくおそろしーしーを垂れ流す子まりさ。
「たちゅけてえええええええええええええええええ!」
「ゆっくち! ゆっくちいいいいいいいいいいいい!」
 同じくおそろしーしーを垂れ流す赤ありすと赤まりさ。
「とかいはじゃないわあああああああああああああ!」
「とめてえええええええええええええええええええ!」
 ……そして、おそろしーしーを噴射する親ありすと親まりさ。

 結局、全員がおそろしーしーを垂れ流しながらすぃーを走らせること十五分。



「「「「「ゆわあああ……」」」」」



 群れが言うところの「ぎんいろのもり」――人間たちのゆっくりプレイスに辿り着いたのだった。

 五匹はすぃーを下ろされ、想像以上に高いビルにぽかーんと口を開いている。
「とっても……とかいは、だわ……」
「そうだね……とかいは、だよ……」
 親まりさと親ありすは、うっとりとその雑居ビルを見上げていた。
「ゆぅ~……これならまりさのゆっくりぷれいすにしてあげてもいいよ」
「「ゆっくちちたーい!」」
 そんな家族を、銀目のれいむはニコニコ見ながら思い出したように言った。
「そうそう。ひとつだけ、きをつけてね。
 このにんげんさんのゆっくりプレイスは、ゆっくりしているゆっくりたちに、
 ときどき『とっぷうさん』をふかせることがあるよ!」
「とっぷうさん?」
「つよいつよいかぜさんだね!
 それがふいたら、そこからたちさったほうがいいよ!
 だいじょうぶだよね!
 ゆっくりしているゆっくりだってしょうこなんだから、とっぷうさんがふくのは、
 むしろこうっえいだとおもってね!」



「「「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」」」



 あまりよく分からないが、とりあえずゆっくりしているゆっくりという褒め言葉に
気をよくしたまりさ一家は、声を揃えてそう言った。


「それじゃあ、まずはごきんじょさんをあんないしてあげるね!」
 銀目れいむはそう言って、彼らを先導するように歩き出した。
 時折こちらを振り返って、銀目でじっと家族を見つめている。
「ゆふふ。とてもゆっくりした一家だね!
 このゆっくりプレイスでもゆっくりできるように、れいむいのってるよ!」
「ゆうん。へんなおめめのわりにはおめがたかいわね!」
 親ありすがくねくねしていた。
 親まりさは赤ありすと赤まりさが帽子のつばで飛び跳ねるので、少しハラハラしている。
「おちびちゃん、おねがいだからそこでとばないでねっ!
 おっこちたらいたいいたいだよ!」
「「ゆっくち、ゆっくち~♪」」

 子まりさは、初めて見る人間さんのゆっくりプレイスに目を輝かせて、きょろきょろしている。
 そのせいで、ついつい遅れがちだ。

「ゆ! にんげんさん! ゆっくりしていっ――」

 通りすがった人間に挨拶するが、その挨拶を聞くことすらなく、人間たちは去っていく。
 最初の方こそ、聞こえなかったのだろうと思っていた子まりさも、次第に不満を覚え始めていた。
「おとうさん、にんげんさんがちっともゆっくりしてくれないよ!」
 その言葉に親まりさが振り返り、怪訝そうに人間を見る。
 ちなみに、彼らは銀目れいむの誘導により歩道の端っこを歩いていたが、
次第に真ん中にずれ始めていた。
「ゆゆ? ほんとうだ、にんげんさん! おちびちゃんのあいさつにちゃんとこたえてね!」
「そうよ、このいなかもの! あいさつにこたえないなんて、とかいはじゃないげすのすることよ!」
「「げーちゅ! げーちゅ!」」


「うるせえ、どけ!」
「いなかも――――――ぽぎゅ!?」
 歩道の真ん中でぎゃあぎゃあ騒いでいたのが気にくわなかったのだろう。
 一人の人間が、ありすを軽く蹴り飛ばした。



「「「「お、おかあしゃあああああああああああああん!?」」」」



「ほ、ぐっ……!? ぐぼ!?」
「……」
「にんげんさん、ごめんなさいね!」
 銀目れいむがそう言うと、その人間が『ああ』と納得して鼻で笑った。
「お前等、あんまり歩道の真ん中を歩くんじゃねえぞ。いいな?」
「ありす! ありす! ありすうううう!」
「おかああしゃああん!」
「と……きゃ……いはっ……!」
 親まりさと子供たちは重傷でもないのに取りすがって泣きじゃくり、親ありすは重傷でもないのにぴくぴくと痙攣していた。
「……聞いちゃいねえ」
 呆れた様子で、人間は立ち去った。



「さいなんだったね! でもだいじょうぶ!
 あのにんげんさんは、ちょっとありすがゆっくりしすぎていたことにいらいらっ、てしたんだね!」
「ゆう……ゆっくりしているゆっくりをみれば、ゆっくりできるはずなのに……」
「そうだね! まあでも、どうでもいいことだからさきにいこう!
 もうちょっといけば、あまあまがあるよ!」


「「「「「あまあまはゆっくりできるね!」」」」」


 あまあまという言葉に、あっさりと痛みを忘れてまりさ一家は飛び跳ねる。
 やがて銀目れいむはビルとビルの隙間に入り込み、まりさ一家もそれに続いた。
「ゆ。きんじょのめーりんとまりさだね、ゆっくりあいさつしようね!」
 銀目れいむがそう言うと、まりさ一家は一斉に蔑んだ表情を浮かべた。
「めーりん? めーりんって、あのゆっくりしてないめーりん?」
「なにかのまちがいじゃないの? こんなゆっくりプレイスにめーりんがいるの?」
「めーりんってゆっくりしてないげしゅ、なんだよね?」
「めーりんゆっくちちてない! ぷひゅひゅひゅ!」


 ダンボールのおうちから、のそのそとめーりんとまりさが出てきた。


「ゆう……うるさいんだぜ。せっかくのおひるねたいむをじゃまするんじゃ……ゆぅ!?」
 街のまりさが銀目れいむを見て、ぎょっと立ちすくんだ。
「ゆっくりしていってね! れいむはぎんめのれいむだよ!」
 銀目れいむがそう言って挨拶すると、街のまりさははああああと溜息をついた。
「じゃおう……」
 街のめーりんも何だか元気なさげに街のまりさにすり寄る。
「ゆっくりしているゆっくりのしょうかいなのぜ?」
「そう! このまりさたちはとってもゆっくりしているんだよ!」
「ふうん……ゆっくりしていってね」
 街まりさが睨むようにまりさ一家を見る。
 まりさ一家は、這い出てきたまりさを見て――――ゲラゲラと笑い出していた。


「ゆぷぷぷぷ! まりさ! まりさ! あのまりさのおぼうし……ぷぷぷぷ!」
「しーっ。わらっちゃわるいよありす! でもあのおぼうし……ぷ、ぷぷ……ゆぷぷぷぷ!
 ぜんっぜん……ゆっくりしてないね……ぷぷぷぷ!」
 親ありすと親まりさは、街まりさのツギハギだらけの帽子を見て嗤っていたのだ。
 全身、どことなく薄汚れている様は、薄汚いドブネズミを思わせた。
 おさげも少し千切れて短くなってしまっている。
「おまけにめーりんとつがいなんてっ……ゆぷぷぷ! ありすだったらしにたくなるわあ!」
「げらげらげら! いいすぎだよありす!
 まりさだったら、れみりゃにあんこすわれるほうがいいけどね……ゆぷぷぷぷ!」



 さて、こんな「ゆっくりしていない」ゆっくりを見て、子まりさたちは何を考えるであろうか?
 答えは簡単。親の真似事である。
「ぷぷぷ! これじゃ、まりさのどれいになるていどしかつかいみちがないよ!
 でもまりさかんっだいだから、どれいにもやさしくするよ!」
 子まりさはそう言って、自分の数倍以上の体積を持つ街まりさに命令した。
「おい、どぶまりさ! あまあまもってきてね! すぐだよ! すぐ!」


 親まりさと親ありすも、その暴挙を止めることがない。
 何故なら、彼らは「ゆっくり」という単一の価値観で暮らしてきたからだ。
「ゆっくりしていないゆっくりは、何をさておいてもゆっくりしているゆっくりに奉仕しなければならない」
「ゆっくりしていないゆっくりは、ゆっくりしているゆっくりよりも弱っちい(ゆっくりしていないから)」
 そんなことを、本気で当たり前のように考えている。
 いや、実際にある程度の群れではそれは正解なのだ。
「ゆっくりしてないゆっくり」より「ゆっくりしているゆっくり」の方が数が多い以上、
数の暴力で圧殺できる。
 無論、賢い長がいて幹部たちの統率がきちんとされていた場合は異なるが……。
 いずれにせよ、子まりさの発言はそこそこ正当性があったのだ。
 ただし子まりさの理論が通じるのは、野生の群れだけである。


「そうだね、おちびちゃんのいうとおりだね。まりさたちはおなかぺーこぺこなんだよ!
 だから、ごはんさんをまりさたちにちょうだいね!」
 親まりさがそう言うと、街まりさはあっさりと答えた。
「は? いやだぜ」


「…………」
「…………」
「…………」


「どぼじでごどわるのおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
 まりさはどぶまりさでしょおお!? ゆっくりしてないでしょおお!?
 ゆっくりしてないんだから、ゆっくりしているまりさたちにごはんをさしだすべきでしょおおお!」
「なんってとかいはじゃないのおおおお!
 このいなかものおおお! ありすたちにごほうしっできることを、こうっえいに
おもわないのおおおおおおおおお!?」
「このくそまりさああああ!
 このまりささまがせいっさいしてあげるからね!
 ないてもしらないよ! いたいいたいしてもしらないからね!」


 ぽすん、ぽすん、と体当たりしてくる子まりさを絶対零度の視線で見つめた街まりさは、
短いおさげでぱん、と子まりさをはたいた。


「ゆびいい!? いじゃい! いじゃいいいいいいい!
 おとうしゃあああん! どぶまりしゃがあああ! どぶまりしゃがぶっだああああああ!」
「そっちがぶつかってきたんだぜ?」
「うるざあああああい! どぶのくせにっ!
 ゆっくりしてないぐぜにいいいいい!」
「おちびちゃああああん! よくもおちびちゃんをおおおおおおおおおおお!
 ゆるさないよおおおお! ぷっくうううううううううううううううううう!」
 親まりさがいきり立ってぷくーっと膨れ上がった。
 街まりさと街めーりんが、ちらりと銀目れいむを見た。
「……」
 銀目れいむが無言で頷いたのを見て、まずめーりんが仕掛けた。
「じゃお!」


「ぷっくうううう…………ぼべ!?」
 親まりさが思い切り吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
 ……言うまでもないが、めーりんの皮の厚さは他ゆっくりとは一線を画している。
 野生で厚い皮を持つ親まりさといえども、めーりんのポテンシャルには及ばないのだ。
「いだあああい! いだい! いだいいいいいい!」
 何より。彼らは今まで、戦うことなどほとんど知らずに生きてきた野生ゆっくりである。
 れみりゃが生息していたり、みょんが戦う術を教えていればまた違ったかもしれないが……。


「まりさああああ! まりさあああああ!」
「おとおしゃあああああん!
 まりさのつよくてたくましくてりっぱでゆっくりしているおとうしゃああああん!」
「じゃお……」
「めーりん。そんなやつに、ごはんさんをあたえることないんだぜ」
「じゃおう……」
「れいむからもおねがいするよ!」
「ゆ? ……なら、いいんだぜ。めーりん!
 ほぞんしょくと、しょうみきげんさんがきけんなものをくれてやるんだぜ!」

 街まりさと街めーりんが、がさごそとダンボールの中から幾許かの食料を取りだした。
「ゆ……あま……あま?」
「ぜいたくいうなだぜ」
 街まりさは寄り添って啜り泣く一家に、ビニール袋に包まれた食料を投げ渡した。
「ごはんさん! ごはんさんよ、おちびちゃん!」
 ありすが喜び勇んで、ビニール袋をくわえ込んだ。
「とっととうせろ、だぜ!」



「「「「「ゆっびいいいいいいいいいい!」」」」」



 悲鳴をあげながら、まりさ一家は這々の体で逃げ出した。
「じゃおう……」
「かわいそう? たしかにちょっとどうじょうはするのぜ。
 でもあいつはめーりんをめーりんというだけでさげすんだのぜ。
 どうじょうのよち、なしだぜ」
「……じゃおう!」
「れいむがくれたあまあまでもたべて、またすこしねるのぜ……。
 ゆうがたになれば、にんげんさんのてつだいなのぜ」
 この二匹、ビルの管理者からはお目こぼしされている。
 その代わり、人間でも嫌がるような不衛生な箇所の掃除やゴキブリ退治を
請け負うことで代償を支払っているのだ。
 仕事はあまりゆっくりできないが、こうしてのんびりめーりんと暮らすことが
できるので、不満はない。
「じゃおーう」
 街まりさと街めーりんは揃ってダンボールに潜り込み、再び眠り出した。



 ……。
 ……。
 ……。


「ゆふう……ひどいめにあったよ……」
「なんていなかもののめーりんとまりさ……ちのうしすうがひくいのかしら……」
「まりさ、おなかぺーこぺこだよう……」
「ゆっくちおなかがすいたよ!」
「ゆふん。そうだね、おちびちゃんたち。ごはんさんにしようか」
 まりさがビニール袋を引っ繰り返した。ぱらぱらと、保存食用の枯れかけた雑草と腐りかけのからあげがぽろりと零れ落ちた。
 期待に満ちていたまりさ一家の表情が、たちまちがっかりしたものに変わった。
「ごはんしゃん……すくないにぇ……」
「これだけなのお……?」
「で、でも。このからあげさんはとってもゆっくりできるものよ!」
「しょれなら、まりしゃがたべるよ!」
「ありちゅも!」
 二匹の赤ゆっくりが一斉にかぶりついた。
「むーしゃむーしゃ……ゆげ!? ぐび……ま、ま、まじゅいいいいい!」
「こんにゃのいにゃかもののたべものよおおおおお!
 ちょかいひゃのありしゅにはむりよおおおお!」

「えええ? そんなはず……ゆび、うべえ! まずい、まずいわああ!」
 腐りかけのからあげである。
 美味い不味い以前に腐臭が口の中に篭もるせいで、味覚が刺激されてしまうのだ。
「ゆび……でも……ありすたちがむーしゃむーしゃしないと……」
 ありすはけなげにも、雑草を食べさせることにしたらしい。
「まりさにまかせてね……!」
 まりさが一旦、雑草をむーしゃむーしゃと咀嚼してからぺっと吐き出した。
 こうすれば、雑草の苦みはまりさの唾液で少し甘くなる。
「おちびちゃん……ゆっくりごちそうだよ……」
「むーしゃ……むーしゃ……しょれなりー」
「ちょっとだけ……ちょかいはだわ……」
「ゆあああん……あまあまたべたいよおお……」
 泣きながら子供たちが雑草と平らげるのを見届け、
 親まりさと親ありすは腐ったからあげを半分こずつにして、吐き気を堪えながら何とか飲み込んだ。
「ゆべ……ぎもぢばるい……」
「とかいは……どがいばあ……」


 既にまりさ一家は、このゆっくりプレイスに来たことを後悔し始めていた。
 ……が、後悔はあっても反省という言葉などまりさ一家には存在しない。
 自分たちがゆっくりできないのは、当然環境の方が間違っているのだと考える。
「まりさ……ぎめだよ……うぷっ……このまちを……ただしいほうこうに……
みちびくよ……」
「ありすもてつだうわ……こんないなかもののまち……」
「まりさも……」
「まりちゃも……」「ありちゅも……」

 結束を新たにしたまりさ一家を面白そうに眺めながら、銀目れいむが告げた。

「それじゃあ、そろそろこうえんさんにいこうね!
 ゆっくりたちがたくさんすんでいるよ!」
「ゆっくりたちが……」

 まりさ一家に希望が満ちる。
 そうだ、ゆっくりの群れに行けばいい。
 そうすれば、このゆっくりプレイスを支配することも夢ではない。
 いや待て。まず、あのはぐれのめーりんとまりさをせいっさいしよう。
 こんなゆっくりした一家ならば、二つ返事で言うことを聞いてくれるはずだ。

「れいむ! そこにあんないしてね!
 まりさは、そこの『おさ』になってあげるよ!」
 親まりさが胸を張った。その頼もしい言葉も目を輝かせる。
「ゆっくりわかったよ!」
 銀目れいむは満面の笑顔で頷いた。



 小さな公園には、野良ゆっくりたちがいつものように雑草を引き抜いていた。
「ゆんしょ、ゆんしょ。ふいー、やっとぬけたよ!」
「れいむ。くささんをしょくりょうこにはこんでちょうだい!」
「ゆっくりわかったよ!」
「ゆうか! おはなさんはどう?」
「とてもゆっくりしているわ。もうすぐおはなさんがいっぱいにさくわよ」
 ゆらゆらゆれるつぼみを見ながら、ありすとゆうかはニッコリ笑った。
「ゆふふ。たのしみね!」
 金バッジをつけたゆうかは野良ではない。飼いゆっくりである。
 優しい飼い主の下、ゆっくり暮らしていたゆうかだが一つだけ不満があった。
 マンション住まいのため、小さなプランターしか育てることができないのだ。
 花を育てることをアイデンティティーとするゆうかにとっては、辛いことだが飼い主の
家の事情も理解しているため、無理に要求することはなかった。

 そんな折り、散歩途中にたまたまこの公園を見つけたのである。
 放置されていた花壇に我慢ならなくなったゆうかは、飼い主にお願いした。
 あの公園の花を育てさせてくれ、と。
 飼い主も駄目元で役所に陳情したところ、すんなり話が通ってしまった。
 早速ゆうかは花壇の花を育て始めたのだが、困ったことが一つある。

「ゆう……いつまでもここでみはっているわけにもいかないわね」

 公園の花壇は、ゲスゆっくりや無知なゆっくりたちにとっては餌なのだ。
 飼いゆっくりであるゆうかの前でトラブルを引き起こすゆっくりはいなくとも、
彼女が見ていなければ、花壇を無茶苦茶に荒らすこともあるだろう。
 そこで、ゆうかは野良ゆっくりの群れと交渉し、ゆっくりフードを定期的に分け与える
代わりに、ありすたちに花壇の見張りを依頼したのだ。

 ありすたちにとっても悪くない取引である。
 花は味が薄い割にボリュームも少なく、腹持ちもあまりよくない。
 そんなものを食べるよりは、花を育ててゆっくりフードを貰った方が遙かに良いのである。
 何より、鮮やかな花は見るだけでゆっくりできるものなのだ。

「あら? あのまりさたちはしんいりさん?」
 ゆうかが気付いた。
 小さな群れだからだろう、ゆうかは全員の顔を記憶している。
「まりさ? まりさってどのまりさ……」
 くるりとありすが振り返り、ぎょっとした。


 見慣れぬまりさ一家と銀目のれいむが、そこにいた。


「ごめんなさい、ちょっとはなしてくるわね」
 ありすはゆうかにそういって、ぴょんぴょんとまりさ一家の下へとやってきた。
(……いなかものだわ)
 一目でありすは見抜いた。
 どいつもこいつも、自信満々で薄ら笑いを浮かべながら群れを見回している。
「ゆふふ……みんなゆっくりしてないね!」
「これならだいじょうぶだわ!」
「みーんな、まりさのどれいにしてあげるね!」
「ゆっくち、どれい!」
「どれーい!」
 決定的だ、ありすは溜息をついて挨拶した。

「ゆっくりしていってね!」
「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」

 親まりさが尋ねる。
「ありすがここのおさ?」
「そうよ。あなたたちは、ひょっとしておやまさんからきたのかしら?」
「ゆゆ!? どうしてわかったの!」
 まるわかりよ、とありすはつぶやいた。
「それで、なんのよう? むれにはいりたいの?」
「むれに……はいりたい?」
「そうよ。だからきたんでしょう?」


 親まりさと親ありすは顔を見合わせ――笑いだした。
「ゆぷぷぷぷ! むれにはいりたい? むれにはいりたいだって!
 こんなゆっくりしてないむれに『はいりたい』だなんておもう!?」
「しかたないわあ! みんないなかものっ、だもの!
 とかいはなありすたちについてこれるはずないわ!」
「いい、おさのありす? よーくきいてね?
 たったいまから、このむれはまりさがおさになってあげるよ!!」



 その言葉に長ありすも、群れの皆も、無関係なゆうかでさえポカンと口を開けた。



「「「…………は?」」」



「は? じゃないよ、あたりまえでしょ!
 このむれをゆっくりさせてあげるから、おさになってあげるって
いってるの!」
「そうよおお!
 おさありすも、このむれのみなも、ぜんっぜんゆっくりしてないわ!
 だから、まりさとありすがむれをひっぱっていってあげる!」
「おとうしゃん、りーだーっ!」
「ゆっくちりーだー! りーだー!」
「…………」
 餡子脳ならずともフリーズしてしまいそうな発言を、
ようやくアリスはのみ込んだ。
 それから、こんな厄介種を連れてきた銀目れいむを恨めしそうに見る。
「ええと、おことわりするわ。
 わるいことはいわないから、いますぐやまにかえったほうがいいわよ」

「なにいっでるのおお!
 ゆっくりしたまりさがおさになってあげるっていってるんだから!
 ありすはだまっておさのざをゆずるべきでしょおおおお!」
「おさのざをゆずるきはないわ。
 いまならまだちょっといたいおもいをしただけで、
 やまにかえることができるわよ」

 無論、そのためにはおちびちゃんを『永遠にゆっくりさせる』ことが
必要なのだが。

「ゆぎいいいい! もう、ほんっとうにありすはわがままだね!」
「ほんと! おなじありすとして、うすよごれたあなたはけいべつするわ!」
「そうだね! こっちのありすとくらべて、おさありすのかちゅーしゃは
すごくきたならしいね!」
「いなかものね! かちゅーしゃのていれくらい、ちゃんとしておくべきなのに!
 ものぐさなのかしら!」
「……ふうん」
 長ありすの冷たい声に、果たしてまりさ一家は気付いたかどうか。



 さて、そんな風に親まりさと親ありすが揉めている間に、腹を空かせたおちびちゃん
たちは、真っ直ぐ花壇へと向かっていた。
「ゆっくち、ゆっくち。おなかぺーこぺこさん! くささん、くささん。
 まりさたちにたべられてね!」
「ゆっくち……おなかすいちゃ……」
「おはなしゃん……たべちゃい……」

 花壇に辿り着いた彼らは、躊躇いもなく咲きかけの花を食べようとする。
「ふん!」
 ――となれば、当然のようにゆうかが反応する。
 彼女の軽い体当たりで、子まりさと赤まりさ、赤れいむは一匹残らず跳ね飛ばされた。

「ゆびゃあ!? いじゃい! いじゃいいいい!」
「ゆっち……いじゃいよおおお!」
「ぎゅうぇぇえ! いじゃいいい!」
 その悲鳴に、親まりさと親ありすが反応した。
 見れば、飾りのついてないゆうかがおちびちゃんたちをいじめているではないか。
「なにするんだあああああ!
 まりさのっ、まりさのだいじなだいじなおちびちゃんにいいいいい!」
「このげすゆうかあああ!
 いなかものはいなかものらしくできないのおおおお!?」

「ちょ、なにやって……やめなさあああああああああああい!」
 長ありすが顔面蒼白になって制止する。
 このままでは、ゆうかは殺されないまでも傷つけられるかもしれない。
 そうなっては、下手をすれば一斉駆除という運命が待ち受けている。
「ゆうか、にげてえええええ!」
「いやよ! こんなれんちゅうにせなかをむけるなんて!」
 ゆうかもゆうかで逃げられない事情がある。
 背中には大事に育てた花壇があるのだ。
 この状況で逃げられるはずもない。
「みんなああああ! そのまりさたちをとめるのよおおお!」
 長ありすの号令と共に、群れのゆっくりたちが一斉に彼らに襲いかかり――。



「わわわ、とっぷうだよっ!」



 そんな言葉と共に、物凄い勢いで親まりさと親ありすが蹴り飛ばされた。
「ゆべ!?」
「ゆぼお!?」
 あまりの衝撃に、二匹は数メートル以上すっ飛んだ。
「…………」
「…………」
 親まりさと親ありすはしばし見つめ合い――。



「「いじゃあああああああああああああああああああああああい!」」



 そう言って、びだんびだんと体を跳ねさせて泣き叫び始めた。
「あの……ええと……」
「れいむはぎんめのれいむだよ」
 ゆうかが救出されたにも関わらず、奇妙な目でれいむを見つめていた。
「さすがにかいゆっくりにけがをさせたらだいもんだいだからねっ」
「はあ……」
「ゆうか、だいじょうぶ?」
「ええ、くるまえにけりとばされたもの。それじゃ、もうすぐごはんさんの
じかんだし、ゆうかもかえるわね。これはいつものゆっくりふーど」
 ゆうかが手近のビニール袋を差し出した。中にはゆっくりフードが全員に行き渡るくらいに
詰め込まれている。
「ありがとう、ゆうか。
 それじゃ、ありすたちはあのばかまりさたちをせいっさいするから」


 そう言って、長ありすは凍るような瞳で痛みに悶えるまりさ一家たちを睨み付けた。






 まりさ一家は、周囲をぐるりと成体ゆっくりに囲まれていた。
 銀目れいむは、ニヤニヤとそれを見守っている。
「いったいなにを……ゆべえ!」
 何かを言おうとした親まりさの顔に、石がブチ当たった。
 取り囲んでいたれいむが、吹いたのだ。
「ゆっくりだまってね!
 おさ! こいつはむれのおさになろうとしただけじゃなく、
かいゆっくりまできずつけようとしたよ!」
「そうね。ほんらいなら、おやまについっほうがだとうだったけど、
ゆうかにけがをさせようとしたのは、ぜったいにゆるせないわ!
 みんな、えださんをよういして!」
 言葉と同時、周囲のゆっくりが一斉に枝を口に咥えた。


「あ、ありす。とかいはに、とかいはになりましょう?
 ありすなら、それがわかってるはずよね?
 ね、ね、ね? とかいは……とかいはああ!」
「やめてね! やるならまりさをやってね!」
 おそろしーしーを垂れ流しながら、親ありすと親ありすたちがそう叫ぶ。

「ゆ、ゆ、ゆっくりできてないゆっくりたちのくせになまいきだよ!
 いますぐまりさたちをかいほうしてね!」
 空気を読まない子まりさの言葉。
「ゆわああ……きょわいのじぇえ……」
「ちょかいは……ちょかいは……」
 赤ゆたちは震えるだけだ。
 長ありすはそれを見て、すうっと息を吸って叫んだ。


「せいっさい、かいし! まずはおめめさんよ!」


「ゆああああああ! やめで! やめでやめでやめで……いじゃいいいいいいいいいいい!
 ありすの! ありすのおべべがあああああああああああああ!」
「まりさの! まりさのをやっで……いだいいいいいい! おべべ!
 おべべぷーすぷーすしないで! おねがい! おねがいいいいいいいい!」
「まりさ、ぷくーするよ! ぷくー……おべええええ!
 いじゃいいいいい! しゃしゃないじぇえええ! ぷーすぷーすやじゃああああ!
 おごっ、ごっ、ごああああああ! おめめさん! おめめざんがあああああ!」
「ゆぴ……ゆぴ……ゆげええええええええええええええ!
 ゆっくち! ゆっくちいいいいい!」
「ちょかいはあああああああああ!」
 まず、それぞれ片目を抉られた。
 白く柔らかい瞳を、荒い枝で突き刺し、こねくり回した。


「あんよをやっちゃって!」


「ざあああわあああるうううううなああああ!
 いじゃいよおおおおおお!」
「まりさの! まりさのしゅんっそくあんよさんがあああああああ!」
「まりちゃのあじもおおおおお!? やだよおおお!
 まりちゃのかもしかあんよをいだいいだいじないでええええええ!」
「「いじゃいいいいいいいいい!
 いじゃいよおおおおおおお!」」

 次に、あんよを走れない程度にぷーすぷーすれた。
 ささくれだった枝が、あんよの頑丈な皮をズタズタに斬り裂いた。
 餡子がたちまち漏れ出すが、無理矢理立たされることで流出を防がれる。
 しかし、傷がある部分を自身の体重で押さえつけているのだ。
 痛くないはずがない。


「かみよ!」
 枝を捨てたゆっくりたちが、次々とまりさ一家の髪に噛みついて毟っている。


「いやよおおおおおお! だずげでまりざざあああああああああああ!」
「やべでぐだざい! ありずの! ありずのきらきらかみのけをむしっちゃだめえええ!
 とってもとってもきれいなんでずうう! どがいばなかみのげえええええ!」
「いじゃいよおおおおお! まりしゃのかみのけにいだいいだいはやめええええ!」
「ゆくじ! いじゃああああああああああああ!」
「いじめにゃいでええええ! ちょがいばあああ! ぢょがいばあああああああ!」
 たちまち、落ち武者のような饅頭が五匹誕生した。



「ぺにぺにとまむまむも!
 あにゃるはだめよ! そこらじゅうでたれながされたらゆっくりできないわ!」
 成体ゆっくりたちは、親まりさたちを挟み込んで揺らした。
 発情した彼らがぺにぺにを露出させた瞬間、枝で一斉に突いた。



「……っ! そ、それだげはやべでえええええええ!
 おちびちゃん、おちびちゃんがつくれなくなっじゃうううううう!
 おぶっ! いじゃい! ぺにぺにのさきっぽがいじゃいいいいいいい!」
「んぼおおおおおおお! ありすのごくっじょうまむまむをきずつけないでええええ!
 てんぐうのかみざまだってじょうっでんずるのにいいいいいいい!」
「いじゃいいいい! そぎょはぞぎょはまむまうでしゅうううううう!
 まりしゃおちびちゃんちゅくりたいんでしゅううううう!」



「さいごに、おかざり!」
 彼らのお飾りを強奪し、枝で引き裂き、ジャンプして壊し、噛み千切って壊した。



「やべでええええ! いながものになっじゃううううう!」
「どがいばあああ! どがいばにいいいいいいい!」
「ゆっぐりでぎなくなっじゃうよおおおおおおおおおおお!」
「まりしゃのおきゃじゃりいいい!」
「ありちゅの! ありちゅのちょかいばっておかあしゃんがほめてくれた
かちゅーしゃあああああああああああ!」



「これでせいっさいはしゅうりょうよ。
 このまりさいっかは、きょうからあたらしいどれいまりさよ!
 むれのなかまだけど、なかまじゃないわ!」



「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」



 瀕死の状態で横たわるまりさ一家は、虚ろな表情で長ありすの言葉を聞いていた。



(どれい……まりさたちが……どれい……?
 どれいはゆっくりしてないよ……ゆっくりしてないゆっくりがどれいになるべきだよ……)


(あれ? まりさいま、ゆっくりしてない……。
 じゃあ、まりさはやっぱりゆっくりしてないゆっくりなの……?)


(おかしい……おかしいよ……。
 こんな、はず、じゃ……)


 この日、まりさ一家はたった一日で完全にゆん生を転落した。






 ――数日後。


「ゆふう……ゆふう……」
 まりさたちは奴隷ゆっくりとなり、野良ゆっくりがやらなければならない仕事でも
かなり過酷なものを押しつけられていた。


 這いずり回ってゴミを拾い、ありすと共同でゴミ袋を引き摺っていく。
 彼らが向かうのは、不衛生な雑居ビルの隙間などだ。
 こんな場所では、幸運に恵まれて捨てられたあまあまさんを拾うことなどまずない。
 ただただ、腐ったゴミをゴミ袋に入れるだけ。
 それも、ドロドロした訳の分からないものを一旦口に入れて、ゴミ袋に
吐き出さなければならないのだ。
 その不快さは、親まりさが餡子を吐き出しすぎて瀕死になりかかるほどだった。
 いつまで経っても慣れることのない、拷問。


 そればかりではない。
 プライドの高い二匹には、とてつもなく辛いことが待っているのだ。
「……」
「めーりん……まりさ……ゆっくり……」
「ゆっくりしているゆっくりにしては、ずいぶんとまあさえないんだぜ」
 街まりさの冷たい言葉。
 そして――。
「じゃおん……」
 何よりも堪えるのが、街めーりんの同情した目線なのだ。
 冷たく睨まれるのは、もう慣れてしまった。
 だが、めーりんはそんな自分たちに同情してくれている。
 それは、これまでめーりんをゆっくりの最下層にカテゴリしていた彼らには、とても
耐えられることのないものだった。
「ありす……いくよ……」
「とかいは……とかいは……」
 ありすはぶつぶつと、とかいはという言葉を念仏のように呟いている。
 唱えるのを止めれば、死んでしまうというように。


 おちびちゃんたちも悲惨なものだった。
 子まりさは、まずぱちゅりーが教師となる学校で働かされていた。
「むきゅ。まりさ、このくささんをたべてみなさい」
「ゆゆ!? たべさせてくれるの!? ゆっくりむーしゃむーしゃするよ!」
 少量の草を喜び勇んでむーしゃむーしゃした途端、口がものすごく痒くなった。
「ゆびゃ! かゆい! かゆいよおおおおおおお!」
「いい? このくささんは、むーしゃむーしゃするととってもおくちがかゆいかゆいになるの!
 たくさんたべるとたくさんかゆくなるから、ゆっくりたべちゃだめよ!」


「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」


「ぶびゃあああ! がゆいいいい! がゆいいいいいい!」
 まりさは危険な食べ物を、いつも食べさせられる。
 腐った食べ物、毒のある草、固くて食べられない木の実……。
 そういったものを食べたらどうなるかを、きちんと教えているのだ。
 何しろ、子まりさが実験台なおかげで「たべてもれいむはへいきだよ!」などと言い出すアホが
皆無になってくれるのが親たちとしては大助かりだった。
 それだけではない。


「あまあまだど~♪」
「ゆんやああああ! たすげでえええええええええええええ!」
 子まりさは必死になって、空をふわふわ飛ぶ子れみりゃから逃げている。
 だが、周囲の群れは反応が薄い。
 この子れみりゃは「飼いゆっくり」だ。飼い主に頼まれ、ときどき「かり」の真似事
をさせているのだ。
 無論、なるべく殺さないという条件付で。
「ゆひいいいい! やだよおおお! れみりゃどっかいってよおおおお!」
「あまあま~♪ れみりゃのごはんになるんだど~」
 子まりさは必死になって逃げ回り、子れみりゃはニコニコ笑顔であまあまを追いかける。
 見守る飼い主は、「元気になってよかったなあ」などと考えている。
 子まりさのゆん生は毎日毎日が、チキンレースだ。


 そして、赤ありすと赤まりさは。
「ぺーろぺーろ……ぺーろぺーろ……」
「ぺーろ……うぷっ……ちょかいはじゃ……ない……」
 公衆便所を舐めさせられていた。
 何ともいえない不快な臭い、不潔で冷たい便器。
 赤ゆたちは、何も教えられずにただひたすら舐めて綺麗にすることを命じられている。
 これは銀目れいむの発案である。
「おちびちゃんのころから、べんきになれさせたらだいじょうぶかも」
 確かに、赤ゆたちはここが「にんげんさんがうんうんしーしーするところ」であることを知らない。
 知っていれば、ただちに餡子を吐き出して死ぬだろう。
 知らなくとも、誰かに教えられてしまえばその瞬間に終わりだ。
 子まりさに負けず劣らずゆん生綱渡り、それが二匹の赤ゆっくりたちだ。


 ゴミを頬張る親まりさと親ありす。
「ゆべえ……ゆべえ……」
 毒を食べさせられる子まりさ。
「ゆぎ……うおえ……」
 便所を舐めさせられる赤ゆっくりたち。
「ぺーろ……うべ……ぺーろ……」


 山にいたころのゆっくりした生き方など、もうどこにも見当たらなかった。
 家族とのゆっくりした会話もほとんど皆無になり、仕事が終わればただ
寄せ集まってすーりすーりしながら啜り泣くだけだ。

 疲れ切った体で眠りに就くたび、親まりさは考える。
(これは、ゆめだよ……ぜったいに、ゆめ……。
 めがさめたら……きっと……なにもかも……もとどおり……)
 そして、目が覚めるたびに
「ゆめ……ゆめじゃ……ゆめじゃないよお……」
 そう言って、嘆き続けるのだ。


 ――さあ、親まりさ君。これがあなたたちのゆん生ですよ。


 スクリーンの映像が停止し、照明が照らされる。
 親まりさも、親ありすも、子まりさも、赤まりさも、赤ありすも。
 皆、涙を流していた。
 自分たちのみっともなさを、第三の視点から見てひたすら泣いていた。
 銀目れいむが、ニコニコしながらまりさ一家に尋ねる。
「楽しんでいただけましたか?」
 親まりさはそうして初めて「おかざり」に関係なく、目の前の『れいむだったもの』を
認識した。
「にんげん……さん……」
「おや、バレてしまいましたか。騙していてすいませんね」

 白衣の中年男は、銀色のビデオカメラで親まりさを撮り続けながら再度問い掛ける。
 先ほどまで腕に縛られていたれいむのリボンは、ポケットにしまい込まれていた。

「さあ、まりさ君。幸せを失った気分は、どうですか?」

 だがもう、まりさ一家たちにとってはどうでもよい出来事だった。
 れいむがれいむでなくなろうが。
 自分の転落ゆん生を人間たちが笑って見ていようが。
 自分の舐めていたものが、どれほど不潔なものかを知らされようが。


「ゆぴ……ゆぴぃ……ゆぴぃぃぃ……。
 かなしいよお……かなじいいよおお…………。
 いやだよお……こんなゆんせい……いやだよお……。
 ゆっくりしたいよお……ゆっくりさせてよお……。
 ……もう、やだよおお…………」






 ただただ、あのときのしあわせーだった自分たちを思い出し――彼らは
泣き続けるしかないのだ。


ゆっくりいじめSS・イラスト ※残虐描写注意!コメント(6)トラックバック(0)|

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コメント

14975:

イイハナシダナー

2014/03/10 18:26 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
14977:

途中急にこの家族の中に赤れいむが出てくるけどミスかな

2014/03/10 20:00 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
14982:

あれ?前見たような??デジャヴ???

2014/03/11 03:54 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
14985:

※14977
何処に赤れいむ居た?読み直したけど分からんかった。

2014/03/11 09:57 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
14987:

※14985
ヒント:ページ内検索
ゆうかがおちびに花を守るための体当たりをかましたシーン

2014/03/11 11:46 | 名無しさん #- URL [ 編集 ]
14992:

>14982、デジャヴでも何でも無いと思うよ
単にふたば系ゆっくりいじめSS内の転載w、
俺もアレ?読んだ事あるような?、銀色れいむで確信w
anko3446、まりさ一家の転落ゆん生だねw

2014/03/11 21:38 | 名無しさん@ニュース2ちゃん #- URL [ 編集 ]

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